Deep Heart

輝拓

文字の大きさ
8 / 32
友人の時間

隠し事4

しおりを挟む

怖いッッ
見られた!!
どうしよう!どうしよう!どうしよう!!!
怖いッッ!怖いッッ!怖いッッ!!



それだけがひたすら繰り返し頭いっぱいに広がる。
自分の声だけがひたすらいっぱい


けれどいつもとは違う何かを感じていた。
それが何なのかわからくなくて
更に追い討ちをかけられてパニックに拍車がかかる

息が出来ない。


いつも自分で暗示をかけていた。
大丈夫  って
大丈夫じゃないのは分かってるのに大丈夫だと暗示をかけていた。
自分一人でするしかないから
いつだって一人だったから


なのに今日は自分より先に誰かが暗示をかけてきた


大丈夫…


大丈夫じゃないんだって!っと抑えてた本心が爆破してしまった。
止められなくなってしまった。
 


なのに身体に感じる強い圧が抑えてくれてる気がして
必死にもっともっと、とせがんだ。



自分で暗示を掛けようともしなかった。
ずっと言えかった気持ちをダダ漏れに
自分を抑えようとしてくれる力に任せてしまった。


大丈夫


と言う自分じゃない誰かの初めての声でストッパーが外されてしまったようだ。




あ…誰かが呼んでる…

パニックの荒らしの中
一瞬だけ違う自分が出てくる

何かに気づいてる自分
なのにそれは本当に一瞬で
恐怖に駆られる自分が直ぐに飲み込む



「ひかる…ひかる…」 



今の自分とは正反対の優しい優しい声が微かに聞こえる。
応えたいのに身体も声も気持ちも言うことを聞いてくれない。


それがもどかしくて
なんで言うこときかないんだよ!と慌てさせて苦しくなる。
 短い呼吸のせいだけじゃない
篭った暑い苦しい息に混和する。
動かない身体に混和する。



「ひかる?俺に気づいて…
気づくまでいるから…大丈夫だから」


優しくて悲しい声

早く早くキチガイになってしまった自分
止まってくれ


「たのむよ…」


こんなこと言わせておいて
まだ自分に甘えてパニック起こし続けてるのか?


やっぱり自分は存在価値がない程の人間だ
ごめんなさい、ごめんなさい



恐怖に任せて叫ぶ自分
冷静に何かを感じてくる自分
言うこときかない自分に焦る自分
罵ってくる自分
罪悪感に襲われる自分


入れ替わり立ち代り会話するように頭に出てくる。
気絶でもしてしまいたい…頭が爆発してしまいそうだ
死んでしまいたい…




「ひかる…これが分かるか?感じて…」



怖い怖い、死んでしまいたい



「ひかる…感じて?」



死んでしまいたい。



「ひかる…分かるか?」



怖いよ


「ひかる…ひかる…感じて…」


…何…?


あたたかい…


あぁ…気持ちいいなぁ…
初めてだ…


「…大丈夫だから…俺を見て…ひかる」


こんな気持ちいいこと初めてだ
こんな安心することあった?

心が落ち着く、気持ちが…






「ひかる…ひかる…」

「ハァッ!!ハァッ!!た…たく…ーッッハアッッッ」


その瞬間
遠くで聞えてた声が間近で聞える。
鮮明でハッキリと…拓也の声だった。

もう少しで額が当たるんじゃないかと思う間近に拓也の顔も視界に現れた。
真っ直ぐオレを見ていて、オレも目が離せない。


全てが一瞬にして拓也がオレの目の前に現れたのだ。



でも…まだ状況に追いつかない頭でも理解できた。




頬があたたかい



拓也がオレの両頬を包むように優しくゆっくり撫でてくれている。


気持ち良くてあたたかくてホッとする



この感じ…
あぁ…さっき助けてくれた…




まだ呼吸が落ち着かなくて声が出せない。
その代わりに真っ直ぐオレも拓也を見つめた。



「ひかる…良かった…」



正気になったのに気づいてくれて
羽交い締めにさせるように抱きしめてきた。
息をずっと上手くしていなかったから手足が痺れてて動かない。
抱きしめ返したいのに出来ない歯がゆさ


「ありがとう…」


さっきまで感じていた
篭った暑い空気
身体に強く感じた圧迫
動かなかった身体


拓也がずっと抱きしめてくれてたんだと分かったら
痛いはずの抱擁が気持ちよくて安心する。



息遣い、鼓動
汗の匂い、肌の香り
体温、触れている熱さ



他人から与えられるものがこんなにも多くて
その人の全てを知ったみたいでドキドキする。
なのに、うっとり目を閉じてしまう。 




あぁ…
この人に全て話してしまおうか…



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

同僚に密室に連れ込まれてイケナイ状況です

暗黒神ゼブラ
BL
今日僕は同僚にごはんに誘われました

チョコのように蕩ける露出狂と5歳児

ミクリ21
BL
露出狂と5歳児の話。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...