転生魔法伝記〜魔法を極めたいと思いますが、それを邪魔する者は排除しておきます〜

凛 伊緒

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2章 王と陰謀

第6話 期待と実行前日

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「リアラは上手くいっているのかな?」

「分からないな。」

「珍しいね。リルクが分からないと言うのは。」

「ああ。転移魔法が使えるらしく、いきなり消えるからな。いくら私でも、転移されてはどこで何をしているのかすら分からない。」

「転移魔法も使えるんだね。私が思っている以上に、リアラは規格外ということか。」



レヴィーアの計画実行前日、王室では国王ヴィライユと側近執事のマーリルクが話し合っていた。
1週間という短い猶予の中、2人はリアラとその側近であるミアスが、どういう動きをしているのか、掴めていなかった。
もちろん、これはリアラがあえてそうしていたのだが。



「レヴィーアの方はどうだい?」

「ああ、それなら掴めているよ。順調に進められているようだ。夜更けに密会を重ね、より確実に成功させようとしているみたいだな。」

「そうか。リアラに期待するしかない…か。」



リアラが計画を止めるべく動いている中、それを知る由もないレヴィーアは、着実に準備を進めていた。



「なあ、リルク。リアラは本当に止められるのだろうか…。」

「心配は無用だろう。」



そう、マーリルクは言い切った。
ヴィライユは当然の質問をする。



「どうして言い切れるんだい?」



その質問に対し、マーリルクは薄く笑いながら言った。



「あれほど真っ直ぐで先を見据えたような瞳は見た事がないな。リアラは本気でお前を、そして兄を守ろうとしている。だから大丈夫だろう。」

「そう…だね。リアラを信じるよ。」

「ああ。私もだ。」



そうして、2人はリアラに期待したのだった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


私とミアスはその日、最終確認をしていた。



「さて、レヴィーア兄様が行く前に、私達で止める算段だけど、問題ないわね?」

「大丈夫だろう。その為に新魔法を開発したんだからな。」

「ふふっ。それもそうね。1人1人を相手にするより、一気に無力化させる方がいいものね。」

「当たり前だ。」



明日のために、私達2人は新魔法を開発していた。
対象を欠片も残さずに殲滅する、広範囲魔法だ。
殺したくなければ、対象から外す事でその効果を回避させることが出来る。



「明日のために練習を重ねてきたんだもの。必ず成功させて、計画を阻止して見せる。」

「そうだな。俺も全力でサポートするよ。」

「ありがとう、ミアス。」



そうして、私達は明日に向けて、ゆっくりと身体を休めた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


計画実行の前日の夜、レヴィーアは男と密会をしていた。



「そっちは上手くいっているのかい?」

「もちろんですよ、殿下」

「それは良かった。僕の方も順調だよ。」

「そうですか。では、計画の最終確認をしましょう。」

「ええ。」



計画の内容はこうだ。

特別な魔法陣で大量の魔物を、王都内、それも王城近くで召喚する。
少し被害が出るのを待ち、自分がその大量の魔物を殲滅していく。
それによって、国を救った英雄王子となる。

国王の命令の下で雇われた者が、大量の魔物を魔法陣で呼び寄せた事にし、ヴィライユを国王の座から落とす。
捏造した契約書を民に見せ、ヴィライユが命令したという事をより信じ込ませる。
国王が、本当はこの国を陥れようとしていたということにして。

全ては、レヴィーアが国王になるための計画であった。
直ぐに国王になれるのならどんな手段でも良かった。
この話を持ちかけられた時、レヴィーアは即のった。
だが問題もあった。
リアラをどうするかという事だ。
そこで、その日の朝に王都から離れた場所へ、珍しい花を取ってきて欲しいと頼む事で、邪魔をされないようにする事となった。
もちろん、向こうで2日間ほど泊まっておいでと言うつもりだ。


(全てはこの日のためにしてきたんだ。失敗は許されないな。)


そう思い、レヴィーアは最後の仕上げへと取り掛かった。


そして、計画実行の日を迎えるのだった──
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