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第79話 夢の終わり
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週末になり選抜の1回戦となり長野県代表との試合。
祐輝は先発投手としてベンチに入り越田と準備をしていた。
ストレッチをしてキャッチボールを始めると祐輝の肩には激痛が走った。
肩から首にかけて筋肉が硬直した様な気持ち悪さが残り、投げるたびに肩が抜けそうなほど痛かった。
顔をしかめていると越田が近づいてきて「痛いのか?」と尋ねてきたが祐輝は首を振った。
「キャッチャーに嘘つくのは失礼って習わなかったのかよ?」
「悪い・・・俺もうダメだ・・・」
祐輝は下を向いて越田の前で涙を流した。
男が男の前で涙を流すという事がどれほど情けない事なのか。
しかし泣かずにはいられなかった。
「3年間ずっとお前の事考えてきて、やっとここまで来たのに・・・」
「なんで怪我したんだよ。」
「無理やり投げさせられた・・・」
2人の間にはポッカリと穴が空いた様だった。
ベンチに下がると祐輝は何もできずに試合を見守る事しかできなかった。
そして選抜の監督から言われた言葉はあまりに冷酷な一言だった。
「もし勝って2回戦に行けても君は来なくていいよ。 投げられないなら必要ないからね。」
長野選抜との試合は桜木の好投と越田、春川の打撃で快勝した。
祐輝は抜け殻の様になってグラウンドを出ると勝利を祝う選抜メンバーとは言葉すら交わさずに駅に向かって歩き始めた。
「待てよ!」と越田が叫んでも振り返る事もせずに歩いていた。
東京選抜は2回戦で兵庫県代表と対戦して5対0で負けた。
兵庫県のエースはなんと145キロのストレートを連発する田村という怪物中学生だった。
しかし祐輝には何も興味もなかった。
選抜の終わりから数週間が経っても祐輝の脱力感は治らなかった。
学校に行くとミズキが進路の話をしてきたが何も聞こえていない様子だ。
「ねー聞いてるのー!? 関東高校行こうよー! 私もマネージャーやるからね!!」
「高校なんて行かねえよ。」
「えっ!?」
ミズキは祐輝の言葉が冗談ではないと直ぐにわかった。
それだけ長い年月一緒にいたのだ。
ただならぬ祐輝の表情に心配でたまらないミズキは何があったのか尋ねると「肩が壊れて投げられない。」とうつむきながら言った。
祐輝とミズキが目指す関東高校は甲子園の常連校で偏差値も高めだった。
野球推薦で入るつもりだった祐輝にとって東京選抜とはこれ以上ないアピールポイントだったが、それも潰えた。
一般ではとても入る事ができなかった。
理科と数学の成績が悪かったのが何よりもの原因だった。
学校が終わり祐輝は家に向かっているとミズキが追いかけてきた。
「祐輝君・・・」
「もうランニングなんてしねえよ。」
「本当に投げられないの?」
「痛くて無理だよ。」
越田を倒すとか、プロになるとか自慢げに言っていた祐輝の明るい表情は完全に消え去り暗く切ない表情で歩いていた。
ミズキは何かしてあげたかったが何も頭に浮かばず、祐輝の家の前までついてきて悲しそうな表情を浮かべて家に入る祐輝を見ていた。
抜け殻になった祐輝は部屋に寝転んで天井をただ見つめていた。
越田はいつもの公園で立ち尽くしていた。
「戻って来いよ・・・」
祐輝は先発投手としてベンチに入り越田と準備をしていた。
ストレッチをしてキャッチボールを始めると祐輝の肩には激痛が走った。
肩から首にかけて筋肉が硬直した様な気持ち悪さが残り、投げるたびに肩が抜けそうなほど痛かった。
顔をしかめていると越田が近づいてきて「痛いのか?」と尋ねてきたが祐輝は首を振った。
「キャッチャーに嘘つくのは失礼って習わなかったのかよ?」
「悪い・・・俺もうダメだ・・・」
祐輝は下を向いて越田の前で涙を流した。
男が男の前で涙を流すという事がどれほど情けない事なのか。
しかし泣かずにはいられなかった。
「3年間ずっとお前の事考えてきて、やっとここまで来たのに・・・」
「なんで怪我したんだよ。」
「無理やり投げさせられた・・・」
2人の間にはポッカリと穴が空いた様だった。
ベンチに下がると祐輝は何もできずに試合を見守る事しかできなかった。
そして選抜の監督から言われた言葉はあまりに冷酷な一言だった。
「もし勝って2回戦に行けても君は来なくていいよ。 投げられないなら必要ないからね。」
長野選抜との試合は桜木の好投と越田、春川の打撃で快勝した。
祐輝は抜け殻の様になってグラウンドを出ると勝利を祝う選抜メンバーとは言葉すら交わさずに駅に向かって歩き始めた。
「待てよ!」と越田が叫んでも振り返る事もせずに歩いていた。
東京選抜は2回戦で兵庫県代表と対戦して5対0で負けた。
兵庫県のエースはなんと145キロのストレートを連発する田村という怪物中学生だった。
しかし祐輝には何も興味もなかった。
選抜の終わりから数週間が経っても祐輝の脱力感は治らなかった。
学校に行くとミズキが進路の話をしてきたが何も聞こえていない様子だ。
「ねー聞いてるのー!? 関東高校行こうよー! 私もマネージャーやるからね!!」
「高校なんて行かねえよ。」
「えっ!?」
ミズキは祐輝の言葉が冗談ではないと直ぐにわかった。
それだけ長い年月一緒にいたのだ。
ただならぬ祐輝の表情に心配でたまらないミズキは何があったのか尋ねると「肩が壊れて投げられない。」とうつむきながら言った。
祐輝とミズキが目指す関東高校は甲子園の常連校で偏差値も高めだった。
野球推薦で入るつもりだった祐輝にとって東京選抜とはこれ以上ないアピールポイントだったが、それも潰えた。
一般ではとても入る事ができなかった。
理科と数学の成績が悪かったのが何よりもの原因だった。
学校が終わり祐輝は家に向かっているとミズキが追いかけてきた。
「祐輝君・・・」
「もうランニングなんてしねえよ。」
「本当に投げられないの?」
「痛くて無理だよ。」
越田を倒すとか、プロになるとか自慢げに言っていた祐輝の明るい表情は完全に消え去り暗く切ない表情で歩いていた。
ミズキは何かしてあげたかったが何も頭に浮かばず、祐輝の家の前までついてきて悲しそうな表情を浮かべて家に入る祐輝を見ていた。
抜け殻になった祐輝は部屋に寝転んで天井をただ見つめていた。
越田はいつもの公園で立ち尽くしていた。
「戻って来いよ・・・」
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