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3章 異魔眼と瞬滅
第20話 休暇前日
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翌日の朝、バジュスは仕事場に居た。
「おはようございます。ルドゥーリズ侯、昨日陛下から呼び出しがあったそうですが、どうかなされたのですか?」
バジュスの女秘書が聞いてきた。
「君に伝えておこう。明日から1週間、休暇を頂くことになった。今日のうちに仕事を済ませる。後の事を任せることになるが、大丈夫か?」
「無論、問題ありません。1週間、仕事については私にお任せを。」
「そうか。大変だと思うが、よろしく頼む。」
「はい。」
そう言って、2人は仕事を始めたのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
私はバジュスが見える位置に居た。
「さて、始めましょうか。」
「新魔法を使う時だな。」
「ええ。私1人で問題ないわ。」
「ああ。任せる。」
私は魔法を発動させた。
「追跡魔法発動。標的、バジュス・ルドゥーリズ。──音伝達追跡!」
魔法が発動し、バジュスに掛かる。
だが、バジュスは気付かない。
気付かれないように私が魔法をいじっていたからだ。
「流石だな。全く気付いていない。」
「ええ。ここですべき事は終わったわ。自室へ
戻りましょう。」
「そうだな。見つかると面倒だ。まぁそれどころじゃ済まないか。」
そして、瞬間移動で自室に戻った。
《音伝達追跡》は、対象を目視する必要があった。
その効果は、対象が聞こえている音を術者へ伝えるものだ。
対象が喋る声や、会話している相手の声も聞く事が出来る。
離れていても、一度かければ持続するようにしていた為、私の負担もない。
「一先ず安心したな。お茶でも飲みながら、少し休憩しよう。」
「ええ。でも、のんびりしていられないわよ。録音機に繋げて、全てを録音し証拠も集めなければならないわ。」
「ああ、分かっているさ。だが、焦りは禁物だぞ?」
「当たり前じゃない。」
こうして、休暇前からバジュスの監視は始まった──
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
王室では、ヴィライユとマーリルクが話していた。
「そうか…リアラはもう動いたか。」
「ああ。音伝達追跡という魔法を使っていた。私は聞いた事のない魔法だが、お前は何か知っているか?」
「私も知らないね。もしかすると、リアラの言っていた3つの新魔法の1つじゃないかな。」
「そんな事を言っていたな。まさか本当に作っていようとは。」
2人は驚きを隠せなかった。
以前、レヴィーアの時に見せた大魔法も、リアラが作ったものだった。
簡単に魔法を創造する2人の実力を、ヴィライユとマーリルクは正確に分からなかった。
「味方に居れば頼りになるが、敵となれば恐ろしいな。」
「ああ。だが、そうなる事はない。私がそうさせないさ。」
「頼りにしているよ。」
2人はリアラとミアスを見守る事にした。
マーリルクに少し手助けをさせようと思ったが、その必要はなかった。
何故なら、2人は計画を綿密に立てており、マーリルクが入れば計画の邪魔になるからだ。
それを理解したが故に、ヴィライユは何も命令しなかった…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
私とミアスは夜まで証拠集めをした。
密命の為、怪しまれないように食事やその他の用事等は欠かさず出席した。
自室に戻ってきた時、時刻は既に10時をまわっていた。
「遅くなってしまったわね。」
「ああ。今日はもう寝よう。明日からが重要だからな。」
「そうね。」
そうして、少し早めに私達は眠りに落ちたのだった──
「おはようございます。ルドゥーリズ侯、昨日陛下から呼び出しがあったそうですが、どうかなされたのですか?」
バジュスの女秘書が聞いてきた。
「君に伝えておこう。明日から1週間、休暇を頂くことになった。今日のうちに仕事を済ませる。後の事を任せることになるが、大丈夫か?」
「無論、問題ありません。1週間、仕事については私にお任せを。」
「そうか。大変だと思うが、よろしく頼む。」
「はい。」
そう言って、2人は仕事を始めたのだった。
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私はバジュスが見える位置に居た。
「さて、始めましょうか。」
「新魔法を使う時だな。」
「ええ。私1人で問題ないわ。」
「ああ。任せる。」
私は魔法を発動させた。
「追跡魔法発動。標的、バジュス・ルドゥーリズ。──音伝達追跡!」
魔法が発動し、バジュスに掛かる。
だが、バジュスは気付かない。
気付かれないように私が魔法をいじっていたからだ。
「流石だな。全く気付いていない。」
「ええ。ここですべき事は終わったわ。自室へ
戻りましょう。」
「そうだな。見つかると面倒だ。まぁそれどころじゃ済まないか。」
そして、瞬間移動で自室に戻った。
《音伝達追跡》は、対象を目視する必要があった。
その効果は、対象が聞こえている音を術者へ伝えるものだ。
対象が喋る声や、会話している相手の声も聞く事が出来る。
離れていても、一度かければ持続するようにしていた為、私の負担もない。
「一先ず安心したな。お茶でも飲みながら、少し休憩しよう。」
「ええ。でも、のんびりしていられないわよ。録音機に繋げて、全てを録音し証拠も集めなければならないわ。」
「ああ、分かっているさ。だが、焦りは禁物だぞ?」
「当たり前じゃない。」
こうして、休暇前からバジュスの監視は始まった──
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王室では、ヴィライユとマーリルクが話していた。
「そうか…リアラはもう動いたか。」
「ああ。音伝達追跡という魔法を使っていた。私は聞いた事のない魔法だが、お前は何か知っているか?」
「私も知らないね。もしかすると、リアラの言っていた3つの新魔法の1つじゃないかな。」
「そんな事を言っていたな。まさか本当に作っていようとは。」
2人は驚きを隠せなかった。
以前、レヴィーアの時に見せた大魔法も、リアラが作ったものだった。
簡単に魔法を創造する2人の実力を、ヴィライユとマーリルクは正確に分からなかった。
「味方に居れば頼りになるが、敵となれば恐ろしいな。」
「ああ。だが、そうなる事はない。私がそうさせないさ。」
「頼りにしているよ。」
2人はリアラとミアスを見守る事にした。
マーリルクに少し手助けをさせようと思ったが、その必要はなかった。
何故なら、2人は計画を綿密に立てており、マーリルクが入れば計画の邪魔になるからだ。
それを理解したが故に、ヴィライユは何も命令しなかった…。
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私とミアスは夜まで証拠集めをした。
密命の為、怪しまれないように食事やその他の用事等は欠かさず出席した。
自室に戻ってきた時、時刻は既に10時をまわっていた。
「遅くなってしまったわね。」
「ああ。今日はもう寝よう。明日からが重要だからな。」
「そうね。」
そうして、少し早めに私達は眠りに落ちたのだった──
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