ち○○で楽しむ異世界生活

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 占領地の統治、治安の確認、城への補給に俺への褒賞と内政方針。あらかた話は出尽くしたな。
 「ああ、アラヒトだけ残ってくれ。少しだけ話がある」
 ずっと黙って聞いていた王妃が最後に口を開いた。王妃と二人だけで話すのも久しぶりな気がする。王とカラシフ宰相とサーシャが退席すると、王妃が口を開いた。
 「すまないな。ラドヴィッツ家の問題をなんの相談も無くお前に投げてしまった」
 その件か。
 「構いませんよ。ラドヴィッツ家の事情に関しては予告なしだったので驚きましたが」
 「お前に知らせては首尾よくゆかぬ話だっただろうからな。アンナの件も含めてこれで二つも貸しが出来てしまった。さっき少し話に出たが、お前の功績は既にラドヴィッツを凌ぐものになる。であるにも関わらず、お前は褒賞を受け取らない。受け取った褒賞の分だけ王家に仕事をさせ、仕事のない人間のための仕事を作ろうとしている。これでは王家として示しがつかないのだ。まるで王家が褒賞を与えないとか、褒賞を国の発展に結びつけることを義務付けている印象を与えるようではな」
 「しかし国が盤石であることが私の望みですよ」
 安定していない国家の庇護のもとで生きるつもりは無い。国家の安定が無いことには、俺の支えとなってくれている女性たちの安全が確保できない。だが成果に対して報酬の少ないというバランスの悪さは国内での人間関係に支障をきたすことになるか?
 
 「そう言うと思っていた。入れ!」
 若い女性が入ってきた。奥に控えていたのか。
 近づいてくるほどにその特異性が分かってきた。ショートカットをボブ風にまとめた銀髪、長い銀髪のまつ毛に大きな灰色の瞳、肌の白さは俺が知っている人間の肌の色ではない。これは色素自体が少ないのか?
 アルピノの女性か。
 「トリスと申します」
 トリスが近くまでやって来ると、その神秘的な美しさに驚いた。年の頃は20前後だろうか?
 「人買いがリーベリに売る前に妾が買った。銀髪で色がまったく無い肌の女など珍しいからな。この通り見栄えもいい。リーベリあたりならこちらのちょっとした領地程度の値段で売られるだろう」
 昨日の夜まで種馬のように女性を抱き続けていたにも関わらず、一目でトリスが気に入った。顔が小さいことで身体が小さいながらも八頭身に近いスタイルに見える。小柄でやや細身の肉体にはしっかりとくびれがつき、顔つきはシャープながらも愛嬌がある。なによりこの神秘的な雰囲気がいい。
 「気に入ったようだな。王家からはこいつをやろう」
 「彼女でしたらいただきます」
 深く考えずに即答してしまった。・・・この習性をどうにかしないと、他国からアンナのように女性が送られてくるとややこしくなってしまうのだが・・・

 「アラヒト。お前は兵にすら女が国外に売られることに疑問を持てと言ったようだな。だが人の売り買いが無い世界を目指すなど茨の道となるぞ。リーベリでトリスに値がついたら一族郎党が食えるのだ。人の売り買いが無ければ我らの代わりに働く者もいなくなるのだ。分かっているのか?」
 最初からその難しさは分かっていた。俺がいた世界でもかたちこそ変わっていても、人間が売られていること自体はあった。人身売買を完全に止めるというのは夢物語に過ぎない。
 「国が富めば人の売り買いは減らせるでしょう。女性がその美を売るにもやり方というものがあります。国が女性を売って儲けるのではなく、その美しさが他国の王族や商人の耳まで轟いて、多額の持参金で女性を迎え入れるというかたちにでもなればいいと思います」
 俺が欲しいのは彼女たちの選択肢だ。
 人買いに捕えられ、故郷から遠く離れた地で売られるというのはどうにも気に食わない。
 女性であっても商才があれば彼女たちの人生は変わるし、自分の美への値段の付け方を理解すればより良い嫁ぎ先を見つけることもできるだろう。
 そもそも国の資金源として絶賛発売中なのが女性というのは、国として破綻していると思う。戦には勝ったがペテルグの内情はまだまだ発展途上だ。誰かに売りつけ富を増やすための産業が必要になる。
 だが・・・男たちを焚きつけたのは時期尚早だったか?
 「お前への褒賞を考えるのは一苦労だな。土地や名誉を求められる方がラクだぞ」
 そうは言ってもこの国の女性について真剣に考えている男がいるという事実に、まんざらでも無いという雰囲気が隠せない。
 「いつか大きなお願いをするかもしれません。その時に私の仕事の成果を思い出していただけると嬉しいです」
 「貸しなど忘れられるものだ。いちおう記憶官には伝えておくがな。あまり大きな期待はしないことだ」
 まぁ俺も貸しが返ってくるものだとは思っていない。アンナは俺に仕えてくれているし、ラドヴィッツは手紙を書くような口ぶりだったが、特に連絡も無い。まぁうまくやっているんじゃないのかな、たぶん。

 王妃との話を済ませ部屋を出ると、サーシャの代わりにリザが居た。サーシャは会議が終わった後に早くも王城の仕事を始めているのか。普段から俺の近くにいたせいかサーシャの立場を忘れてしまっていた。諜報部のトップならば、戦後のゴタゴタで人員再編やら諜報活動の整理やらでなにかと忙しいだろう。その忙しい時期にサーシャとリザをムチャクチャ抱いていた俺もどうかと思うが・・・
 戻ってきたらサーシャのしたいように可愛がってやろう。
 「そちらの銀髪の女性は?」
 「今日から屋敷に一緒に住むトリスだ」
 「トリスと申します。よろしくお願いします」
 リザが挨拶も無いままトリスを見つめている。
 「諜報員として育てるには、やや細身で目立ちすぎる気がしますが・・・」
 「諜報員じゃない。王妃からいただいた俺のハーレム要員だよ」
 リザはリザで自分の仕事で頭がいっぱいという感じだな。
 「はあれむ・・・とは何でしょうか?」
 そういえばハーレムと言われてもトリスは知らないか。
 「まぁそこのリザと同じように、俺のものだということだ」
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