青春聖戦 24年の思い出

くらまゆうき

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第121話 間もなく3年生

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祐輝の高校生活は順調に進んでいた。


行事も部活も楽しみながら生活していた。


季節は肌寒くなり、冬がやがて迫ってきていた。


野球部の練習は走り込みを重点的に行っていた。


いつもの様に部活を終えて仲間と牛丼を食べては家に帰る。


そんな平凡な毎日を送っている祐輝は卒業後の進路について真剣に母親の真美と話していた。




「適当に。」



仕事に対して意欲のない祐輝はやりたい仕事も特になかった。


お金があれば大学へ行って歴史をもっと学べる。


留学に行って英語でも覚えれば世界の歴史だって好きなだけ学べる。


だが祐輝の家にそんな財力はなかった。


全ては祐一との断絶関係が原因だった。



「子供の将来に投資しないなんてねえ・・・」



真美は悲しそうにつぶやいていた。


結婚する相手を間違えたと口にする真美を見て祐輝はため息をついて部屋に戻っていく。


ベッドに横たわると天井を見つめながら考え込む。


もし真美が祐一ではない誰かと結婚していれば自分は何者となって産まれてきたのか。




「考えても無駄だよなあ・・・確かに増田監督の様な父親がよかった・・・」




自分の人生でいつも向き合ってくれていたのは父親ではない男性だった。


真剣に叱られた事も祐一からは一度もない。


悲しそうに天井を見つめる祐輝は眠りについた。


目を覚ますといつもの様に学校へと向かった。


登校中の電車でアヤノに会うと「就職するの?」と尋ねた。



「どうしようかなー。」
「そんな感じだよなあ。 卒業してもやりたい事なんてないよなあ。」
「そうだねー。 高校生活がずっと続けばいいのにね。」




やがて駅に着いて高校へと歩いているとけんせーが走ってきた。


「おはようっ!!」と朝から元気いっぱいのけんせーも就職について悩んでいた。


「マジやりたい仕事ないわー」と高笑いをしている。




「みんなそうだよなあ。」
「うーん・・・パパ見ていると仕事って本当に大変そう・・・」
「わかるわー!! 毎日朝早く出かけて夜遅く帰って来るよなー。 ってそれは俺らもじゃねーか!! はははははー!!!!!」




呑気に笑うけんせーを見て呆れた様に笑う祐輝とアヤノは毎日通っている高校へと入っていった。


間もなく3年生になる。


あっという間の高校生活だった。


だがまだイベントは残っている。


修学旅行に卒業旅行もある。


野球部の最後の夏だってある。




「そういえば先輩引退したよなあ。」




祐輝もけんせーも興味なさそうに先輩の引退を気にもしていなかった。


世話にもなっていなかった彼らはおまけには夏大会もほとんどのポジションを2年生であるけんせー達が守った。


2回戦で敗退したが、悔しさも特になく来年の夏大会へ向けての準備程度の気持ちだった。



「まあ、あいつら練習もサボってたしどうでもいいよなあ。」
「俺らは最高の夏にしようぜー!!」
「頑張れよ。 俺もマウンド立ちたかったけどさ。」




冬の高校生活も進んでいく。


互いの体をくっつけて仲良くじゃれ合う祐輝とけんせーもいよいよ3年生になる。
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