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第99話 主将で主砲で主軸
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試合開始。
祐輝は先輩の実力を楽しみに見ていた。
先発投手は3年生エースの大川。
大胆な投球フォームから投げられたストレートに祐輝は絶句した。
なんと初球から143キロの快速球が投げ出されたのだ。
日頃の練習で速い球を投げるなと祐輝は尊敬していたが、ここまでの速度が出ているとは思っていなかった。
大川は明るい性格で千野とは異なり、練習をサボる事が多く頻繁に千野に怒鳴られていた。
だが今日の大川の表情は真剣そのものだ。
「俺がエースなんでよろしく」とでも言っているかの様な快速球だ。
「すげえ。」
「大川さん化け物やん。」
けんせーがそうつぶやいたがまさにその言葉の通りだ。
日頃の明るい性格と練習への取り組み姿勢を見ていれば誰もがこんなストレートを投げるとは思わない。
試合で「化ける」化け物とは大川のためにある言葉だ。
あっという間に3人からアウトを取ると練馬商業の攻撃が始まった。
1番打者は初球からセーフティーバントをすると内野安打で出塁して直ぐに盗塁をして1塁へ進んだ。
2番打者は送りバントでランナーを3塁にまで確実に進めると3番打者がセンター前へヒットを打って早くも先制点を獲得した。
もはやこれだけで先輩達がただ怖いだけの不良少年じゃないという事が証明された。
そして4番打者には千野が立つとバットを外野の奥にあるフェンスへ向けた。
「ホームラン打つからよ」と相手のピッチャーに宣言したのだ。
そして投げられた初球をとてつもない快音を残して振り抜いた。
ボールがバットに当たった瞬間にボールは消え去った。
気がつくとセンターのフェンスの上を通過していった。
「マジかよ。」
祐輝は細い目を見開いて言葉を失った。
「当然だろ」とでも言っているかの様に平然とダイヤモンドを一周して戻ってきた。
すると千野は「どうだ舎弟」と祐輝に指差して笑っていた。
既に祐輝はべた惚れだった。
もし自分が女だったらこの人の妻になりたいと思ってしまうほどに惚れていた。
有言実行を当然の様にこなして、仲間を率いている姿はただの高校生には見えなかった。
試合は10対0でコールド勝ちだった。
得意げにグラウンドから出てくる千野に「お疲れ様でした」と水筒とタオルを渡すと、さっと足元に運動靴を置いた。
そして水筒を受け取るとその場に片膝をついた。
もはやその光景は1年生の舎弟と3年生というよりは兵士と皇帝の様だった。
「今日行くか?」
「是非。」
そして2人はこっそりと試合後に夕食に行くのだ。
チームが解散して電車に乗って帰ると祐輝と千野は最寄り駅の焼肉屋に立ち寄って千野の活躍を称賛する。
千野の親から持たされているであろうお小遣いを祐輝のために使ってくれる千野に更に惚れ込んでいった。
「本当に俺は惚れちゃいましたよ。」
「結婚するか?」
「是非!」
「気持ち悪いよ。」
顔を見合わせて笑う2人は焼肉屋が「もう勘弁してください」というほど肉と米を食べた。
肩を怪我して真っ暗だった祐輝を照らすかの様に千野の生き様はかっこよく、憧れてしまった。
祐輝は先輩の実力を楽しみに見ていた。
先発投手は3年生エースの大川。
大胆な投球フォームから投げられたストレートに祐輝は絶句した。
なんと初球から143キロの快速球が投げ出されたのだ。
日頃の練習で速い球を投げるなと祐輝は尊敬していたが、ここまでの速度が出ているとは思っていなかった。
大川は明るい性格で千野とは異なり、練習をサボる事が多く頻繁に千野に怒鳴られていた。
だが今日の大川の表情は真剣そのものだ。
「俺がエースなんでよろしく」とでも言っているかの様な快速球だ。
「すげえ。」
「大川さん化け物やん。」
けんせーがそうつぶやいたがまさにその言葉の通りだ。
日頃の明るい性格と練習への取り組み姿勢を見ていれば誰もがこんなストレートを投げるとは思わない。
試合で「化ける」化け物とは大川のためにある言葉だ。
あっという間に3人からアウトを取ると練馬商業の攻撃が始まった。
1番打者は初球からセーフティーバントをすると内野安打で出塁して直ぐに盗塁をして1塁へ進んだ。
2番打者は送りバントでランナーを3塁にまで確実に進めると3番打者がセンター前へヒットを打って早くも先制点を獲得した。
もはやこれだけで先輩達がただ怖いだけの不良少年じゃないという事が証明された。
そして4番打者には千野が立つとバットを外野の奥にあるフェンスへ向けた。
「ホームラン打つからよ」と相手のピッチャーに宣言したのだ。
そして投げられた初球をとてつもない快音を残して振り抜いた。
ボールがバットに当たった瞬間にボールは消え去った。
気がつくとセンターのフェンスの上を通過していった。
「マジかよ。」
祐輝は細い目を見開いて言葉を失った。
「当然だろ」とでも言っているかの様に平然とダイヤモンドを一周して戻ってきた。
すると千野は「どうだ舎弟」と祐輝に指差して笑っていた。
既に祐輝はべた惚れだった。
もし自分が女だったらこの人の妻になりたいと思ってしまうほどに惚れていた。
有言実行を当然の様にこなして、仲間を率いている姿はただの高校生には見えなかった。
試合は10対0でコールド勝ちだった。
得意げにグラウンドから出てくる千野に「お疲れ様でした」と水筒とタオルを渡すと、さっと足元に運動靴を置いた。
そして水筒を受け取るとその場に片膝をついた。
もはやその光景は1年生の舎弟と3年生というよりは兵士と皇帝の様だった。
「今日行くか?」
「是非。」
そして2人はこっそりと試合後に夕食に行くのだ。
チームが解散して電車に乗って帰ると祐輝と千野は最寄り駅の焼肉屋に立ち寄って千野の活躍を称賛する。
千野の親から持たされているであろうお小遣いを祐輝のために使ってくれる千野に更に惚れ込んでいった。
「本当に俺は惚れちゃいましたよ。」
「結婚するか?」
「是非!」
「気持ち悪いよ。」
顔を見合わせて笑う2人は焼肉屋が「もう勘弁してください」というほど肉と米を食べた。
肩を怪我して真っ暗だった祐輝を照らすかの様に千野の生き様はかっこよく、憧れてしまった。
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