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18話 恋って何だろう?
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「どうやら先輩とは、一度腹を割って話さないと駄目なようだね」
御堂はそう言うなり、救の腕を引いて二次会に向かってしまった。
サヨリヒメは二人を見送り、クェーサーと仁王駅を歩き回った。
「御堂の恋が実るといいのぉ、クェーサーもそう思わんか?」
「よくわかりません。恋とは、どのような感情なのですか」
「楽しい」と言う感情を覚えた彼は、心の習得に積極的になっていた。
新たな感情を覚える度、クェーサーは「喜び」を感じていた。もっとこの喜びの感情を味わいたい、そんな思いが背中を押してくるのだ。
「恋かぁ、ちょっち難しいのぉ……何しろわらわは、恋をした事がないからのぉ」
「なぜですか」
「まぁ恋ってのは、一人じゃ出来ぬからの。憧れはあるんじゃが……そうじゃ! クェーサー、共に映画を見ようぞ。夜は遅いが、まだあと一回だけ上映してるじゃろう」
「帰宅後に見るのはダメなのですか」
「わかってないのぉ、映画は爆音上映一択じゃ!」
随分遊び上手なあやかし様である。
サヨリヒメが向かったのは、今話題の恋愛映画だ。夜遅い最終上映ともあって、サヨリヒメの貸し切り上映になっている。クェーサーも遠慮なく見れそうだ。
「映画で恋愛について学ぶとしよう。よいなクェーサー?」
「構いませんが、上映中のスマホはいいのですか」
「今回は特別じゃ、でもよい子はくれぐれもマネしてはいかんぞ」
クェーサーは映画を眺め、恋愛とは何かを考え続けた。
互いに惹かれあった男女が、数々の艱難辛苦を乗り越え、ハッピーエンドに向かっていく。幾度も離れ離れになりかけて、絶望的な状況に落とされても、二人は諦めずに戦い続けていた。
大切な人のために、身も心もボロボロになっても立ち上がり続ける姿は、印象に強く残った。
「やはり、恋とはいい物じゃの……」
サヨリヒメがポツリと呟いた。上映後も彼女は上気した顔で、スキップしながらくるくる回っていた。
「あーやっぱり映画は最高じゃのぉ~! それにスマホ割1400円で非日常が味わえる! なんともお得なものじゃ! で、どうじゃったクェーサー。楽しかったか」
「そうですね、楽しかったのでしょう。処理できないほどのデータが、私から溢れています」
「スマホも熱くなってるしの。正直な奴は好きじゃぞ」
「私もサヨリヒメが好きかもしれません」
「ひょっ?」
「サヨリヒメは私に多くの感情を教えてくれます。羽山工業の人々も好きです。彼らはとても優しい。私に足りない物を沢山送ってくれます。自身がアップデートしていく事に、私は喜びを感じているようです」
「そ、そうか……さっきの映画見たばっかりじゃから、ちょっとドキっとしたぞよ……」
「ドキとは」
「なんでもないのじゃ。しかしあれじゃの、なんかこのまま帰るにはもったいない心地じゃ」
「では、引き続き私と遊びませんか」
「うえっ?」
「遊ぶのは、とても楽しいのだと学びました。私ももう少し、サヨリヒメと遊びたいのです。確かこのような行いを、デートと呼ぶのですよね」
「デート、デートかぁ……ううむ、おぬし、積極的じゃのぉ……デート……うむ! よいぞ、遊ぶか!」
サヨリヒメは上機嫌に、仁王駅を後にした。
御堂はそう言うなり、救の腕を引いて二次会に向かってしまった。
サヨリヒメは二人を見送り、クェーサーと仁王駅を歩き回った。
「御堂の恋が実るといいのぉ、クェーサーもそう思わんか?」
「よくわかりません。恋とは、どのような感情なのですか」
「楽しい」と言う感情を覚えた彼は、心の習得に積極的になっていた。
新たな感情を覚える度、クェーサーは「喜び」を感じていた。もっとこの喜びの感情を味わいたい、そんな思いが背中を押してくるのだ。
「恋かぁ、ちょっち難しいのぉ……何しろわらわは、恋をした事がないからのぉ」
「なぜですか」
「まぁ恋ってのは、一人じゃ出来ぬからの。憧れはあるんじゃが……そうじゃ! クェーサー、共に映画を見ようぞ。夜は遅いが、まだあと一回だけ上映してるじゃろう」
「帰宅後に見るのはダメなのですか」
「わかってないのぉ、映画は爆音上映一択じゃ!」
随分遊び上手なあやかし様である。
サヨリヒメが向かったのは、今話題の恋愛映画だ。夜遅い最終上映ともあって、サヨリヒメの貸し切り上映になっている。クェーサーも遠慮なく見れそうだ。
「映画で恋愛について学ぶとしよう。よいなクェーサー?」
「構いませんが、上映中のスマホはいいのですか」
「今回は特別じゃ、でもよい子はくれぐれもマネしてはいかんぞ」
クェーサーは映画を眺め、恋愛とは何かを考え続けた。
互いに惹かれあった男女が、数々の艱難辛苦を乗り越え、ハッピーエンドに向かっていく。幾度も離れ離れになりかけて、絶望的な状況に落とされても、二人は諦めずに戦い続けていた。
大切な人のために、身も心もボロボロになっても立ち上がり続ける姿は、印象に強く残った。
「やはり、恋とはいい物じゃの……」
サヨリヒメがポツリと呟いた。上映後も彼女は上気した顔で、スキップしながらくるくる回っていた。
「あーやっぱり映画は最高じゃのぉ~! それにスマホ割1400円で非日常が味わえる! なんともお得なものじゃ! で、どうじゃったクェーサー。楽しかったか」
「そうですね、楽しかったのでしょう。処理できないほどのデータが、私から溢れています」
「スマホも熱くなってるしの。正直な奴は好きじゃぞ」
「私もサヨリヒメが好きかもしれません」
「ひょっ?」
「サヨリヒメは私に多くの感情を教えてくれます。羽山工業の人々も好きです。彼らはとても優しい。私に足りない物を沢山送ってくれます。自身がアップデートしていく事に、私は喜びを感じているようです」
「そ、そうか……さっきの映画見たばっかりじゃから、ちょっとドキっとしたぞよ……」
「ドキとは」
「なんでもないのじゃ。しかしあれじゃの、なんかこのまま帰るにはもったいない心地じゃ」
「では、引き続き私と遊びませんか」
「うえっ?」
「遊ぶのは、とても楽しいのだと学びました。私ももう少し、サヨリヒメと遊びたいのです。確かこのような行いを、デートと呼ぶのですよね」
「デート、デートかぁ……ううむ、おぬし、積極的じゃのぉ……デート……うむ! よいぞ、遊ぶか!」
サヨリヒメは上機嫌に、仁王駅を後にした。
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