天冥聖戦 伝説への軌跡

くらまゆうき

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シーズン1序章 消えた神族と悲劇の少年

第11話 世界を知るもう一人

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「青年は街中で突如大声を上げて、胸を抑えて倒れたとのこと。 その後病院に搬送され、死亡が確認されました。 病院と警察は、死因を調査中とのこと」

 そんな物騒なニュースを静かに眺めている。ワンルームの部屋に置かれる、ベットの上で下着姿の女は、立ち上がると伸びをして服を着始めた。

「はあ。 調査中ねえ......どうせ心臓発作とか適当な理由つけられて闇に葬られるんだろうなあ」
「なんじゃ? 真相解明にでも行くか友奈ゆなよ」
「いかないよ厳三郎げんさぶろう」

 服を着た友奈は、部屋から出ると何事もなく職場へと歩き始めた。歳は祐輝と同じぐらいだろうか。現代人らしい今風の服装に、スマートフォンを片手に両耳には、ワイヤレスイヤホンをしている。

「まあ私には関係ないしね」
「相変わらず冷たい女子おなごじゃなあ」
「おお、これは友奈殿。 良い朝ですな。 お勤め先までお供致す」
「おはよお土屋」

 友奈は二人の男と共に歩いている。すると、道の端で壁に向かって立ち尽くしている女がいる。三人が不気味な女の背後を通過すると、長い髪の毛の隙間から凍りついた視線を向けていた。

「あらあら。 お姉さんどうかした?」
「こ......ここで......殺された......」
「犯人は見つかった?」
「い......いえ......」
「気の毒に」

 青白い女は、友奈に同情されると泣きだした。彼女の背中を優しく撫でている友奈の周りで、丁寧に一礼している厳三郎と土屋は、腰に差している刀に手を当てている。
 やがて泣いていた女は、満足したのか姿を消した。それを見届けた友奈は、再び歩き始めた。

「それにしても友奈殿。 やはり貴公の優しさは、例え生者であっても怨霊共に伝わるのですな」
「ほんと大変な星の下に産まれたよねえ私。 生きながら霊界が見えちゃうんだからさ」
「おかげで、我らは楽しい友に出会えましたぞ」
「友奈だけに?」

 土屋が笑っている。顔を二つに斬り裂かれたのではないかと思わせるほど、深く大きな傷痕が壮絶な過去を物語る。赤い鎧兜に身を包んでいる土屋は、かつては侍として生きていた。
 そしてこの霊界でも、友奈の守護者として生きている。隣であくびをしている老人、厳三郎と共に。

「して殿との。 友奈殿は夫を持たぬのでしょうか?」
「何を言っておるのじゃ土屋。 あやつにはわしらの世界が見えておるのじゃ。 やっとの思いで、友奈と同じ力を持った祐輝とか言う男を見つけてきたのに死におったわ」
「無念でござるな......察するに、祐輝とやらは怨霊に殺されましたな」

 怨霊は近づけば、攻撃をしてくる。しかし祐輝の場合は、狙われていたのだ。虎白という存在が封印されていたがために。
 だがこの友奈という女には、さらなる特別な力があった。つい先程、女と話していたが、彼女は怨霊だったのだ。どういうわけか、友奈は怨霊と話すことができた。


 やがて職場に着くと、最低限の挨拶だけを済ませて仕事に取り掛かった。友奈は、一日中パソコンを眺めている事務の仕事をしているが、実際は厳三郎や土屋と話しているだけだ。

「あーめんどくさいなあ」
「そうじゃな。 わしも眠たくなってきたわい」
「厳三郎いつも眠いでしょ。 見てよ土屋なんて刀振るっていつでも戦えるって感じ。 格好いいよねえ......あの雰囲気は現代人には出せないなあ」
「なんじゃ友奈よ。 わしも侍じゃ。 どうじゃ勇ましいじゃろ?」
「ただの着物着たおじいちゃんだよ」

 他愛もない会話をして、画面を見続けて家に帰る。霊界を知る友奈は、会社での出世も、人間関係にも興味がなかった。仕事をしない友奈の悪口を、同僚や上司が言っていてもお構いなしだ。

「みーんな良く頑張るよねえ......これが第一の人生とは知らずにね」
「勤勉なのは良いことですぞ。 友奈殿も少しは見習ってはいかがか?」
「仕事して家帰ってご飯食べて寝て。 起きて同じことの繰り返し......何が楽しくてループ生活してるのやら」
「る、るうぷ? は、はて......とにかくですぞ。 少しは真面目に生きなされ」

 兄貴分のような土屋からの小言は、もはや日課であった。この世の生活に不満を持っている友奈は、生きること自体にさほど興味もなかった。
 霊界が見えているからこそ、この世での生活が窮屈でならなかったのだ。気の抜けた表情で、家に向かっている友奈の隣で土屋が小言を言い終えると、険しい表情をしていた。

「どうしたの?」
「何やら妙でござるな」
「だから何がよー?」
「怨霊共が何やら騒がしいですぞ」

 そう言うと土屋は、足早に怨霊の元へ向かっていった。かつて友奈が通っていた中学校にまで来ると、そこには怨霊が軍隊となって何者かを攻撃していたのだ。
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