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シーズン4. メテオ海戦編
第5ー15話 変人と大空の天使
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優位性とは何事にも必要な事である。
仕事をする上で他社や同僚社員よりも自身が、この点において他よりも勝っていると自他共に認められる部分があれば、それは強力な武器となる。
それは国を運営していく上でも大切な事であった。
天上界では近代戦闘に精通している者が未だ下界を彷徨っているがために発達していない。
虎白の白陸はその中において、エヴァの獲得という優位性を見出した。
だが競合他社と言える冥府軍にも既に特殊部隊の存在がいた。
その事実をまだ知らない虎白に中間地点で見た全てを話すためにエヴァと仲間達は天上界へと戻ってきた。
大急ぎで白陸へ向かうエヴァは疲れた表情をしながら、ふと上空を見ると天上界では見慣れないものが飛んでいた。
「あれは戦闘機か!?」
「だねえ。 私の知っている人間なら戦闘機の製造もできるけどまさかね・・・」
天上界の空は鳥人族が自由に飛行できる安全地帯とも言える。
そんな大空を優雅に飛行している鉄の鳥は一体誰が製造して誰が乗っているのか。
疑問を頭に抱えながらも、中間地点で見た冥府軍襲来の知らせを虎白に伝えなくてはと細い足を急がせた。
やがて白陸に入ると、衛兵が足早に駆け寄ってきた。
「何者だ!?」
「鞍馬虎白の仲間だけど、急ぎ伝えたい事があるの」
「虎白様はあちらの平原にいらっしゃる。 ついてこい」
白陸に加わって日の浅いエヴァは白陸兵に顔が知られていない。
警戒した様子の衛兵の鋭い視線を浴びながら、近くの平原へと進んだ。
そこでは白い着物を風になびかせて、腕を組んで立っている虎白と仲間達がいるではないか。
「おお、エヴァ。 中間地点はどうだった?」
「話したい事が山程あるけど、結論から言うと冥府軍が来てるよ・・・」
これは深刻な問題だと話すエヴァに突如として何者かが飛びついてきた。
訳の分からないまま、吹き飛んで目を見開くと馬乗りになって顔を近づけているメガネをかけた茶髪の良く似合う美女が笑っている。
本来ならエヴァにこんな目を合わせれば、ジェイクが黙ってないがその大男ですら笑ってみているではないか。
けらけらと笑っている女はエヴァから降りると、再び抱きついた。
「エヴァもここにいるのー? うんうん。 いやあ久しぶりねえ!!!!」
「久しぶりサラ、何してんの!?」
「戦闘機の製造を頼まれたから作ったのよーうんうん」
特徴的な相槌あいずちを打つ「サラ」と呼ばれた女は美貌に似合わず、とんだ変人だ。
しかしサラが話したとおり彼女は戦闘機を作ったのだ。
冥府軍襲来を聞いて険しい表情をする虎白が空を見ていると、戦闘機が飛来したではないか。
近代の戦闘機と言える性能が高い戦闘機を有した虎白はどこか自慢げでもあった。
やがて戦闘機が一同の前に着陸を始めると、物凄い強風が襲ったが、エヴァはそれでも右目を隠している。
そこまで見せたくない過去とも言えるのだ。
虎白の気にかける視線に気がつかないふりをしたエヴァはサラの作った戦闘機の様子を見に行った。
「おいエヴァ待て。 それよりお前はサラと知り合いなのか?」
「知ってるよーサラは国を代表する技術者だったからねー」
「そうだったか。 変人で誰とも話が合わないと天王が紹介してくれたんだ」
女が好きでたまらないゼウスですらお手上げといったサラは、とにかく一人で話し続けている。
第一の人生で国家を代表する天才技術者だったサラだが、あまりの変人っぷりと近代戦闘の知識がない各国の国主からすると必要のない女であった。
仕方なく王都オリュンポスで暮らしていたが、度々口説きに来たゼウスも話があまりに噛み合わない事から寝室へ連れ込む事ができずにいた。
そんな変人だったが、虎白にとっては喉から手が出るほど必要な存在だったというわけだ。
彼女の製造した戦闘機は性能が良く、直ぐにも実戦に配備できるほどであった。
圧倒的な優位性を獲得した虎白の自慢げな表情をよそにエヴァは操縦しているパイロットが気になって仕方なかった。
「おーさいこー!! うごかしやすいよお!!」
コックピットから顔を出したのは半獣族のヒューマノイドだ。
彼女の名は春花しゅんか。
鳥人族の戦士長鵜乱と共に白陸に加わったが、自慢の戦闘機がない事から皆の役に立てずに城で自堕落な生活をしていた。
そんな春花もこれで戦力になったというわけだ。
エヴァはまるで子供の様な春花に驚愕して口元に白い手を当てた。
コックピットから飛び降りると、上機嫌で戦闘機の性能に満足している春花は嬉しさから虎白に抱きついた。
「まんぞくだよお!! ありがとね!!!!」
「それにしても本当にパイロットだったんだな・・・サラを探し当ててよかったぜ」
小さな子どもにしか見えない春花の虚言かと半信半疑であった虎白は、安堵の表情を浮かべながら抱きついている小さな空の天使の頭をふさふさとなでている。
そんな微笑ましい光景を見ているエヴァは我に返った様に喋り続けているサラを押しのけて、本題へと入った。
中間地点で見た冥府軍の中に存在した特殊部隊の話しだ。
エヴァ達を持ってしても誰一人、射殺する事のできなかった精鋭の話しを聞いた虎白は険しい表情をしている。
「なんだよ。 せっかくの新戦力が・・・敵は大軍か?」
「とにかく多かった・・・たぶんもう間もなく・・・」
もう間もなく来るよと話そうとしたその時だ。
赤い狼煙が各地で上がっている様子が視界に入った。
これも天上議会で話し合った取り決めの一つだ。
赤い狼煙が上がった際は、冥府軍襲来を意味するので速やかに自国民を避難させよ。
という取り決めだ。
白い着物を優雅にかつ、勇ましくなびかせた虎白は足早に城へと戻っていった。
「お前ら行くぞ。 もうメテオ海戦の様な惨劇は起こさねえ」
そう話した虎白の細いが、たくましい背中に続く一同はまだ見ぬウィッチという大敵に挑むのであった。
仕事をする上で他社や同僚社員よりも自身が、この点において他よりも勝っていると自他共に認められる部分があれば、それは強力な武器となる。
それは国を運営していく上でも大切な事であった。
天上界では近代戦闘に精通している者が未だ下界を彷徨っているがために発達していない。
虎白の白陸はその中において、エヴァの獲得という優位性を見出した。
だが競合他社と言える冥府軍にも既に特殊部隊の存在がいた。
その事実をまだ知らない虎白に中間地点で見た全てを話すためにエヴァと仲間達は天上界へと戻ってきた。
大急ぎで白陸へ向かうエヴァは疲れた表情をしながら、ふと上空を見ると天上界では見慣れないものが飛んでいた。
「あれは戦闘機か!?」
「だねえ。 私の知っている人間なら戦闘機の製造もできるけどまさかね・・・」
天上界の空は鳥人族が自由に飛行できる安全地帯とも言える。
そんな大空を優雅に飛行している鉄の鳥は一体誰が製造して誰が乗っているのか。
疑問を頭に抱えながらも、中間地点で見た冥府軍襲来の知らせを虎白に伝えなくてはと細い足を急がせた。
やがて白陸に入ると、衛兵が足早に駆け寄ってきた。
「何者だ!?」
「鞍馬虎白の仲間だけど、急ぎ伝えたい事があるの」
「虎白様はあちらの平原にいらっしゃる。 ついてこい」
白陸に加わって日の浅いエヴァは白陸兵に顔が知られていない。
警戒した様子の衛兵の鋭い視線を浴びながら、近くの平原へと進んだ。
そこでは白い着物を風になびかせて、腕を組んで立っている虎白と仲間達がいるではないか。
「おお、エヴァ。 中間地点はどうだった?」
「話したい事が山程あるけど、結論から言うと冥府軍が来てるよ・・・」
これは深刻な問題だと話すエヴァに突如として何者かが飛びついてきた。
訳の分からないまま、吹き飛んで目を見開くと馬乗りになって顔を近づけているメガネをかけた茶髪の良く似合う美女が笑っている。
本来ならエヴァにこんな目を合わせれば、ジェイクが黙ってないがその大男ですら笑ってみているではないか。
けらけらと笑っている女はエヴァから降りると、再び抱きついた。
「エヴァもここにいるのー? うんうん。 いやあ久しぶりねえ!!!!」
「久しぶりサラ、何してんの!?」
「戦闘機の製造を頼まれたから作ったのよーうんうん」
特徴的な相槌あいずちを打つ「サラ」と呼ばれた女は美貌に似合わず、とんだ変人だ。
しかしサラが話したとおり彼女は戦闘機を作ったのだ。
冥府軍襲来を聞いて険しい表情をする虎白が空を見ていると、戦闘機が飛来したではないか。
近代の戦闘機と言える性能が高い戦闘機を有した虎白はどこか自慢げでもあった。
やがて戦闘機が一同の前に着陸を始めると、物凄い強風が襲ったが、エヴァはそれでも右目を隠している。
そこまで見せたくない過去とも言えるのだ。
虎白の気にかける視線に気がつかないふりをしたエヴァはサラの作った戦闘機の様子を見に行った。
「おいエヴァ待て。 それよりお前はサラと知り合いなのか?」
「知ってるよーサラは国を代表する技術者だったからねー」
「そうだったか。 変人で誰とも話が合わないと天王が紹介してくれたんだ」
女が好きでたまらないゼウスですらお手上げといったサラは、とにかく一人で話し続けている。
第一の人生で国家を代表する天才技術者だったサラだが、あまりの変人っぷりと近代戦闘の知識がない各国の国主からすると必要のない女であった。
仕方なく王都オリュンポスで暮らしていたが、度々口説きに来たゼウスも話があまりに噛み合わない事から寝室へ連れ込む事ができずにいた。
そんな変人だったが、虎白にとっては喉から手が出るほど必要な存在だったというわけだ。
彼女の製造した戦闘機は性能が良く、直ぐにも実戦に配備できるほどであった。
圧倒的な優位性を獲得した虎白の自慢げな表情をよそにエヴァは操縦しているパイロットが気になって仕方なかった。
「おーさいこー!! うごかしやすいよお!!」
コックピットから顔を出したのは半獣族のヒューマノイドだ。
彼女の名は春花しゅんか。
鳥人族の戦士長鵜乱と共に白陸に加わったが、自慢の戦闘機がない事から皆の役に立てずに城で自堕落な生活をしていた。
そんな春花もこれで戦力になったというわけだ。
エヴァはまるで子供の様な春花に驚愕して口元に白い手を当てた。
コックピットから飛び降りると、上機嫌で戦闘機の性能に満足している春花は嬉しさから虎白に抱きついた。
「まんぞくだよお!! ありがとね!!!!」
「それにしても本当にパイロットだったんだな・・・サラを探し当ててよかったぜ」
小さな子どもにしか見えない春花の虚言かと半信半疑であった虎白は、安堵の表情を浮かべながら抱きついている小さな空の天使の頭をふさふさとなでている。
そんな微笑ましい光景を見ているエヴァは我に返った様に喋り続けているサラを押しのけて、本題へと入った。
中間地点で見た冥府軍の中に存在した特殊部隊の話しだ。
エヴァ達を持ってしても誰一人、射殺する事のできなかった精鋭の話しを聞いた虎白は険しい表情をしている。
「なんだよ。 せっかくの新戦力が・・・敵は大軍か?」
「とにかく多かった・・・たぶんもう間もなく・・・」
もう間もなく来るよと話そうとしたその時だ。
赤い狼煙が各地で上がっている様子が視界に入った。
これも天上議会で話し合った取り決めの一つだ。
赤い狼煙が上がった際は、冥府軍襲来を意味するので速やかに自国民を避難させよ。
という取り決めだ。
白い着物を優雅にかつ、勇ましくなびかせた虎白は足早に城へと戻っていった。
「お前ら行くぞ。 もうメテオ海戦の様な惨劇は起こさねえ」
そう話した虎白の細いが、たくましい背中に続く一同はまだ見ぬウィッチという大敵に挑むのであった。
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