【完結】私ですか?ただの令嬢です。

凛 伊緒

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魔法の指南役

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「明日と明後日で、この緊張感もなくなるかしら。」

「多分な。ヴァリフィアは今から侯爵家へ帰るのか?」

「ええ、そのつもりよ。」

「ついて行ってもいいか?」

「構わないわよ。年に一度だものね。」


エフェンは毎年、冬季休暇にラーノンス侯爵家を訪れている。
年に一度のみだ。
指を鳴らし、瞬間移動する。
侯爵家の邸前に転移した。
エフェンを連れて中へと入る。

「お帰りなさいませ、お嬢様。と……エフェン・アーリグェー様ですね。ようこそ、ラーノンス侯爵家へ。」

「久しぶりだね、メイド長のサナメさん。」

「お久しぶりです。」

「サナメ、私達はエーリに会いに行ってくるわ。」

「かしこまりました。エイリジュ様は今、魔法師団の方の実技授業を受けているはずです。」

「分かったわ。ありがとう。」

「いえ。」


魔法訓練場へと向かうと、的に魔法が当たる音が聞こえてくる。
サナメの言った通り、実技中のようだ。
訓練場内へ入ると、エイリジュは私とエフェンに気付き、走って来た。


「リフィ姉さん、帰ってきてたんだ!」

「ええ、つい先程ね。」

「久しぶり、エーリ。」

「エフェン兄さん!」

「元気にしていたか?」

「勿論です!」


エフェンとエイリジュは、2年前の高等部1年の時に初めて顔を合わせた。
すぐに打ち解け合い、その日の内に『兄さん』と呼ぶまでになった。
エイリジュの中で、エフェンは優しいお兄さんというイメージのようだ。
無論、『情報屋』と呼ばれていることは隠している。


「また大きくなったな!それでも愛らしさは変わらないなぁ。」

「エフェン様は、妹様がおられるのですよね。」

「ああ。とても可愛い妹だぞ。だが弟も欲しかったのさ。」

「エーリを弟のように可愛がっているではありませんか。」

「ははっ、それもそうだな!」


微笑ましそうに、魔法師団の現役団員であるネアが私達を見ていた。
彼女はエイリジュの魔法の指南役として、週に一度侯爵家へと来ている。
貴族の令息・令嬢は皆、その貴族家の当主が決めた魔法の指南役より、魔法を学ぶ。
ただし、宮廷魔法師の者以外だ。
私に指南役がいなかったのは、父に要らないと言っていたからだ。


「お邪魔してしまってごめんなさい、ネア殿。」

「いえ、お気になされずに。丁度終わったところでしたから。」

「そうでしたか。エーリの指導、ありがとうございます。」

「教えたことはすぐに覚えてしまって、本当に私が必要なのかと思ってしまいますが……。既に上級魔法を連発出来ますし、流石はヴァリフィア様の弟君です。」

「ですが基本を応用した魔法で、魔力精度を上げる練習をしていましたね。エーリも苦戦している様子でしたし。」

「来た時の一瞬でそれを見抜いているとは、流石の一言です。」

「お父様が認めているのも納得が行きます。何故宮廷魔法師になられないのですか?」

「私は魔法師団止まりで十分です。宮廷魔法師は名誉ですが、私にはあの方々のような力はありませんから。」

「ご謙遜を。とりあえず、移動しましょうか。エーリ、エフェン様!邸へ戻りますよ。」

「はいっ!」「了解だ。」

「ネア殿も、時間があるのならばご一緒しませんか?」

「皆様がよろしいのであれば…。」

「構わないよ。」「良いよ!」

「では……。」


そうして邸へと戻り、中庭でティータイムをすることになった。
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