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9 マッチョさん、依頼をこなす
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魔物退治に必要なものを改めて街で揃えた。
包帯、ナイフ、水、ひも、鎮痛剤。棒は止めておいた。日があるうちに戦って、日が暮れる前に戻ろう。
食堂で肉や豆類を食べて、物足りなければゆで卵で補給した。糖質はできるだけ果実で。サプリメントが使えない世界では、ビタミン不足が気になる。
そういえば、魔物は畑や果実を荒らしはするが、穀物や果物を食べないのだそうだ。肉だけで栄養補給をしているというのは、なんだか不思議な気もする。肉食動物などは自分でビタミンを生成できたような気がする。そういうものなのだと思うしかない。
そしてついに私の装備ができた。
皮の鎧、皮の兜、革靴、そして例の大斧と専用のサヤだ。タベルナ村でもらった毛皮のマントも羽織ってみる。うん、なかなかいいんじゃないのか。戦う男の恰好だ。
大斧のサヤというよりも、これは革製のバックパックのように見える。肩に斜め掛けをすると大斧の重さでズレるため、完全に背負う形にしたそうだ。
実際に背負ってみる。子どもか軽めの女性を一人背負っている感覚だ。
「いやいやいや、いい勉強になりましたよ。こういうサヤじゃなければ持ち運べませんもんね。」
そもそもこういうものは三日で作れるものなのか?親方も丁稚さんもずいぶんとくたびれ果ててる。
「親方ぁ、やっぱり三日じゃムリって言えば良かったじゃないですかぁ・・・」
「バカヤロー。間に合ったじゃねぇか!」
「さっきまで仕上げしてたじゃないですかぁ・・・」
「ああいうのは最終調整って言うんだよ。オメーも一人前の鍛冶屋になりたかったら憶えとけ。」
「ふぇーい・・・」
「なんだかムリさせたみたいで。」
「いえいえ、こちらが切った期限なので。」
正直なところ助かる。早く魔物退治をしないと、タンパク質の補給が追い付かない。
「で、こちらが普段着です。旦那が着ていたような服に合わせました。」
タンクトップに短パン。街に入る前に怪しまれて止められたやつ。
「なんでも宗教的な服だそうなので、形だけでも整えました。色は似たようなもので仕立て上げましたが、なにかマズいところがありますかね?この色を使っちゃいけないとか。」
完全に好意だ。表情に出してはいけない。
「珍しい形だったはずなのに、ありがとうございます。最高です!」
「そうですか。いやー、良かったなぁ。仕立て屋にもムリさせてしまったんですよ。」
こうして私は、なぜか二着目のトレーニングウエアのセットを手に入れた。
宿に戻って装備を確認する。ギルドへ行って依頼を見つける。
近郊で見つかったオークを退治してほしいという依頼を受けることにした。
「マッチョさん、頑張ってくださいね。」
「では初依頼、行ってきます。」
緊張している。私はこれから命のやり取りをしに行くのだ。
城門を出て街から移動し、かなり経った。
地図を確認する。
太陽の方向と街の位置からすると、たしかにこの辺だが。
「ふぅー・・・」
一息吐いて、大斧を取り出す。
覚悟は決まった。
いた。オークだ。
「うおおおおおお!」
声を出しながら近づいてくる私を見て、オークは一目散に逃げていった。
これで依頼完了か。
ぜんぜん働いた気がしない。
包帯、ナイフ、水、ひも、鎮痛剤。棒は止めておいた。日があるうちに戦って、日が暮れる前に戻ろう。
食堂で肉や豆類を食べて、物足りなければゆで卵で補給した。糖質はできるだけ果実で。サプリメントが使えない世界では、ビタミン不足が気になる。
そういえば、魔物は畑や果実を荒らしはするが、穀物や果物を食べないのだそうだ。肉だけで栄養補給をしているというのは、なんだか不思議な気もする。肉食動物などは自分でビタミンを生成できたような気がする。そういうものなのだと思うしかない。
そしてついに私の装備ができた。
皮の鎧、皮の兜、革靴、そして例の大斧と専用のサヤだ。タベルナ村でもらった毛皮のマントも羽織ってみる。うん、なかなかいいんじゃないのか。戦う男の恰好だ。
大斧のサヤというよりも、これは革製のバックパックのように見える。肩に斜め掛けをすると大斧の重さでズレるため、完全に背負う形にしたそうだ。
実際に背負ってみる。子どもか軽めの女性を一人背負っている感覚だ。
「いやいやいや、いい勉強になりましたよ。こういうサヤじゃなければ持ち運べませんもんね。」
そもそもこういうものは三日で作れるものなのか?親方も丁稚さんもずいぶんとくたびれ果ててる。
「親方ぁ、やっぱり三日じゃムリって言えば良かったじゃないですかぁ・・・」
「バカヤロー。間に合ったじゃねぇか!」
「さっきまで仕上げしてたじゃないですかぁ・・・」
「ああいうのは最終調整って言うんだよ。オメーも一人前の鍛冶屋になりたかったら憶えとけ。」
「ふぇーい・・・」
「なんだかムリさせたみたいで。」
「いえいえ、こちらが切った期限なので。」
正直なところ助かる。早く魔物退治をしないと、タンパク質の補給が追い付かない。
「で、こちらが普段着です。旦那が着ていたような服に合わせました。」
タンクトップに短パン。街に入る前に怪しまれて止められたやつ。
「なんでも宗教的な服だそうなので、形だけでも整えました。色は似たようなもので仕立て上げましたが、なにかマズいところがありますかね?この色を使っちゃいけないとか。」
完全に好意だ。表情に出してはいけない。
「珍しい形だったはずなのに、ありがとうございます。最高です!」
「そうですか。いやー、良かったなぁ。仕立て屋にもムリさせてしまったんですよ。」
こうして私は、なぜか二着目のトレーニングウエアのセットを手に入れた。
宿に戻って装備を確認する。ギルドへ行って依頼を見つける。
近郊で見つかったオークを退治してほしいという依頼を受けることにした。
「マッチョさん、頑張ってくださいね。」
「では初依頼、行ってきます。」
緊張している。私はこれから命のやり取りをしに行くのだ。
城門を出て街から移動し、かなり経った。
地図を確認する。
太陽の方向と街の位置からすると、たしかにこの辺だが。
「ふぅー・・・」
一息吐いて、大斧を取り出す。
覚悟は決まった。
いた。オークだ。
「うおおおおおお!」
声を出しながら近づいてくる私を見て、オークは一目散に逃げていった。
これで依頼完了か。
ぜんぜん働いた気がしない。
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