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シーズン3 ツンドラ帝国遠征編
第3−3話 変人の発想は予測不能
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後ろ姿を静かに見つめている。馬に揺られて、一定の間隔で上下に動く背中を竹子は見ている。
容姿端麗で、女にすら見える美しい顔からは想像もつかないほど男気溢れる行動をする。そんな神族に、惚れ込んでしまった。しかし、この男は一体何者なんだろうか。竹子は背中を見つめながら考えていた。
「俺がそんなに怖いのか?」
「ええ?」
「一つ約束する。 例え記憶の全てが戻ったとしても、俺はお前を離さない」
「ね、ねえ虎白......あの日の言葉を覚えている?」
愛している。ただ一言でいいから、再び聞きたい。立ち止まって振り返る虎白の顔を見つめた。
虎白は、笑っている。小さく口が開くと、待ち望んだ言葉を放とうとしているのだ。
「おいお前ら何者だ!」
「白陸の鞍馬ってんだ。 お前らの女王様とやらに会わせろよ」
そこへ割って入ってきた怒鳴り声の主は、雪豹の半獣族だ。
竹子は、引きつった顔を戻そうと、必死に無表情を意識した。お構いなしに騒ぎ立てる雪豹の半獣族は、次々に仲間を呼び集め、あっという間に囲まれてしまった。
「ちょっと虎白!」
「これでいいんだ」
「この怪しい二人を捕らえろ」
そして呆気なく捕まってしまったのだ。
馬から引きずり降ろされて、目隠しをされた二人は、馬車へ投げ込まれた。
ガラガラと馬車の車輪の音が響くこと、一時間あまり。
真っ暗であった視界が、一気に明るくなると、多くの異なる半獣族達が鋭い視線を向けているではないか。半円状に並んで座っている彼女らは、まるで会議でもしているかのようだ。
「侵略者の仲間か?」
「殺せ殺せ!」
「ノバ陛下に差し出せ!」
冷静な女の声が聞こえたかと思えば、怒号が響いた。虎白は、直ぐに状況を把握した。
ここが目指していた雪豹の女王の元だと。眼の前にいる麗しい女こそが、お目当ての相手というわけだ。
「俺は南側領土の鞍馬虎白だ」
「やはり侵略者だ! ツンドラに通報しろ!」
「みんな一回黙って! 私はユーラ公国のウランヌだ。 侵略者なら、どうして私の国を平然と歩いていた? まるでわざと捕まりに来たようだな」
今にも噛み殺してしまいそうな、獰猛な視線が二人に送られている。竹子は、顔面蒼白といった表情だ。しかし、虎白はそんな修羅場のような空気の中で小さく笑ったのだ。
一斉に半獣族達が、唸り声をあげて威嚇を始めた。
「どうせ処刑するにしても、ノバお坊っちゃまに引き渡すにしても、敵国の国主と知れば女王が俺達を一目見ると思ってな。 そして捕まりに来た俺達を、直ぐに殺さず理由を聞くところから、お前は優秀と見た」
竹子は意識を失いそうになっている。自分が虎白の背中を見て、愛していると言ってほしいと願っている間、虎白はこんな恐ろしい計画を立てていた。
ウランヌ女王が、即座にノバに引き渡したらどうするつもりだったのか。そしてこの絶体絶命の状況で、ウランヌ女王を観察して平然と語っている。
机に体を乗り上げて、飛びかかろうとしている半獣族の中、ウランヌ女王だけは静かに笑った。
「それで何が言いたいのかな鞍馬殿?」
「ノバを裏切って俺につけ」
「ちょっと虎白!?」
「殺せ!」
我慢の限界。半獣族達は一斉に飛びかかった。だが次の瞬間、ウランヌが怒鳴った。止めろと。
騒然とする空気の中で、一同の視線がウランヌへ集中する。
「そちらに味方すれば、我々の国は滅ぶ。 秦国やスタシアが強いのかもわからない。 ツンドラは強い。 鞍馬殿の要求を飲むには、あまりに危険すぎる」
「半獣族ってのは、嗅覚が良くていいよな」
一体何を語り始めたのだ。議会の視線がウランヌから虎白へ移ると、皆が同じような表情を浮かべた。
しかし虎白の瞳だけは、恐ろしいほどに鋭く一同を見ている。
「例えば、秦軍の兵士の臭いってのも嗅ぎ分けることができるはずだよな?」
「失礼だが何を言いたいのかな?」
「いやあよ......今直ぐに俺達がこのユーラ公国に攻め込めば、ツンドラの援軍も間に合わないよな......お前の民は発達した嗅覚から、直ぐに秦軍に気がついて怯えるだろうな」
つまり脅しているわけか。ウランヌの眉間に微かにしわが寄った。同時に虎白の言っていることが、当たっているという恐怖心すらもあった。
ツンドラは大国がために、大軍を集めてからこの辺境の地に来るには時間がかかる。もし秦軍が、直ぐ近くにいればユーラ公国は滅亡するかもしれない。
落ち着き払った表情をなんとか保ったウランヌの額には、微かに汗が流れた。
「それに俺がこうも簡単に捕まるなんてなあ......こんな危険なことは捕まってお前らの前に引き出されるって知ってなきゃできねえよ怖くてよ......」
「なっ!? じゃあ知っていたのか!?」
「隣りにいる連中が味方って誰が決めたんだ? ノバに怯えているだけの寄り合いだろ? ツンドラの暴政から解放してくれるって思えば、情報の一つぐらい教えてくれるよな......」
次の瞬間、互いの顔を見合わせた。まさかこの状況で裏切り者がいるのか。しかし虎白の落ち着き払った態度を見ると、嘘ではないのかもしれない。
これが本当なら、無謀にも捕まって来るというのも理解できる。議会の空気が一瞬にして、張り詰めた。虎白の凄まじいまでの視線は、ウランヌ女王だけを見ている。
だが次の瞬間、虎白すらも予想していなかったことが起きた。
「ハーッハッハッハ! わかったよ鞍馬殿......味方するよ」
「......ほう?」
「きっと今言っていることは、嘘なんだよね? だが一つ確実なのは、ツンドラ軍より秦軍の方が近くにいるってことだ......そして何より、ツンドラに刃突きつけられる毎日はうんざりだ」
ウランヌは虎白の度胸に感服した。これは全て嘘で、大きな賭けをしたというわけだ。そんな危険を背負ってまで、会いに来た虎白に負けたとウランヌ女王は思ったのだ。
肩の力が抜けたように、議会の窓を開いた。そこにはユーラ公国の広い平原が、見渡せる。はずだった。
「だから言っただろう? 臨機応変さが必要なんだ......俺にもこの次の動きはわからん......」
窓を開けると、人間の臭いが流れ込んできた。遥か遠くだが、発達した視力で確かに見えている。「秦」と書かれる旗印が、無数に迫ってきていることに。
虎白は議会の扉に手をかけた。そして振り返ると、瞳孔が開いた強烈な視線を送った。
「俺は嘘だよとは一言も言ってねえ......味方になってくれて感謝するぜ。 おかげで滅亡しなくて済んだな......」
部屋から出ていった。
容姿端麗で、女にすら見える美しい顔からは想像もつかないほど男気溢れる行動をする。そんな神族に、惚れ込んでしまった。しかし、この男は一体何者なんだろうか。竹子は背中を見つめながら考えていた。
「俺がそんなに怖いのか?」
「ええ?」
「一つ約束する。 例え記憶の全てが戻ったとしても、俺はお前を離さない」
「ね、ねえ虎白......あの日の言葉を覚えている?」
愛している。ただ一言でいいから、再び聞きたい。立ち止まって振り返る虎白の顔を見つめた。
虎白は、笑っている。小さく口が開くと、待ち望んだ言葉を放とうとしているのだ。
「おいお前ら何者だ!」
「白陸の鞍馬ってんだ。 お前らの女王様とやらに会わせろよ」
そこへ割って入ってきた怒鳴り声の主は、雪豹の半獣族だ。
竹子は、引きつった顔を戻そうと、必死に無表情を意識した。お構いなしに騒ぎ立てる雪豹の半獣族は、次々に仲間を呼び集め、あっという間に囲まれてしまった。
「ちょっと虎白!」
「これでいいんだ」
「この怪しい二人を捕らえろ」
そして呆気なく捕まってしまったのだ。
馬から引きずり降ろされて、目隠しをされた二人は、馬車へ投げ込まれた。
ガラガラと馬車の車輪の音が響くこと、一時間あまり。
真っ暗であった視界が、一気に明るくなると、多くの異なる半獣族達が鋭い視線を向けているではないか。半円状に並んで座っている彼女らは、まるで会議でもしているかのようだ。
「侵略者の仲間か?」
「殺せ殺せ!」
「ノバ陛下に差し出せ!」
冷静な女の声が聞こえたかと思えば、怒号が響いた。虎白は、直ぐに状況を把握した。
ここが目指していた雪豹の女王の元だと。眼の前にいる麗しい女こそが、お目当ての相手というわけだ。
「俺は南側領土の鞍馬虎白だ」
「やはり侵略者だ! ツンドラに通報しろ!」
「みんな一回黙って! 私はユーラ公国のウランヌだ。 侵略者なら、どうして私の国を平然と歩いていた? まるでわざと捕まりに来たようだな」
今にも噛み殺してしまいそうな、獰猛な視線が二人に送られている。竹子は、顔面蒼白といった表情だ。しかし、虎白はそんな修羅場のような空気の中で小さく笑ったのだ。
一斉に半獣族達が、唸り声をあげて威嚇を始めた。
「どうせ処刑するにしても、ノバお坊っちゃまに引き渡すにしても、敵国の国主と知れば女王が俺達を一目見ると思ってな。 そして捕まりに来た俺達を、直ぐに殺さず理由を聞くところから、お前は優秀と見た」
竹子は意識を失いそうになっている。自分が虎白の背中を見て、愛していると言ってほしいと願っている間、虎白はこんな恐ろしい計画を立てていた。
ウランヌ女王が、即座にノバに引き渡したらどうするつもりだったのか。そしてこの絶体絶命の状況で、ウランヌ女王を観察して平然と語っている。
机に体を乗り上げて、飛びかかろうとしている半獣族の中、ウランヌ女王だけは静かに笑った。
「それで何が言いたいのかな鞍馬殿?」
「ノバを裏切って俺につけ」
「ちょっと虎白!?」
「殺せ!」
我慢の限界。半獣族達は一斉に飛びかかった。だが次の瞬間、ウランヌが怒鳴った。止めろと。
騒然とする空気の中で、一同の視線がウランヌへ集中する。
「そちらに味方すれば、我々の国は滅ぶ。 秦国やスタシアが強いのかもわからない。 ツンドラは強い。 鞍馬殿の要求を飲むには、あまりに危険すぎる」
「半獣族ってのは、嗅覚が良くていいよな」
一体何を語り始めたのだ。議会の視線がウランヌから虎白へ移ると、皆が同じような表情を浮かべた。
しかし虎白の瞳だけは、恐ろしいほどに鋭く一同を見ている。
「例えば、秦軍の兵士の臭いってのも嗅ぎ分けることができるはずだよな?」
「失礼だが何を言いたいのかな?」
「いやあよ......今直ぐに俺達がこのユーラ公国に攻め込めば、ツンドラの援軍も間に合わないよな......お前の民は発達した嗅覚から、直ぐに秦軍に気がついて怯えるだろうな」
つまり脅しているわけか。ウランヌの眉間に微かにしわが寄った。同時に虎白の言っていることが、当たっているという恐怖心すらもあった。
ツンドラは大国がために、大軍を集めてからこの辺境の地に来るには時間がかかる。もし秦軍が、直ぐ近くにいればユーラ公国は滅亡するかもしれない。
落ち着き払った表情をなんとか保ったウランヌの額には、微かに汗が流れた。
「それに俺がこうも簡単に捕まるなんてなあ......こんな危険なことは捕まってお前らの前に引き出されるって知ってなきゃできねえよ怖くてよ......」
「なっ!? じゃあ知っていたのか!?」
「隣りにいる連中が味方って誰が決めたんだ? ノバに怯えているだけの寄り合いだろ? ツンドラの暴政から解放してくれるって思えば、情報の一つぐらい教えてくれるよな......」
次の瞬間、互いの顔を見合わせた。まさかこの状況で裏切り者がいるのか。しかし虎白の落ち着き払った態度を見ると、嘘ではないのかもしれない。
これが本当なら、無謀にも捕まって来るというのも理解できる。議会の空気が一瞬にして、張り詰めた。虎白の凄まじいまでの視線は、ウランヌ女王だけを見ている。
だが次の瞬間、虎白すらも予想していなかったことが起きた。
「ハーッハッハッハ! わかったよ鞍馬殿......味方するよ」
「......ほう?」
「きっと今言っていることは、嘘なんだよね? だが一つ確実なのは、ツンドラ軍より秦軍の方が近くにいるってことだ......そして何より、ツンドラに刃突きつけられる毎日はうんざりだ」
ウランヌは虎白の度胸に感服した。これは全て嘘で、大きな賭けをしたというわけだ。そんな危険を背負ってまで、会いに来た虎白に負けたとウランヌ女王は思ったのだ。
肩の力が抜けたように、議会の窓を開いた。そこにはユーラ公国の広い平原が、見渡せる。はずだった。
「だから言っただろう? 臨機応変さが必要なんだ......俺にもこの次の動きはわからん......」
窓を開けると、人間の臭いが流れ込んできた。遥か遠くだが、発達した視力で確かに見えている。「秦」と書かれる旗印が、無数に迫ってきていることに。
虎白は議会の扉に手をかけた。そして振り返ると、瞳孔が開いた強烈な視線を送った。
「俺は嘘だよとは一言も言ってねえ......味方になってくれて感謝するぜ。 おかげで滅亡しなくて済んだな......」
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