転生魔法伝記〜魔法を極めたいと思いますが、それを邪魔する者は排除しておきます〜

凛 伊緒

文字の大きさ
25 / 96
3章 異魔眼と瞬滅

第23話 警戒

しおりを挟む
──バジュスの休暇2日目──


私とミアスは早朝に起き、身支度を始めた。



「さて、きっちりと朝から監視しないとね。」

「ああ。その為に早く起きたんだからな。」

「ふふっ。」

「何が可笑しいんだよ。」

「ミアスがかなりやる気満々なんだもの。珍しくって。」

「当たり前だ。この国に関わる重大任務だぞ。」

「それもそうね。」



2日目の今日は、私の自室からの監視だった。
そして、夕方頃にはバジュスの秘書であるレアルから報告を受ける事になっている。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



バジュスは思った。
これは本当にただの休暇なのではないかと。
屋敷に何者かが侵入した形跡はなく、魔法解除も自身へかけているため、監視されているなどありえない。



(例え監視されているとしたら、誰が?何の為に?いや、心当たりはある。だが…。)



証拠も何も残らないように行動してきた。
表向きは優秀な臣下として、そして裏向きは……。

しかし、最近は見られているような気がしてならない。
表向きに何かした覚えはないが、私の周辺で変化が起き始めたのは何時だっただろうか。
ふとそう思った時に、思い当たる事があった。



「あれは確か数日前。リアラ王女を屋敷に招いた日……か。」



そうだ、とバジュスは思った。
リアラ王女を取り込もうと思い、屋敷に招いた日の後から事が動き出した。
あの日も全て見透かされているように感じた為警戒していたが、まだ子供だと油断していた部分があった。



(だが私は何もしていないはず……。リアラ王女に媚びを売るのは、貴族として当然だ。他に何かあったか?)



思い当たるのはこのくらいしか無かった。



(もし心が読めたとしたら?いや、それはないか。魔法を使った様子はなかった。隣に居たミアスもだ。)



予想は間違っていないのだが、確信が持てなかった。



「警戒するに越したことはない……か。今後は彼女の前で下手な事をしないように気を付けないとな。」



そう思うバジュス。

リアラとミアスが監視魔法で見ているとも知らずに。
リアラに至っては魔眼を使い、魔法を通して心も読んでいたのだった──



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「中々察しが良いわね。」

「陛下が気に入る理由も分かるな。」

「ええ。本当に気を付けないとね。少しでも隙を見せれば、私達が危険になる。」

「その通りだな。気を付けるとしよう。」



そう思った私とミアスだった。


その後、バジュスの監視を続け、気が付くと日が傾き始めていた。



「リアラ、もうすぐレアルさんが来るはずだ。」

「分かったわ。少し片付けておきましょう。」



──5分後──



扉をノックする音がした。



「レアル・ジーガリヌです。リアラ・フィールア王女殿下、いらっしゃいますか?」

「ええ。入っていいわよ。」

「失礼致します。」



そう言いながらバジュスの秘書、レアル・ジーガリヌが入ってきた。

そうして、私はバジュスについての報告を聞くのだった──
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜

Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。

追放された回復術師は、なんでも『回復』できて万能でした

新緑あらた
ファンタジー
死闘の末、強敵の討伐クエストを達成した回復術師ヨシュアを待っていたのは、称賛の言葉ではなく、解雇通告だった。 「ヨシュア……てめえはクビだ」 ポーションを湯水のように使える最高位冒険者になった彼らは、今まで散々ポーションの代用品としてヨシュアを利用してきたのに、回復術師は不要だと考えて切り捨てることにしたのだ。 「ポーションの下位互換」とまで罵られて気落ちしていたヨシュアだったが、ブラックな労働をしいるあのパーティーから解放されて喜んでいる自分に気づく。 危機から救った辺境の地方領主の娘との出会いをきっかけに、彼の世界はどんどん広がっていく……。 一方、Sランク冒険者パーティーはクエストの未達成でどんどんランクを落としていく。 彼らは知らなかったのだ、ヨシュアが彼らの傷だけでなく、状態異常や武器の破損など、なんでも『回復』していたことを……。

幼子家精霊ノアの献身〜転生者と過ごした記憶を頼りに、家スキルで快適生活を送りたい〜

犬社護
ファンタジー
むか〜しむかし、とある山頂付近に、冤罪により断罪で断種された元王子様と、同じく断罪で国外追放された元公爵令嬢が住んでいました。2人は異世界[日本]の記憶を持っていながらも、味方からの裏切りに遭ったことで人間不信となってしまい、およそ50年間自給自足生活を続けてきましたが、ある日元王子様は寿命を迎えることとなりました。彼を深く愛していた元公爵令嬢は《自分も彼と共に天へ》と真摯に祈ったことで、神様はその願いを叶えるため、2人の住んでいた家に命を吹き込み、家精霊ノアとして誕生させました。ノアは、2人の願いを叶え丁重に葬りましたが、同時に孤独となってしまいます。家精霊の性質上、1人で生き抜くことは厳しい。そこで、ノアは下山することを決意します。 これは転生者たちと過ごした記憶と知識を糧に、家スキルを巧みに操りながら人々に善行を施し、仲間たちと共に世界に大きな変革をもたす精霊の物語。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

処理中です...