54 / 119
42話
しおりを挟む
42話
やっと落ち着いたユリが眼鏡の種明かしとここで話したことは絶対に秘密にするという約束を交わした。
ユリがおもむろに装備した眼鏡は真贋の眼鏡と言って、
嘘か本当か分かってしまうマジックアイテムらしい。
試しに俺も装備しながら、
「ユリは本当にユリって本当は何歳なんだ?」
と聞いてみると、ユリは本気で怒ってしまい、
「さ、最低です!そんな事聞かないでください!」
と軽蔑されてしまったので、必死で謝るハメになった。
最後に、眼鏡をかけたままの俺に「さーくんなんて嫌いです!絶対許しませんからね!」と言ってきたが、それを聞いて安心した。
しかし、人間族か・・・欲しいモノは手段を問わず根こそぎ奪うってのは幾ら何でもやりたい放題過ぎる気もするがな~・・・。
そう思った瞬間頭が割れるような頭痛が俺を襲う。
耐えられるレベルでは無いと諦めて意識を手放そうとした瞬間、”また”世界が止まった。
思い出した・・・。
俺達兄妹はある時まで、平凡な一般家庭で育っていた。
だが、両親が訳の分からない新興宗教にハマったらしく、
何かと理由を付けて、宗教団体へ金をどんどん献金していき、
家は加速度的に貧しくなっていった。
ある日、洗脳され、狂った両親によって妹が胡散臭い教祖に捧げられそうになったとき、泣いて拒む妹と逃げ出そうとしたが、「邪神の使いめ!」とか言われ、狂った両親に包丁で滅多刺しにされた筈だ。
遠ざかる意識の中、泣きじゃくりながら妹が「お兄ちゃん!お兄ちゃん!!死なないで!」と必死に俺の手を掴んでいたのが最期の記憶のようだ。
いつの間にか漆黒の穴から現れていたヤマが嬉しそうに微笑む。
「やっと思い出した?お兄ちゃん?お兄ちゃんはあの後すぐに死んじゃったけど、あの後私は狂った宗教団体の肉便器にされたんだよ?毎日毎日何人とセックスしたか分からない位して、妊娠したらお腹を何度も殴られて無理矢理堕胎させられてね?何回目かの堕胎するときに加減を間違えた馬鹿に殴り殺されちゃった♪」
妹の壮絶な過去に絶句するしかないが、妹の独白はまだ続いた。
「その後、死んだ私は真っ黒いモヤモヤしたモノにスカウトされたの♪凄い力を持って転生させてくれるとか言われてね?
でも1人だと寂しいから真っ黒いモヤモヤに、お兄ちゃんも連れてきてってお願いしちゃった♪勿論人間以外の種族で☆」
「なんで人間以外なんだ?」
「そんなの、私が人間が大嫌いだからに決まってるでしょう?」
背筋が凍るほどぞっとする笑みを湛え話を続けた。
やっと落ち着いたユリが眼鏡の種明かしとここで話したことは絶対に秘密にするという約束を交わした。
ユリがおもむろに装備した眼鏡は真贋の眼鏡と言って、
嘘か本当か分かってしまうマジックアイテムらしい。
試しに俺も装備しながら、
「ユリは本当にユリって本当は何歳なんだ?」
と聞いてみると、ユリは本気で怒ってしまい、
「さ、最低です!そんな事聞かないでください!」
と軽蔑されてしまったので、必死で謝るハメになった。
最後に、眼鏡をかけたままの俺に「さーくんなんて嫌いです!絶対許しませんからね!」と言ってきたが、それを聞いて安心した。
しかし、人間族か・・・欲しいモノは手段を問わず根こそぎ奪うってのは幾ら何でもやりたい放題過ぎる気もするがな~・・・。
そう思った瞬間頭が割れるような頭痛が俺を襲う。
耐えられるレベルでは無いと諦めて意識を手放そうとした瞬間、”また”世界が止まった。
思い出した・・・。
俺達兄妹はある時まで、平凡な一般家庭で育っていた。
だが、両親が訳の分からない新興宗教にハマったらしく、
何かと理由を付けて、宗教団体へ金をどんどん献金していき、
家は加速度的に貧しくなっていった。
ある日、洗脳され、狂った両親によって妹が胡散臭い教祖に捧げられそうになったとき、泣いて拒む妹と逃げ出そうとしたが、「邪神の使いめ!」とか言われ、狂った両親に包丁で滅多刺しにされた筈だ。
遠ざかる意識の中、泣きじゃくりながら妹が「お兄ちゃん!お兄ちゃん!!死なないで!」と必死に俺の手を掴んでいたのが最期の記憶のようだ。
いつの間にか漆黒の穴から現れていたヤマが嬉しそうに微笑む。
「やっと思い出した?お兄ちゃん?お兄ちゃんはあの後すぐに死んじゃったけど、あの後私は狂った宗教団体の肉便器にされたんだよ?毎日毎日何人とセックスしたか分からない位して、妊娠したらお腹を何度も殴られて無理矢理堕胎させられてね?何回目かの堕胎するときに加減を間違えた馬鹿に殴り殺されちゃった♪」
妹の壮絶な過去に絶句するしかないが、妹の独白はまだ続いた。
「その後、死んだ私は真っ黒いモヤモヤしたモノにスカウトされたの♪凄い力を持って転生させてくれるとか言われてね?
でも1人だと寂しいから真っ黒いモヤモヤに、お兄ちゃんも連れてきてってお願いしちゃった♪勿論人間以外の種族で☆」
「なんで人間以外なんだ?」
「そんなの、私が人間が大嫌いだからに決まってるでしょう?」
背筋が凍るほどぞっとする笑みを湛え話を続けた。
6
あなたにおすすめの小説
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?
九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。
で、パンツを持っていくのを忘れる。
というのはよくある笑い話。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる