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紅葉の河原
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懐かしい夢を見ていた、秋風の中に母上と父上がいる、紅葉した葉が足元に川を作っていた、なんて綺麗なのだろう。
二人が微笑んでいる、私もそっちに行きたいのに押し寄せる落ち葉が渡らせてくれない。
川の幅がどんどん広くなって二人が離れていく。
(待って、置いていかないで!)
叫んでも声は届いていない、優しいままの笑顔で二人が手を振っている。
(待って!一人は嫌!!母上!父上!!)
行ってしまう、私の立つ場所には誰もいない。
(お願い一人にしないで!!一緒に・・・)
霞む視界の中に肖像画の母上と父上がいた。
「あ・・・!?」
肖像画の下に見慣れた顔がある、絵じゃない自分がいた。
「あれ?」
これって幽体離脱ってやつかしら、その割には自分の視線を感じる。
「お嬢様!お嬢様!分かりますか?」
アンヌの声だ、私を呼んでいる、声の方向へ首を向けると泣き顔の彼女が見えた。
「アンヌ……」
「お嬢様!!」 手を握ってくれた、感触がある、幽体じゃない。
「フローラ様」「気が付かれた、もう大丈夫だ」 ロゼとハリーの声もする。
首を巡らせると、みんな泣いている、なぜ泣いているの。
「良かった、良く頑張ったわ」
「!!??」
幻じゃない、自分が喋った、反射的に飛び起きようとして右胸に激痛が走る。
「あぐっ!!」 起き上がったつもりだったが実際には背中はベッドから一センチも浮いていなかった。
「お嬢様駄目です!動かないでください、傷口が開いてしまいます」
両肩をアンヌの手が優しく抱きかかえて起こしてくれる、自分はここにいる。
「あなたは……あの時の!?」
はっきりしてきた、最後の記憶は銃声、森で襲われたのだ。
「なぜ貴方がここにいるの?それにその服は私の・・・」
言葉にしてだいたいの想像がついた、彼は私の代役となっていたのだ。
ギルドで出会い、あの森で襲われていた自分とアンヌを助けてくれた瓜二つの冒険者……男の子だ。
「フローラ様、これには事情がありまして、彼には緊急の要件でお嬢様の代役を務めて頂いております」
「緊急の要件てなに?」
「一つは皇太子が隠密でこのマナーハウスにやってきます」
「はあ!なぜ?」
「男爵様の弔意のためだそうです」
「弔意?何を言っているの、父上の死の責任の一端は皇太子にあるかもしれないのにっ!馬鹿なの!!ぐっ」
怒り力んだせいで再び胸に激痛が走った。
「お嬢様!傷に触ります、どうか冷静に」
痛みに身体が耐えようとするのにその力さえ残っていない、顔を歪めるのが精いっぱいだ。
「くっ……あれから何日過ぎているの?」
「四日よ」 声とイントネーションまで似ている、頭が混乱する。
「それ止めて、ドッペルゲンガーを見ているみたいで気持ちわるい」
「そこそこ上手いだろ、俺は噓が得意なのさ、俺が偽物だと知っているのはここにいる三人……いや四人だけだ」
「私に化けて他の人にも会ったの!何のために」
「お嬢様、仕方なかったのです、魔獣が再び現れたのです、牧羊の男が食い殺されました」
「それじゃ、あの時私たちを襲ってきた男たちとは別に殺人犯が?」
「いや、人間とは考えられないが獣でもないわ」
「それってどういう事、魔人だとでも言うの?」
「現時点ではそれが一番近い」
「何馬鹿な事を言っているの、魔人なんているわけない」
「お嬢様、エミー様の申していることは本当です、彼の目は信用出来ます」
殺害現場を見ているハリーはエミーを支持した。
「エミー?あなたの名前なの、確か男の人だって……」
「俺の名はエミリアン・ギョー・東郷、女のような顔、声、体つき……皆こう呼ぶんだ、フレジィ・エミー」
「今お嬢様が倒れた事をランドルトン公爵側に知られれば、この地は公爵側に接収される危険性があります、親王派の諸侯からこのムートン領は飛び地、王も自派閥の派遣をごり押しできるかわかりません、何よりこの地が戦場となってしまいます」
「岩人の硝酸がそんなに欲しいの」奥歯が欠けるほどに悔しさを噛む。
「高品質の硝酸は金と同じよ、銃の性能は格段に上がる、渡せば内戦がそれだけ近づくことになるわ」
「だから私の声真似は止めて!」
意識しないとオリジナルに戻れなくなっていた。
「ちっ、今までアンヌに叱られながら声真似で通してきたんですもの、急には変えられない、今日でお役御免というなら私はこのまま消えるわ」
怒りの感情を含まない声は交渉の余地を感じさせない。
「まっ、待ってください、エミーさんそれは困ります」
ハリーが慌てて制した
「エミリアン、一つだけ確認させて、あなたの目的はなに?」
「報奨のことならいらない、お金には不自由していない、私が貴方たちに協力するのは……やっぱり言いたくない」
「はあ!?どういうこと、何か隠し事をしているの」
フローラは自分と瓜二つの容姿の男を信用すべきか迷った、なにより森で襲撃犯を返り討ちにした時に見せた顔が脳裏に焼き付いていた。
感情を伴うことなく人の命を奪う、まるで泥人形を壊すように、いや遊びでさえない、呼吸するように殺す。
人としての大切な何かがない、普通じゃない。
向き合った顔は同じでも、その間には解りあうことの出来ない違いがあった。
二人が微笑んでいる、私もそっちに行きたいのに押し寄せる落ち葉が渡らせてくれない。
川の幅がどんどん広くなって二人が離れていく。
(待って、置いていかないで!)
叫んでも声は届いていない、優しいままの笑顔で二人が手を振っている。
(待って!一人は嫌!!母上!父上!!)
行ってしまう、私の立つ場所には誰もいない。
(お願い一人にしないで!!一緒に・・・)
霞む視界の中に肖像画の母上と父上がいた。
「あ・・・!?」
肖像画の下に見慣れた顔がある、絵じゃない自分がいた。
「あれ?」
これって幽体離脱ってやつかしら、その割には自分の視線を感じる。
「お嬢様!お嬢様!分かりますか?」
アンヌの声だ、私を呼んでいる、声の方向へ首を向けると泣き顔の彼女が見えた。
「アンヌ……」
「お嬢様!!」 手を握ってくれた、感触がある、幽体じゃない。
「フローラ様」「気が付かれた、もう大丈夫だ」 ロゼとハリーの声もする。
首を巡らせると、みんな泣いている、なぜ泣いているの。
「良かった、良く頑張ったわ」
「!!??」
幻じゃない、自分が喋った、反射的に飛び起きようとして右胸に激痛が走る。
「あぐっ!!」 起き上がったつもりだったが実際には背中はベッドから一センチも浮いていなかった。
「お嬢様駄目です!動かないでください、傷口が開いてしまいます」
両肩をアンヌの手が優しく抱きかかえて起こしてくれる、自分はここにいる。
「あなたは……あの時の!?」
はっきりしてきた、最後の記憶は銃声、森で襲われたのだ。
「なぜ貴方がここにいるの?それにその服は私の・・・」
言葉にしてだいたいの想像がついた、彼は私の代役となっていたのだ。
ギルドで出会い、あの森で襲われていた自分とアンヌを助けてくれた瓜二つの冒険者……男の子だ。
「フローラ様、これには事情がありまして、彼には緊急の要件でお嬢様の代役を務めて頂いております」
「緊急の要件てなに?」
「一つは皇太子が隠密でこのマナーハウスにやってきます」
「はあ!なぜ?」
「男爵様の弔意のためだそうです」
「弔意?何を言っているの、父上の死の責任の一端は皇太子にあるかもしれないのにっ!馬鹿なの!!ぐっ」
怒り力んだせいで再び胸に激痛が走った。
「お嬢様!傷に触ります、どうか冷静に」
痛みに身体が耐えようとするのにその力さえ残っていない、顔を歪めるのが精いっぱいだ。
「くっ……あれから何日過ぎているの?」
「四日よ」 声とイントネーションまで似ている、頭が混乱する。
「それ止めて、ドッペルゲンガーを見ているみたいで気持ちわるい」
「そこそこ上手いだろ、俺は噓が得意なのさ、俺が偽物だと知っているのはここにいる三人……いや四人だけだ」
「私に化けて他の人にも会ったの!何のために」
「お嬢様、仕方なかったのです、魔獣が再び現れたのです、牧羊の男が食い殺されました」
「それじゃ、あの時私たちを襲ってきた男たちとは別に殺人犯が?」
「いや、人間とは考えられないが獣でもないわ」
「それってどういう事、魔人だとでも言うの?」
「現時点ではそれが一番近い」
「何馬鹿な事を言っているの、魔人なんているわけない」
「お嬢様、エミー様の申していることは本当です、彼の目は信用出来ます」
殺害現場を見ているハリーはエミーを支持した。
「エミー?あなたの名前なの、確か男の人だって……」
「俺の名はエミリアン・ギョー・東郷、女のような顔、声、体つき……皆こう呼ぶんだ、フレジィ・エミー」
「今お嬢様が倒れた事をランドルトン公爵側に知られれば、この地は公爵側に接収される危険性があります、親王派の諸侯からこのムートン領は飛び地、王も自派閥の派遣をごり押しできるかわかりません、何よりこの地が戦場となってしまいます」
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「高品質の硝酸は金と同じよ、銃の性能は格段に上がる、渡せば内戦がそれだけ近づくことになるわ」
「だから私の声真似は止めて!」
意識しないとオリジナルに戻れなくなっていた。
「ちっ、今までアンヌに叱られながら声真似で通してきたんですもの、急には変えられない、今日でお役御免というなら私はこのまま消えるわ」
怒りの感情を含まない声は交渉の余地を感じさせない。
「まっ、待ってください、エミーさんそれは困ります」
ハリーが慌てて制した
「エミリアン、一つだけ確認させて、あなたの目的はなに?」
「報奨のことならいらない、お金には不自由していない、私が貴方たちに協力するのは……やっぱり言いたくない」
「はあ!?どういうこと、何か隠し事をしているの」
フローラは自分と瓜二つの容姿の男を信用すべきか迷った、なにより森で襲撃犯を返り討ちにした時に見せた顔が脳裏に焼き付いていた。
感情を伴うことなく人の命を奪う、まるで泥人形を壊すように、いや遊びでさえない、呼吸するように殺す。
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