53 / 119
41話
しおりを挟む
41話
じーっとユリを無言で見つめていると、頬を赤くしたユリは諦めた様に大きな溜め息をつき、「ここでは話せないので」と、別室に案内された。
・・・ここの部屋はギルドマスターって札が掲げて有るんだが?
ユリはノックすらせずに部屋に入っていき、
誰も座っていない椅子へ座るった。
「ここでは私は冒険者ギルド統括ギルドマスターのユーリ・カレイドスコープです。」
と言いながらキリッとした顔で俺を見つめる。
この部屋に案内された時点でそんな気はしたが・・・。
だが何故別名を名乗る必要があるんだ?
それにどちらが本名なんだ?
「疑問は沢山あると思います。」
と前置きし、順序立てて説明してくれた。
まず、現在この世界は人間族がほぼ実権を握っており、強欲で横暴ではあるが、団結力と数と繁殖力があるので、数の暴力で自分達に都合の悪い他種族を排除してきた。
自分達が持っていないモノがあると、御伽噺レベルの勇者と魔王の話を持ち出し、正義は人間族に有り!と言って無理矢理大義名分を作り上げ、他種族の労働力、魔法、技術を根こそぎ奪っていき、繁栄を続けているらしい。
だから、ユリもユーリ・カレイドスコープという偽名と幻術を使い、”いつかその時”が来るまで人間族を欺いているらしい。
当然、ハーフエルフと言うのもフェイクで、本当は純粋なエルフなんだそうな。
「さーくん?ここまで話したんだよ?あなたの事も教えてくれないかしら?勿論、あなたが万が一人間族と言うなら、大変申し訳無いけど、ここで死んでもらいます。」
そう言うと、眼鏡をかけた。
ユリは今までに無い程厳しいくもつらそうな目つきをしながら俺を見つめる。
「分かった、分かったからそんな目をするなよ・・・確かに俺は人間じゃあ無い。元というか今現在もオークだ。」
俺の衝撃の暴露にユリは驚きを隠せないようだった。
「こんな美形のオークなんているの!?嘘でしょう?でも嘘は言っていないし・・・もしかして壊れた!?」
など言いながら慌てふためいていた。
逆にステビアは全く動じず、眠そうに俺の足元で丸まっている。
俺はステビアをチラリと見たが、
「ご主人はご主人じゃん。それにうちは初めからご主人が人間族だなんて思って無かったよ?こんな禍々しい雰囲気はねえ~うーん・・・魔王レベルかも♪」
なんていいながら欠伸をすると、眠ったようだった。
ユリはやっと落ち着きを取り戻し、
「さーくん!試しに、ユリなんて嫌いだ!って言ってください!」
訳が分からず、気も進まなかったが言ってやると、
ユリは顔を真っ赤ににして抱き付いてきた。
「・・・良かった、本当に良かった」
と意味深に呟くと、泣きながら暫く離してくれなかった。
じーっとユリを無言で見つめていると、頬を赤くしたユリは諦めた様に大きな溜め息をつき、「ここでは話せないので」と、別室に案内された。
・・・ここの部屋はギルドマスターって札が掲げて有るんだが?
ユリはノックすらせずに部屋に入っていき、
誰も座っていない椅子へ座るった。
「ここでは私は冒険者ギルド統括ギルドマスターのユーリ・カレイドスコープです。」
と言いながらキリッとした顔で俺を見つめる。
この部屋に案内された時点でそんな気はしたが・・・。
だが何故別名を名乗る必要があるんだ?
それにどちらが本名なんだ?
「疑問は沢山あると思います。」
と前置きし、順序立てて説明してくれた。
まず、現在この世界は人間族がほぼ実権を握っており、強欲で横暴ではあるが、団結力と数と繁殖力があるので、数の暴力で自分達に都合の悪い他種族を排除してきた。
自分達が持っていないモノがあると、御伽噺レベルの勇者と魔王の話を持ち出し、正義は人間族に有り!と言って無理矢理大義名分を作り上げ、他種族の労働力、魔法、技術を根こそぎ奪っていき、繁栄を続けているらしい。
だから、ユリもユーリ・カレイドスコープという偽名と幻術を使い、”いつかその時”が来るまで人間族を欺いているらしい。
当然、ハーフエルフと言うのもフェイクで、本当は純粋なエルフなんだそうな。
「さーくん?ここまで話したんだよ?あなたの事も教えてくれないかしら?勿論、あなたが万が一人間族と言うなら、大変申し訳無いけど、ここで死んでもらいます。」
そう言うと、眼鏡をかけた。
ユリは今までに無い程厳しいくもつらそうな目つきをしながら俺を見つめる。
「分かった、分かったからそんな目をするなよ・・・確かに俺は人間じゃあ無い。元というか今現在もオークだ。」
俺の衝撃の暴露にユリは驚きを隠せないようだった。
「こんな美形のオークなんているの!?嘘でしょう?でも嘘は言っていないし・・・もしかして壊れた!?」
など言いながら慌てふためいていた。
逆にステビアは全く動じず、眠そうに俺の足元で丸まっている。
俺はステビアをチラリと見たが、
「ご主人はご主人じゃん。それにうちは初めからご主人が人間族だなんて思って無かったよ?こんな禍々しい雰囲気はねえ~うーん・・・魔王レベルかも♪」
なんていいながら欠伸をすると、眠ったようだった。
ユリはやっと落ち着きを取り戻し、
「さーくん!試しに、ユリなんて嫌いだ!って言ってください!」
訳が分からず、気も進まなかったが言ってやると、
ユリは顔を真っ赤ににして抱き付いてきた。
「・・・良かった、本当に良かった」
と意味深に呟くと、泣きながら暫く離してくれなかった。
7
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?
九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。
で、パンツを持っていくのを忘れる。
というのはよくある笑い話。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる