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5章 王都上空決戦
第63話 初依頼の結果…
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「帰る前に、一つ依頼を受けていかないかしら。」
「構わないが、何を受けるんだ?」
「そうね……これはどう?」
「蜂型の魔物の討伐か。Dランクの依頼だが、1つ上までならば受けられると言っていたな。」
通常、自分のランクと同じ依頼を受けるべきだが、護衛依頼以外は1つ上のランクの依頼を受けることが出来る。
危険は伴うが、能力値が見合っていれば問題はない。
その判断はギルド職員が行っている。
なのでリリィに依頼の紙を持っていくと……
「Dランクの討伐依頼ですね。場所はこの位置です。こちらから依頼主に連絡しておきますので、合流してください。」
「分かったわ。」
近くまで転移にて移動し、受け取った地図を見ながら進んで行く。
すると50代くらいの男性が私達を待っていた。
「ようこそお越しくださいました。ギルドから連絡があった方々ですね。私はこの村の村長をやっております、リドンと申します。以後お見知りおきを。」
「私はリアラ。こちらはミアスです。」
「なんと!第三王女殿下に、側近のミアス様……高名な御二方だったとは…!お会い出来て光栄です。では早速ですが、依頼者として説明をさせて頂きます。」
私とミアスは、リドンより詳しい魔物の出現場所を聞いた。
そして彼と別れ、2人で進んで行く。
すると羽音が聞こえてきた。
かなりの数だ。
「ねぇミアス……確認されていたのは3匹程度よね…。」
「ああ…。」
「数十匹はいるわよ。」
「女王がいる……ということか。」
「ええ、後方に強力な魔力反応があるわ。Aランクの依頼に引き上げね。」
「こういう場合は撤退すべきだが、今引けば村が危険になるな。」
「そうねぇ。困ったわ。本当に困ったわね~。」
「戦う気満々じゃないか……。まぁ同じ気持ちだが。」
そうして、魔物との戦いが始まった。
ミアスは前衛、私は後衛として魔法で援護をする。
バランスの取れた連携で倒していく。
そしてあっという間に、蜂型の魔物の女王らしき姿を捉えた。
卵のような白い球体が体から透けて見えている。
正直に言うと気持ちが悪い……。
「焼き払っていいかしら……。」
「お好きにどうぞ。でも女王が居たという証拠は無くなるぞ。」
「それもそうね……。ならここは、冷凍してしまいましょう。」
「れいとう?」
「ええ、冷凍よ。氷の芸術品にするわ。──《氷結の波》。」
その瞬間、魔物は凍りついた。
波に飲まれ、そのまま氷となって閉じ込められたかのように…。
その後、私とミアスは村長に報告に向かった。
事の顛末を説明すると、驚かれると同時に尊敬された。
依頼完了の印を貰い、ギルドへと転移にて戻る。
「リリィ、依頼完了の報告に来たわ。」
「えぇっ!?もう依頼を達成なされたのですか!?」
「確認、よろしくお願いするわね。」
「は、はい……。本当ですね……リドンさんの印もあります。…って、ええぇっ!!女王が現れた!?それすらも討伐……。」
「これは証拠よ。」
そう言って、異空間収納魔法から《氷結の波》にて凍らせた魔物を取り出す。
周囲の注目が一気に集まった。
「わわっ!?これをたった2人で…?」
「ええ。」
「ほぼリアラ1人でやったけどな…。」
「あら、ミアスも前衛としてしっかり戦ってくれていたじゃない。」
「ははは…。」
「凄い……本当に凄いです!Aランク相当の魔物を、たったお二人でなんて!」
ざわつきを見せるギルド内。
すると2階からギルドマスターが降りてきた。
何の騒ぎだと言いかけるが、凍った蜂型の魔物を見て固まった。
「ギルドマスター!実は──」
本来の依頼内容や、事の経緯を話すリリィ。
するとガイジスは手を顎に当て、何かを考え始める。
一呼吸おいてから、他の冒険者達にも聞こえる声で言った。
「よし…。リアラとミアスを、Aランク冒険者とする。」
「「「ええぇっっ!?」」」
「だが当然、認めたくないやつもいるだろう。そこで……」
「俺達の出番、ということだなギルマス。」
「ああ、よく分かってるじゃないか。」
「ギルマスと知り合って何年経ってると思ってるんだよ。」
声の方を振り向くと、男女5人組の強そうなパーティーが居た。
話を聞いている限りでは、彼らはきっとAランク冒険者なのだろう。
ということは模擬戦で戦って勝て、と言われる可能性が高い…。
「リアラ、ミアス。こいつらはAランク冒険者、『疾風の連撃』と呼ばれているパーティーだ。」
「呼ばれている…?」
「有名な冒険者パーティーほど、周囲から見合った名前を付けられる。簡単に言えば、二つ名のようなもんだな。」
冒険者ギルドでは、パーティーを登録する際にパーティー名は決めないことになっている。
パーティー全員の名前は用紙に書くのだが、自らパーティー名を名乗らないことに意味があるのだとか。
上位ランクになっていくほどに、名が広まって二つ名が周囲から付けられる。
二つ名で呼ばれることを目標とし、やる気を出させるのが目的なのだろう。
ちなみに私とミアスは2人組のパーティーである。
「なるほど。このパーティー……『疾風の連撃』と戦え……と。」
「そういうことだ。勝てばAランクとして認めよう。しかし人数的に不利だろうから、人数を減らして……」
「その必要はないわ。」
「え…?」
「私とミアスは2人のパーティー。そして彼らは5人で1つのパーティー。同格と示すのならば、数の不利は関係ないでしょう。」
「それはそうだが…。」
「実践経験の差があるという心配なら無用よ。」
「……分かった。ギルドが持つ闘技場へ向かうぞ。」
そうして、『疾風の連撃』の5人と共に闘技場へと向かうのだった。
「構わないが、何を受けるんだ?」
「そうね……これはどう?」
「蜂型の魔物の討伐か。Dランクの依頼だが、1つ上までならば受けられると言っていたな。」
通常、自分のランクと同じ依頼を受けるべきだが、護衛依頼以外は1つ上のランクの依頼を受けることが出来る。
危険は伴うが、能力値が見合っていれば問題はない。
その判断はギルド職員が行っている。
なのでリリィに依頼の紙を持っていくと……
「Dランクの討伐依頼ですね。場所はこの位置です。こちらから依頼主に連絡しておきますので、合流してください。」
「分かったわ。」
近くまで転移にて移動し、受け取った地図を見ながら進んで行く。
すると50代くらいの男性が私達を待っていた。
「ようこそお越しくださいました。ギルドから連絡があった方々ですね。私はこの村の村長をやっております、リドンと申します。以後お見知りおきを。」
「私はリアラ。こちらはミアスです。」
「なんと!第三王女殿下に、側近のミアス様……高名な御二方だったとは…!お会い出来て光栄です。では早速ですが、依頼者として説明をさせて頂きます。」
私とミアスは、リドンより詳しい魔物の出現場所を聞いた。
そして彼と別れ、2人で進んで行く。
すると羽音が聞こえてきた。
かなりの数だ。
「ねぇミアス……確認されていたのは3匹程度よね…。」
「ああ…。」
「数十匹はいるわよ。」
「女王がいる……ということか。」
「ええ、後方に強力な魔力反応があるわ。Aランクの依頼に引き上げね。」
「こういう場合は撤退すべきだが、今引けば村が危険になるな。」
「そうねぇ。困ったわ。本当に困ったわね~。」
「戦う気満々じゃないか……。まぁ同じ気持ちだが。」
そうして、魔物との戦いが始まった。
ミアスは前衛、私は後衛として魔法で援護をする。
バランスの取れた連携で倒していく。
そしてあっという間に、蜂型の魔物の女王らしき姿を捉えた。
卵のような白い球体が体から透けて見えている。
正直に言うと気持ちが悪い……。
「焼き払っていいかしら……。」
「お好きにどうぞ。でも女王が居たという証拠は無くなるぞ。」
「それもそうね……。ならここは、冷凍してしまいましょう。」
「れいとう?」
「ええ、冷凍よ。氷の芸術品にするわ。──《氷結の波》。」
その瞬間、魔物は凍りついた。
波に飲まれ、そのまま氷となって閉じ込められたかのように…。
その後、私とミアスは村長に報告に向かった。
事の顛末を説明すると、驚かれると同時に尊敬された。
依頼完了の印を貰い、ギルドへと転移にて戻る。
「リリィ、依頼完了の報告に来たわ。」
「えぇっ!?もう依頼を達成なされたのですか!?」
「確認、よろしくお願いするわね。」
「は、はい……。本当ですね……リドンさんの印もあります。…って、ええぇっ!!女王が現れた!?それすらも討伐……。」
「これは証拠よ。」
そう言って、異空間収納魔法から《氷結の波》にて凍らせた魔物を取り出す。
周囲の注目が一気に集まった。
「わわっ!?これをたった2人で…?」
「ええ。」
「ほぼリアラ1人でやったけどな…。」
「あら、ミアスも前衛としてしっかり戦ってくれていたじゃない。」
「ははは…。」
「凄い……本当に凄いです!Aランク相当の魔物を、たったお二人でなんて!」
ざわつきを見せるギルド内。
すると2階からギルドマスターが降りてきた。
何の騒ぎだと言いかけるが、凍った蜂型の魔物を見て固まった。
「ギルドマスター!実は──」
本来の依頼内容や、事の経緯を話すリリィ。
するとガイジスは手を顎に当て、何かを考え始める。
一呼吸おいてから、他の冒険者達にも聞こえる声で言った。
「よし…。リアラとミアスを、Aランク冒険者とする。」
「「「ええぇっっ!?」」」
「だが当然、認めたくないやつもいるだろう。そこで……」
「俺達の出番、ということだなギルマス。」
「ああ、よく分かってるじゃないか。」
「ギルマスと知り合って何年経ってると思ってるんだよ。」
声の方を振り向くと、男女5人組の強そうなパーティーが居た。
話を聞いている限りでは、彼らはきっとAランク冒険者なのだろう。
ということは模擬戦で戦って勝て、と言われる可能性が高い…。
「リアラ、ミアス。こいつらはAランク冒険者、『疾風の連撃』と呼ばれているパーティーだ。」
「呼ばれている…?」
「有名な冒険者パーティーほど、周囲から見合った名前を付けられる。簡単に言えば、二つ名のようなもんだな。」
冒険者ギルドでは、パーティーを登録する際にパーティー名は決めないことになっている。
パーティー全員の名前は用紙に書くのだが、自らパーティー名を名乗らないことに意味があるのだとか。
上位ランクになっていくほどに、名が広まって二つ名が周囲から付けられる。
二つ名で呼ばれることを目標とし、やる気を出させるのが目的なのだろう。
ちなみに私とミアスは2人組のパーティーである。
「なるほど。このパーティー……『疾風の連撃』と戦え……と。」
「そういうことだ。勝てばAランクとして認めよう。しかし人数的に不利だろうから、人数を減らして……」
「その必要はないわ。」
「え…?」
「私とミアスは2人のパーティー。そして彼らは5人で1つのパーティー。同格と示すのならば、数の不利は関係ないでしょう。」
「それはそうだが…。」
「実践経験の差があるという心配なら無用よ。」
「……分かった。ギルドが持つ闘技場へ向かうぞ。」
そうして、『疾風の連撃』の5人と共に闘技場へと向かうのだった。
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