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34話 逆鱗に触れる
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「ナルガが誘拐された……!」
知らせを聞いたハローとエドウィンは、ミコの母親から事の顛末を教わった。
「ミコが手伝うって、手を振り払って戻っちゃって……助けなきゃって思ったんだけど、あたし恐くて……身動きが取れなくて……! 母親失格だよ……!」
「自分を責めるな。必ず僕らが取り戻す、それまで大人しく待ってるんだぞ」
エドウィンは母親をなだめ、ハローに「おい!」と声をかけた。
のだが……既にハローは、現場へ向かっていた。
「やっぱそうなるよなぁ……おいハロー!」
急いで馬を駆るも、全然追いつかない。ハローの健脚は馬より速く、たちまち引き離されてしまった。
「見失っちまった……くそったれ、化け物だなあいつは……!」
勇者の証である聖剣は意志を持っている。手放しこそすれど、ハローは未だ所有者と認められているため、力を供給され続けている。彼が常人離れした力を持つのはそのためだ。
エドウィンが手綱を握らねば、ハローは何をするか分からない。特に今はナルガを奪われたため、非常に危険な状態になっている。
人売りの奴ら、最悪な相手に喧嘩を売りやがったな。
「どうなっても知らないぞ、原型が残れば御の字だ……!」
その頃ハローは現場に到着し、すぐに血痕に気付いた。
点々と、道しるべのように続いている。ナルガが残したメッセージだ。血痕は途中で途切れ、代わりに轍が伸びていた。
このさきに、なるががいる。
ハローはキレていた。思考は憎悪に支配され、もはや誰の声も届かない。
どす黒い殺意と怒気をまき散らし、轍を辿っていく。濁り切った瞳で走る姿は……まるで修羅のようだった。
「まっててなるが、かならずたすけるから。きみにひどいことをしたやつらを、みなごろしにしてやるから。ぜんいんのこらず、ころしてやる」
この瞬間、人売りの運命は決まった。誰一人として、生きて朝日を拝めやしないだろう。
ハローの触れてはいけない逆鱗に、軽い気持ちで触れてしまったのだから。
知らせを聞いたハローとエドウィンは、ミコの母親から事の顛末を教わった。
「ミコが手伝うって、手を振り払って戻っちゃって……助けなきゃって思ったんだけど、あたし恐くて……身動きが取れなくて……! 母親失格だよ……!」
「自分を責めるな。必ず僕らが取り戻す、それまで大人しく待ってるんだぞ」
エドウィンは母親をなだめ、ハローに「おい!」と声をかけた。
のだが……既にハローは、現場へ向かっていた。
「やっぱそうなるよなぁ……おいハロー!」
急いで馬を駆るも、全然追いつかない。ハローの健脚は馬より速く、たちまち引き離されてしまった。
「見失っちまった……くそったれ、化け物だなあいつは……!」
勇者の証である聖剣は意志を持っている。手放しこそすれど、ハローは未だ所有者と認められているため、力を供給され続けている。彼が常人離れした力を持つのはそのためだ。
エドウィンが手綱を握らねば、ハローは何をするか分からない。特に今はナルガを奪われたため、非常に危険な状態になっている。
人売りの奴ら、最悪な相手に喧嘩を売りやがったな。
「どうなっても知らないぞ、原型が残れば御の字だ……!」
その頃ハローは現場に到着し、すぐに血痕に気付いた。
点々と、道しるべのように続いている。ナルガが残したメッセージだ。血痕は途中で途切れ、代わりに轍が伸びていた。
このさきに、なるががいる。
ハローはキレていた。思考は憎悪に支配され、もはや誰の声も届かない。
どす黒い殺意と怒気をまき散らし、轍を辿っていく。濁り切った瞳で走る姿は……まるで修羅のようだった。
「まっててなるが、かならずたすけるから。きみにひどいことをしたやつらを、みなごろしにしてやるから。ぜんいんのこらず、ころしてやる」
この瞬間、人売りの運命は決まった。誰一人として、生きて朝日を拝めやしないだろう。
ハローの触れてはいけない逆鱗に、軽い気持ちで触れてしまったのだから。
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