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シーズン4. メテオ海戦編
第5ー14話 狂った平和理論
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怒りとは想定外の連発や自身では理解しているが、行動に移すことができない状況などで発生しやすい感情だ。
挑発を続ける相手に口論や暴力などで対処しようにもそれは現実的には難しい時もある。
そうなれば怒りの感情が腹の中でぐつぐつと煮えたぎるものだ。
冥府軍と自身の私兵である特殊部隊を率いて山中へ入ったウィッチとマシューはエヴァとジェイクの部隊を殲滅しようと、目を光らせていた。
音もなく近づいた所までは良かったのだが、ここで想定外の事態がウィッチの計画の邪魔をした。
冥府軍の大軍の中に紛れていた不死隊の生き残りによる攻撃である。
一般の冥府兵と同じ装束をしていた事から気がつく事のできなかったウィッチと仲間達は奇襲を受けて、エヴァ達を取り逃がしてしまった。
その怒りは当然ながら不死隊へと向くのだ。
白い顔を赤くして怒るウィッチは仲間に反撃を命じると、不死隊を速やかに殲滅していった。
「死ねっ!!!! これで天上軍に気がつかれたでしょ!!!!」
冥府軍接近の知らせを天上界に知らせないために、前もってエヴァ達を壊滅させようと忍び寄っていた。
それを不死隊によって邪魔された怒りは収まる事なく、戦闘不能になって倒れていく不死隊の顔を踏みつけている。
力が抜けて弱っている彼らに容赦なく暴行を続けると、立ち上がらせて木にくくりつけた。
何本もの木に数名の不死隊が衰弱した状態でくくりつけられると、射撃練習でもしているかの様に彼らの体を撃ち抜いている。
決して急所には当てる事なく。
「命乞いしろお前ら!!!!」
「ウィッチ落ち着け、追いかければ間に合うかもしれないぞ」
「敵は茂みから姿すら見せなかった精鋭だわ!!!! 今更追いかけても間に合わねえわ!!!!」
ウィッチが激昂して話すエヴァ達の練度の高さは見上げたものだった。
激しい銃撃と、使い捨ての冥府兵を進ませたにも関わらず誰一人死ぬ事なく撤退してみせたのだ。
やり場のない怒りを全面に不死隊に向けるウィッチの拷問は言葉にする事も悍ましい光景であった。
惨劇を隣で見ているマシューは声を発する事こそなかったが、この状況で悲鳴を上げる者すらいない不死隊の気高さに感服していた。
味方にすれば優秀な部隊だったのになと心の中でつぶやくと、拷問を続けるウィッチの眼の前で彼らの急所に弾丸を撃ち込んだ。
「何してんのよ!!!! まだ殺すとは言ってないわ!!!!」
「もう十分だ。 彼らの忠義は亡き女帝にしかない。 殺して女帝の元へ送ってやれ」
不死隊はエヴァを救うために現れたわけではない。
亡きアルテミシアの領土を蹂躙された事への報復と言える。
彼らの鉄の忠義は時に、自身の命よりも重要なものであった。
絶命するその瞬間まで悲鳴を上げる様な惨めな姿を見せる事なく女帝への忠義を貫いた彼らを見たマシューはどこか悲しげな表情すらしていた。
だがマシューの女帝様は納得のいった様子ではない。
変わらず激昂して不死隊の亡骸に射撃を続ける彼女の腕を掴むと、その場に片膝をついた。
「俺達の女帝はお前だ。 もしお前が殺されれば俺らも同じ事をする。 お前が思い描く夢の果てへ行こう」
常軌を逸しているウィッチに従順に従うマシューは何故、ここまで正気とは思えない彼女に従うのか。
それは彼女とマシューの第一の人生にまで遡る。
両親から愛されず、感情が欠落したウィッチは特殊部隊に入り殺しを楽しんでいた。
マシューはある日、彼女の残虐行為を咎めた事があった。
「もう止めろ」
「止めない、殺しは私の趣味だから」
「そうだウィッチ・・・俺はお前の夢が聞きたい・・・殺し続けるのが夢じゃないだろ」
彼女の腐り果てた心の中で微かに燃えている希望の炎を感じていたマシューはそれが何か知りたがった。
かつては猫を焼き殺していたウィッチが、軍人になってからは女子供を殺さなくなっていた。
それが何を意味しているのか尋ねるとウィッチの氷ついた瞳が微かに光りを捉えたのだ。
「殺しは楽しいよ。 でもいつか邪魔なやつが全員死んで私にとって都合の良い世の中になれば、子供を殴る母親も子供を抱きたがる父親も私の決定で殺せる」
ウィッチが話している内容は自身の壮絶な過去だ。
マシューは長い年月共にしてきたが、彼女がそんな話しをしている姿を初めて見た。
彼女にとって都合の悪い者を皆殺しにする世の中。
それはあまりに自分勝手な意見にも聞こえるが、ウィッチは涙ながらに話しを続けたのだ。
「クズが生きているからクズが生まれるの。 だから全員殺して私もいつか死ぬ。 そうなれば次にクズは生まれないでしょ。 私が全員道連れにするの」
狂気の沙汰とも言える発想だが、マシューには彼女の話の本質が見えていた。
つまるところ自身と同じ経験をする人間を未来に作りたくないと話しているのだ。
だが既に歪んでしまった彼女の殺しへの快感は消える事はない。
ウィッチが話すクズの中には彼女自身も入っているというわけだ。
その上で全員が死ねば平和な世界が来ると話している。
マシューは話しを静かに聞きながら、彼女の細い背中をさすっていた。
するとウィッチは柄にもない泣き顔のまま、顔を上げると小さく言葉を発した。
「お前みたいな馬鹿正直でいいヤツが生きていれば世界は平和になるんじゃない? クズは私が全員殺すから、後はあんたがみんなを幸せにしてあげてよ」
その言葉を聞いた日から今日までマシューは鉄の忠義を誓った。
必ずウィッチの思い描く未来を創り上げると。
だがそれが実現される頃にはウィッチは死んでいるというわけだ。
今日までにウィッチが行ってきた残虐行為の数々からすれば、彼女の話すクズの分類に入っている。
全てを承知の上でウィッチは未来を思い描いていたのだ。
片膝をついて頭を下げているマシューはウィッチの手を握ると、口を添えた。
「お前が死んだ後の世界は引き受けた。 それまではどれだけ手を染めようとも進み続けよう。 天上界にもクズはいるものな」
そう話す二人は顔を見合わせると、微かに微笑んで下山を始めた。
目的は天上界のクズを根絶やしにするために。
挑発を続ける相手に口論や暴力などで対処しようにもそれは現実的には難しい時もある。
そうなれば怒りの感情が腹の中でぐつぐつと煮えたぎるものだ。
冥府軍と自身の私兵である特殊部隊を率いて山中へ入ったウィッチとマシューはエヴァとジェイクの部隊を殲滅しようと、目を光らせていた。
音もなく近づいた所までは良かったのだが、ここで想定外の事態がウィッチの計画の邪魔をした。
冥府軍の大軍の中に紛れていた不死隊の生き残りによる攻撃である。
一般の冥府兵と同じ装束をしていた事から気がつく事のできなかったウィッチと仲間達は奇襲を受けて、エヴァ達を取り逃がしてしまった。
その怒りは当然ながら不死隊へと向くのだ。
白い顔を赤くして怒るウィッチは仲間に反撃を命じると、不死隊を速やかに殲滅していった。
「死ねっ!!!! これで天上軍に気がつかれたでしょ!!!!」
冥府軍接近の知らせを天上界に知らせないために、前もってエヴァ達を壊滅させようと忍び寄っていた。
それを不死隊によって邪魔された怒りは収まる事なく、戦闘不能になって倒れていく不死隊の顔を踏みつけている。
力が抜けて弱っている彼らに容赦なく暴行を続けると、立ち上がらせて木にくくりつけた。
何本もの木に数名の不死隊が衰弱した状態でくくりつけられると、射撃練習でもしているかの様に彼らの体を撃ち抜いている。
決して急所には当てる事なく。
「命乞いしろお前ら!!!!」
「ウィッチ落ち着け、追いかければ間に合うかもしれないぞ」
「敵は茂みから姿すら見せなかった精鋭だわ!!!! 今更追いかけても間に合わねえわ!!!!」
ウィッチが激昂して話すエヴァ達の練度の高さは見上げたものだった。
激しい銃撃と、使い捨ての冥府兵を進ませたにも関わらず誰一人死ぬ事なく撤退してみせたのだ。
やり場のない怒りを全面に不死隊に向けるウィッチの拷問は言葉にする事も悍ましい光景であった。
惨劇を隣で見ているマシューは声を発する事こそなかったが、この状況で悲鳴を上げる者すらいない不死隊の気高さに感服していた。
味方にすれば優秀な部隊だったのになと心の中でつぶやくと、拷問を続けるウィッチの眼の前で彼らの急所に弾丸を撃ち込んだ。
「何してんのよ!!!! まだ殺すとは言ってないわ!!!!」
「もう十分だ。 彼らの忠義は亡き女帝にしかない。 殺して女帝の元へ送ってやれ」
不死隊はエヴァを救うために現れたわけではない。
亡きアルテミシアの領土を蹂躙された事への報復と言える。
彼らの鉄の忠義は時に、自身の命よりも重要なものであった。
絶命するその瞬間まで悲鳴を上げる様な惨めな姿を見せる事なく女帝への忠義を貫いた彼らを見たマシューはどこか悲しげな表情すらしていた。
だがマシューの女帝様は納得のいった様子ではない。
変わらず激昂して不死隊の亡骸に射撃を続ける彼女の腕を掴むと、その場に片膝をついた。
「俺達の女帝はお前だ。 もしお前が殺されれば俺らも同じ事をする。 お前が思い描く夢の果てへ行こう」
常軌を逸しているウィッチに従順に従うマシューは何故、ここまで正気とは思えない彼女に従うのか。
それは彼女とマシューの第一の人生にまで遡る。
両親から愛されず、感情が欠落したウィッチは特殊部隊に入り殺しを楽しんでいた。
マシューはある日、彼女の残虐行為を咎めた事があった。
「もう止めろ」
「止めない、殺しは私の趣味だから」
「そうだウィッチ・・・俺はお前の夢が聞きたい・・・殺し続けるのが夢じゃないだろ」
彼女の腐り果てた心の中で微かに燃えている希望の炎を感じていたマシューはそれが何か知りたがった。
かつては猫を焼き殺していたウィッチが、軍人になってからは女子供を殺さなくなっていた。
それが何を意味しているのか尋ねるとウィッチの氷ついた瞳が微かに光りを捉えたのだ。
「殺しは楽しいよ。 でもいつか邪魔なやつが全員死んで私にとって都合の良い世の中になれば、子供を殴る母親も子供を抱きたがる父親も私の決定で殺せる」
ウィッチが話している内容は自身の壮絶な過去だ。
マシューは長い年月共にしてきたが、彼女がそんな話しをしている姿を初めて見た。
彼女にとって都合の悪い者を皆殺しにする世の中。
それはあまりに自分勝手な意見にも聞こえるが、ウィッチは涙ながらに話しを続けたのだ。
「クズが生きているからクズが生まれるの。 だから全員殺して私もいつか死ぬ。 そうなれば次にクズは生まれないでしょ。 私が全員道連れにするの」
狂気の沙汰とも言える発想だが、マシューには彼女の話の本質が見えていた。
つまるところ自身と同じ経験をする人間を未来に作りたくないと話しているのだ。
だが既に歪んでしまった彼女の殺しへの快感は消える事はない。
ウィッチが話すクズの中には彼女自身も入っているというわけだ。
その上で全員が死ねば平和な世界が来ると話している。
マシューは話しを静かに聞きながら、彼女の細い背中をさすっていた。
するとウィッチは柄にもない泣き顔のまま、顔を上げると小さく言葉を発した。
「お前みたいな馬鹿正直でいいヤツが生きていれば世界は平和になるんじゃない? クズは私が全員殺すから、後はあんたがみんなを幸せにしてあげてよ」
その言葉を聞いた日から今日までマシューは鉄の忠義を誓った。
必ずウィッチの思い描く未来を創り上げると。
だがそれが実現される頃にはウィッチは死んでいるというわけだ。
今日までにウィッチが行ってきた残虐行為の数々からすれば、彼女の話すクズの分類に入っている。
全てを承知の上でウィッチは未来を思い描いていたのだ。
片膝をついて頭を下げているマシューはウィッチの手を握ると、口を添えた。
「お前が死んだ後の世界は引き受けた。 それまではどれだけ手を染めようとも進み続けよう。 天上界にもクズはいるものな」
そう話す二人は顔を見合わせると、微かに微笑んで下山を始めた。
目的は天上界のクズを根絶やしにするために。
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