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3部
155話 恐いこわいエド叔父さん
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「私ねー、ずっと弟か妹が欲しかったんだー」
ミコと遊んでいる間、リナルドは彼女からそう聞いた。
家では姉に何かと口煩く言われているらしい。その反動からか、両親に下の子が欲しいと何度もねだっていたそうだ。
そんな時にやって来たのがリナルドだ。リナルドを弟に見立てて、お姉さんごっこをしているわけだ。
「リナルドもお姉ちゃんが居たんでしょ。どう、ミコとどっちがお姉ちゃんっぽい?」
「僕のお姉ちゃんのほう、かなぁ」
「えー、なんでー?」
そう言われても困るリナルドである。ミコは鼻を鳴らすと腕を組み、
「だったら、私の方がお姉ちゃんっぽいって言わせてあげる。さ、何でもお姉ちゃんに言ってごらん。弟の願いを叶えてしんぜよう」
「うーん……それじゃあ、お父さんとお母さんに、贈り物がしたい。僕を家族にしてくれてありがとうって、伝えたいんだ」
「贈り物かぁ。贈り物……どうしよっか」
都ならばいくらでも候補が上がるが、物のないラコ村ではそうもいかない。精々食べ物を贈るくらいしか出来ないが、リナルドはもっと特別な物を贈ってあげたかった。
「無理しなくていいよ?」
「大丈夫! 待ってて、お姉ちゃんが考えてあげるから」
ミコは頭を抱えて悩み、ぽんと手を叩いた。
「お花だ! お花を沢山摘んで贈ろうよ! お花ならハロー兄もアリスも喜ぶよ!」
「そっか。でも僕達だけで摘みに行くのは危ないよ。大人と一緒に行かないと。でもお母さんはダメだし、お父さんもお仕事だし」
「んー……じゃああの人だ!」
リナルドを連れ、ミコが向かった先は。
「ということで、私達と一緒に来てくださいっ」
「なんで僕なんだ?」
診療所である。主のエドウィンは不機嫌に頬杖を突き、ミコにデコピンした。
「だっていつも暇そうだから」
「この間熱出してぶっ倒れたお前を治したの誰だと思ってんだ、こっちは暇じゃないんだよ。急患が出た時のために待機するのも仕事なの」
「でも今病気の人居ないよ、それにエド兄もお勉強してるだけだし」
「カルテ整理してんだよ。あーくそ、ああ言えばこう言う奴め」
「うー、リナルドのプレゼントとお仕事、どっちが大事なの?」
「仕事に決まってるだろうがっ」
ミコとエドウィンの言い合いを、リナルドははらはらしながら見ていた。
ミコはよくエドウィンとあんなに話せるものだ。リナルドは未だに恐くて、会うだけでもびくびくしてしまうのに。
「いいじゃないですか、子供達の頼みくらい引き受けても」
そんな折にミネバが仲裁に入った。ミコは目をきらめかせ、
「ミネバ姉! 来てくれるの」
「いいですよ、一緒に素敵な花束を作りましょう」
ミネバにミコは抱き着いた。エドウィンは口をへの字に曲げ、
「あのなぁ、これじゃ僕が悪者みたいじゃないか……分かった分かった、僕もついて行けばいいんだろ」
「いい、の?」
「リナルドも怯えてるんじゃないよ。僕は一言も「行かない」なんて言ってないからな、ただ、タイミングを考えろって言いたいだけだ。それとミネバ、体調はいいのか」
「ええ、問題ないですよ」
「ミネバ姉具合悪いの?」
「いいえ。うふふ、後で教えてあげますね」
「別に隠すような事じゃないだろ。まぁ、分かったのが今朝だからな。後でハロー達にも教えとくか」
上機嫌なミネバをよそに、エドウィンは長銃を担ぎ、手招きした。
「ほら行くぞ。ちゃんと目的地は決めてるんだろうな」
「うん! おいでリナルド!」
エドウィンに連れられ、リナルドは森へ出かけた。
一緒に来てくれるなら、普通に言ってくれればいいのにな。
ミコと遊んでいる間、リナルドは彼女からそう聞いた。
家では姉に何かと口煩く言われているらしい。その反動からか、両親に下の子が欲しいと何度もねだっていたそうだ。
そんな時にやって来たのがリナルドだ。リナルドを弟に見立てて、お姉さんごっこをしているわけだ。
「リナルドもお姉ちゃんが居たんでしょ。どう、ミコとどっちがお姉ちゃんっぽい?」
「僕のお姉ちゃんのほう、かなぁ」
「えー、なんでー?」
そう言われても困るリナルドである。ミコは鼻を鳴らすと腕を組み、
「だったら、私の方がお姉ちゃんっぽいって言わせてあげる。さ、何でもお姉ちゃんに言ってごらん。弟の願いを叶えてしんぜよう」
「うーん……それじゃあ、お父さんとお母さんに、贈り物がしたい。僕を家族にしてくれてありがとうって、伝えたいんだ」
「贈り物かぁ。贈り物……どうしよっか」
都ならばいくらでも候補が上がるが、物のないラコ村ではそうもいかない。精々食べ物を贈るくらいしか出来ないが、リナルドはもっと特別な物を贈ってあげたかった。
「無理しなくていいよ?」
「大丈夫! 待ってて、お姉ちゃんが考えてあげるから」
ミコは頭を抱えて悩み、ぽんと手を叩いた。
「お花だ! お花を沢山摘んで贈ろうよ! お花ならハロー兄もアリスも喜ぶよ!」
「そっか。でも僕達だけで摘みに行くのは危ないよ。大人と一緒に行かないと。でもお母さんはダメだし、お父さんもお仕事だし」
「んー……じゃああの人だ!」
リナルドを連れ、ミコが向かった先は。
「ということで、私達と一緒に来てくださいっ」
「なんで僕なんだ?」
診療所である。主のエドウィンは不機嫌に頬杖を突き、ミコにデコピンした。
「だっていつも暇そうだから」
「この間熱出してぶっ倒れたお前を治したの誰だと思ってんだ、こっちは暇じゃないんだよ。急患が出た時のために待機するのも仕事なの」
「でも今病気の人居ないよ、それにエド兄もお勉強してるだけだし」
「カルテ整理してんだよ。あーくそ、ああ言えばこう言う奴め」
「うー、リナルドのプレゼントとお仕事、どっちが大事なの?」
「仕事に決まってるだろうがっ」
ミコとエドウィンの言い合いを、リナルドははらはらしながら見ていた。
ミコはよくエドウィンとあんなに話せるものだ。リナルドは未だに恐くて、会うだけでもびくびくしてしまうのに。
「いいじゃないですか、子供達の頼みくらい引き受けても」
そんな折にミネバが仲裁に入った。ミコは目をきらめかせ、
「ミネバ姉! 来てくれるの」
「いいですよ、一緒に素敵な花束を作りましょう」
ミネバにミコは抱き着いた。エドウィンは口をへの字に曲げ、
「あのなぁ、これじゃ僕が悪者みたいじゃないか……分かった分かった、僕もついて行けばいいんだろ」
「いい、の?」
「リナルドも怯えてるんじゃないよ。僕は一言も「行かない」なんて言ってないからな、ただ、タイミングを考えろって言いたいだけだ。それとミネバ、体調はいいのか」
「ええ、問題ないですよ」
「ミネバ姉具合悪いの?」
「いいえ。うふふ、後で教えてあげますね」
「別に隠すような事じゃないだろ。まぁ、分かったのが今朝だからな。後でハロー達にも教えとくか」
上機嫌なミネバをよそに、エドウィンは長銃を担ぎ、手招きした。
「ほら行くぞ。ちゃんと目的地は決めてるんだろうな」
「うん! おいでリナルド!」
エドウィンに連れられ、リナルドは森へ出かけた。
一緒に来てくれるなら、普通に言ってくれればいいのにな。
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