36 / 140
第36話 因縁の幕開けだぞ越えたっ!!
しおりを挟む
祐輝は振りかぶってゆっくりと足を上げた。
記念すべき一球目。
それはアウトコース低めへと決まった。
「ストライクッ!!」
お互いに様子見といった所か。
祐輝は怪童を前に警戒している。
越田はどうか?
そして2球目。
次はインコースに決まるストレートだ。
カーンッと大きな音が鳴ったが後方へ飛んでファール。
ツーストライクと追い込んで祐輝は一度ロージンバッグを触る。
大きく息を吸ってキャッチャーのサインを見ている。
まだ変化球は投げられない祐輝はサイン交換といってもインコースかアウトコースかの選択ぐらいだった。
後は先輩キャッチャーの構える所へ思い切り投げ込むだけだ。
そして祐輝は3球目を投げるためにキャッチャーを見ているとアウトコースのサインが出た。
うなずいてから祐輝は投球動作に入る。
ゆっくりと足を上げてから力いっぱい投げ込んだ。
「ボールワンッ!!」
少し力が入りすぎてしまった。
ストレートはキャッチャーの構えている所とは逆のインコースへと行った。
越田の体に当たりそうになったが体を慌てながら避けて回避すると越田はじっと祐輝を睨んだ。
挑発しているのか?
目でそう訴えている。
祐輝はただ力んだだけだったが越田にはそう感じたのだ。
何食わぬ顔をして祐輝は4球目に入る。
しかし苛立つ越田は祐輝のストレートをじっと待っていた。
そして4球目。
キーンッ!!!
快音と共にボールは祐輝の視界から一瞬で消えた。
驚いて振り返ると打球は信じられない速さで飛んでいた。
しかしギリギリライト線を切れてファールだ。
打球はフェンスを越えていた。
もし切れなかったらホームランという打球だった。
ふうっと一息ついた祐輝はもう一度ロージンバッグを触った。
気持ちを落ち着かせてから5球目に入る。
少しでも甘い球を投げると越田は簡単にホームランにしてしまう。
だからこそ神経を使う。
楽な相手ではない。
だが何処か楽しくもあった。
祐輝はこの状況にして。
楽しかったのだ。
ゆっくりと足を上げて5球目。
カーンッ!!
越田の鋭い打球は祐輝の股の下を通過していった。
あまりの打球の速さに祐輝はまるで反応できずにセンター前ヒットを許した。
一塁ベース上でじっと越田が見ている。
「簡単には三振取れないか。」
祐輝にとって貴重な1打席勝負となった。
その後、越田の次の5番打者をショートゴロに打ち取ってゲッツーとなりチェンジだ。
最後の攻撃も速田の前に1点も取れずに試合終了。
整列して両チームが一礼する。
祐輝の目の前には越田が立っていた。
「気をつけ! 礼!!」
『ありがとうございました!』
そして両チームが入れ替わり相手ベンチへ挨拶する。
祐輝は越田とすれ違ったが互いに何も言葉を交わさなかった。
しかしお互いに何か思う所があったのは事実の様だ。
キングスの圧倒的強さを目の当たりにした。
ナインズは試合後に練習をする事になっている。
これは佐藤コーチの方針だった。
勝てば即帰宅。
負ければ夜まで練習。
野球は好きだが早く帰りたいという気持ちも少年達にはあった。
帰ってゲームしたり携帯をいじったりしたいものだ。
「帰さねえぞお前ら!! キングスにビビりやがって!!」
鬼の形相の佐藤コーチ。
その後ナインズは夜まで練習した。
クタクタの先輩達。
健太もエルドも疲れ切っている。
しかし祐輝はピッチャーマウンドの上にいた。
「おい祐輝! 早くグラウンド整備やらんかい!!」
「佐藤コーチ・・・」
「お前だけはいい顔してるじゃねえか。 悔しかったのか?」
「はい。」
「はっはっはっは!! そういう奴が上手くなるんだよ!! 野球は!」
怪童をツーストライクまで追い込んだ。
後1球だけストライクを取れれば三振にできたのに。
何がいけなかったのか。
何故越田は打てたのか。
「何がいけなかったのですかね・・・」
「今から走り込みできるか!?」
「できます。」
「そうだ! キングスの越田はなあ。 小学生の頃からそうやって努力を重ねてきたんだ。」
「知っているんですか?」
「知らん! だがな。 俺はお前がママのおっぱいしゃぶるよりも前から野球をやっているんだ。 顔を見ればわかるんだぞ。」
それは決して埋め合わせる事のできない努力の時間の差だった。
ナインズが疲れた表情でグラウンド整備をする中、祐輝は佐藤コーチと話しているのだった。
記念すべき一球目。
それはアウトコース低めへと決まった。
「ストライクッ!!」
お互いに様子見といった所か。
祐輝は怪童を前に警戒している。
越田はどうか?
そして2球目。
次はインコースに決まるストレートだ。
カーンッと大きな音が鳴ったが後方へ飛んでファール。
ツーストライクと追い込んで祐輝は一度ロージンバッグを触る。
大きく息を吸ってキャッチャーのサインを見ている。
まだ変化球は投げられない祐輝はサイン交換といってもインコースかアウトコースかの選択ぐらいだった。
後は先輩キャッチャーの構える所へ思い切り投げ込むだけだ。
そして祐輝は3球目を投げるためにキャッチャーを見ているとアウトコースのサインが出た。
うなずいてから祐輝は投球動作に入る。
ゆっくりと足を上げてから力いっぱい投げ込んだ。
「ボールワンッ!!」
少し力が入りすぎてしまった。
ストレートはキャッチャーの構えている所とは逆のインコースへと行った。
越田の体に当たりそうになったが体を慌てながら避けて回避すると越田はじっと祐輝を睨んだ。
挑発しているのか?
目でそう訴えている。
祐輝はただ力んだだけだったが越田にはそう感じたのだ。
何食わぬ顔をして祐輝は4球目に入る。
しかし苛立つ越田は祐輝のストレートをじっと待っていた。
そして4球目。
キーンッ!!!
快音と共にボールは祐輝の視界から一瞬で消えた。
驚いて振り返ると打球は信じられない速さで飛んでいた。
しかしギリギリライト線を切れてファールだ。
打球はフェンスを越えていた。
もし切れなかったらホームランという打球だった。
ふうっと一息ついた祐輝はもう一度ロージンバッグを触った。
気持ちを落ち着かせてから5球目に入る。
少しでも甘い球を投げると越田は簡単にホームランにしてしまう。
だからこそ神経を使う。
楽な相手ではない。
だが何処か楽しくもあった。
祐輝はこの状況にして。
楽しかったのだ。
ゆっくりと足を上げて5球目。
カーンッ!!
越田の鋭い打球は祐輝の股の下を通過していった。
あまりの打球の速さに祐輝はまるで反応できずにセンター前ヒットを許した。
一塁ベース上でじっと越田が見ている。
「簡単には三振取れないか。」
祐輝にとって貴重な1打席勝負となった。
その後、越田の次の5番打者をショートゴロに打ち取ってゲッツーとなりチェンジだ。
最後の攻撃も速田の前に1点も取れずに試合終了。
整列して両チームが一礼する。
祐輝の目の前には越田が立っていた。
「気をつけ! 礼!!」
『ありがとうございました!』
そして両チームが入れ替わり相手ベンチへ挨拶する。
祐輝は越田とすれ違ったが互いに何も言葉を交わさなかった。
しかしお互いに何か思う所があったのは事実の様だ。
キングスの圧倒的強さを目の当たりにした。
ナインズは試合後に練習をする事になっている。
これは佐藤コーチの方針だった。
勝てば即帰宅。
負ければ夜まで練習。
野球は好きだが早く帰りたいという気持ちも少年達にはあった。
帰ってゲームしたり携帯をいじったりしたいものだ。
「帰さねえぞお前ら!! キングスにビビりやがって!!」
鬼の形相の佐藤コーチ。
その後ナインズは夜まで練習した。
クタクタの先輩達。
健太もエルドも疲れ切っている。
しかし祐輝はピッチャーマウンドの上にいた。
「おい祐輝! 早くグラウンド整備やらんかい!!」
「佐藤コーチ・・・」
「お前だけはいい顔してるじゃねえか。 悔しかったのか?」
「はい。」
「はっはっはっは!! そういう奴が上手くなるんだよ!! 野球は!」
怪童をツーストライクまで追い込んだ。
後1球だけストライクを取れれば三振にできたのに。
何がいけなかったのか。
何故越田は打てたのか。
「何がいけなかったのですかね・・・」
「今から走り込みできるか!?」
「できます。」
「そうだ! キングスの越田はなあ。 小学生の頃からそうやって努力を重ねてきたんだ。」
「知っているんですか?」
「知らん! だがな。 俺はお前がママのおっぱいしゃぶるよりも前から野球をやっているんだ。 顔を見ればわかるんだぞ。」
それは決して埋め合わせる事のできない努力の時間の差だった。
ナインズが疲れた表情でグラウンド整備をする中、祐輝は佐藤コーチと話しているのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる