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2部
113話 他愛ない生活
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ハローは仕事へ向かい、その間ナルガは農作業をしながら、リナルドの面倒を見ていた。
リナルドはナルガから離れず、ずっと裾を掴んでいる。動きづらいけど、自分に縋ってくるリナルドが可愛くて、ナルガは頭を撫でてやった。
……みなしごか、私もそうだったな。
魔王に拾ってもらうまで、ゴミを漁り、泥水で渇きを凌いでいた。誰からも守ってもらえず、毎日が恐くて、不安に押しつぶされそうだった。
リナルドはまだ五歳だ、そんな思いをさせるわけにはいかない。父上がしてくれたように、私も彼を守らなければ。
「葉に触れてみるか?」
「え?」
きょとんとするリナルドの手を取り、ナルガは作物の葉に触れさせた。
葉っぱや土の感触を教え、風車の中を見せ、簡単な作業をやらせてみる。これもまた、子供を守る手段の一つだ。
役割を与えれば、ラコ村が居場所だと思ってもらえるだろう。まずは彼が、安心して暮らせる場所を用意してあげないと。
リナルドは拙いながらも、懸命にナルガの手伝いをした。頑張るリナルドの姿を、女達も微笑ましく見守っている。
途中からミコも入ってきて、三人で作物の世話をする事に。忙しくも楽しい時間が過ぎて、気が付けば昼になっていた。
「アリス、そろそろ一息入れようか?」
「いいですね。リナルド、おいで。ご飯にしよう」
「ごはん、食べていいの?」
「いいに決まっているだろう。いっぱい手伝ってくれたしな」
ナルガはリナルドを連れ添い、農婦達の輪に入った。
大勢で昼食を囲む間、リナルドは落ち着かない様子だった。でもお腹が空いていたのか、食事を出されると、無我夢中でがっついている。
「むぐ、けほっけほっ!」
「だから落ち着いて食べろと言っただろう、ここには恐い事をする奴など居ないぞ」
「う、うん……ごめんなさい……」
無理もない、昨日まで独りぼっちで彷徨っていたのだ。常に周りを警戒してばかりで、食事も飢えをしのぐために、胃に詰め込むだけだったに違いない。
「美味いか?」
「うん、とっても美味しい」
「なら味わって食べろ。せっかく作ったんだ、ちゃんと楽しんでくれた方が私も嬉しい」
「楽しむ?」
「そうだ、食事は辛い事じゃない、楽しい事なんだ」
どうもリナルドは、沢山辛い目に遭ってきたようだ。記憶を失っていても、体がそれを覚えている。撫でてやろうとすると怯えるし、優しくされると凄く戸惑ってしまう。
……この子の親は、あまりいい人物ではなかったのかもしれないな。
リナルドには、喜びを沢山教えてあげよう。これまでの辛い事を全部忘れるくらい、楽しい思い出を与えてあげよう。
「おーい! 様子を見に来たよー!」
ハローが森から戻ってきた。ナルガは手を振り、彼を隣に座らせた。
「どうだいリナルド、調子は」
「よく、分からない」
「初日だしな、少しずつ慣れていくといいよ。ミコもリナルドと仲良くしてあげてね」
「うん! ミコの方がお姉さんだから、なんでも言ってね!」
ミコはなぜか得意げだ。ハローは微笑み、リナルドを撫でた。
まずは、リナルドの閉じた心を癒してあげないとな。ハローとナルガはそう思った。
リナルドはナルガから離れず、ずっと裾を掴んでいる。動きづらいけど、自分に縋ってくるリナルドが可愛くて、ナルガは頭を撫でてやった。
……みなしごか、私もそうだったな。
魔王に拾ってもらうまで、ゴミを漁り、泥水で渇きを凌いでいた。誰からも守ってもらえず、毎日が恐くて、不安に押しつぶされそうだった。
リナルドはまだ五歳だ、そんな思いをさせるわけにはいかない。父上がしてくれたように、私も彼を守らなければ。
「葉に触れてみるか?」
「え?」
きょとんとするリナルドの手を取り、ナルガは作物の葉に触れさせた。
葉っぱや土の感触を教え、風車の中を見せ、簡単な作業をやらせてみる。これもまた、子供を守る手段の一つだ。
役割を与えれば、ラコ村が居場所だと思ってもらえるだろう。まずは彼が、安心して暮らせる場所を用意してあげないと。
リナルドは拙いながらも、懸命にナルガの手伝いをした。頑張るリナルドの姿を、女達も微笑ましく見守っている。
途中からミコも入ってきて、三人で作物の世話をする事に。忙しくも楽しい時間が過ぎて、気が付けば昼になっていた。
「アリス、そろそろ一息入れようか?」
「いいですね。リナルド、おいで。ご飯にしよう」
「ごはん、食べていいの?」
「いいに決まっているだろう。いっぱい手伝ってくれたしな」
ナルガはリナルドを連れ添い、農婦達の輪に入った。
大勢で昼食を囲む間、リナルドは落ち着かない様子だった。でもお腹が空いていたのか、食事を出されると、無我夢中でがっついている。
「むぐ、けほっけほっ!」
「だから落ち着いて食べろと言っただろう、ここには恐い事をする奴など居ないぞ」
「う、うん……ごめんなさい……」
無理もない、昨日まで独りぼっちで彷徨っていたのだ。常に周りを警戒してばかりで、食事も飢えをしのぐために、胃に詰め込むだけだったに違いない。
「美味いか?」
「うん、とっても美味しい」
「なら味わって食べろ。せっかく作ったんだ、ちゃんと楽しんでくれた方が私も嬉しい」
「楽しむ?」
「そうだ、食事は辛い事じゃない、楽しい事なんだ」
どうもリナルドは、沢山辛い目に遭ってきたようだ。記憶を失っていても、体がそれを覚えている。撫でてやろうとすると怯えるし、優しくされると凄く戸惑ってしまう。
……この子の親は、あまりいい人物ではなかったのかもしれないな。
リナルドには、喜びを沢山教えてあげよう。これまでの辛い事を全部忘れるくらい、楽しい思い出を与えてあげよう。
「おーい! 様子を見に来たよー!」
ハローが森から戻ってきた。ナルガは手を振り、彼を隣に座らせた。
「どうだいリナルド、調子は」
「よく、分からない」
「初日だしな、少しずつ慣れていくといいよ。ミコもリナルドと仲良くしてあげてね」
「うん! ミコの方がお姉さんだから、なんでも言ってね!」
ミコはなぜか得意げだ。ハローは微笑み、リナルドを撫でた。
まずは、リナルドの閉じた心を癒してあげないとな。ハローとナルガはそう思った。
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