禊ぎを終えたから自由に過ごせるようになった

かざみねこ

文字の大きさ
35 / 45
第2章

第35話 私も同じ気持ちですから

しおりを挟む
 ソーニャを連れて無事に村まで辿り着いた。まだ腰が抜けた状態だったので僕らと同じ宿の彼女が借りている部屋へと直行してベッドに下ろした。

「わざわざ部屋まで運んでもらっちゃって。すみません」
「いいよ、気にしないで。流石に腰が抜けたのを魔法じゃ治せないからゆっくり休んでね。ギルドには僕らが報告しておくから」
「す、すみません・・・。お願いします」

 僕らはソーニャの部屋から退室し冒険者ギルドへと向かおうとしたところ、宿屋のロビーでアルディンさんとバッタリ出会った。

「ん?お前らいつの間に戻ってたんだ?」
「ついさっきですね。今はソーニャを部屋に寝かせてきたところです」
「もう全員捜索終わったのか!?」
「あ、ということはアルフォンスたちは帰ってきました?」
「あぁ。治療を受け終わって、今はあいつらも部屋で休んでいるはずだ」

 無事彼らも村に辿り付いて治療してもらったのか。

「それは良かったです。彼らに詳しい話を聞くのは起きてからにして、僕が彼らから聞いた話とか報告しても良いですか?」
「あぁ。頼むわ」

 僕はアルフォンスたちに聞いたファンガスとウォーグの話と、僕自身が遭遇して思った点などを含めて報告した。そして思いの外魔物や魔獣がリリーフ村の森に生息しているのではないかと話をした。

「少なくともアルフォンスたちが最初に遭遇したファンガスが残っているはずです」
「なるほどな。これはアスピラシオに行って援軍を求めるか、俺たちだけでもリリーフ村周辺の森を調査と討伐するかしないと駄目そうだな」

 リリーフ村の安全を考えるなら、この村に居る冒険者総出で森の調査と討伐をすることだけど、そうすると行商人の護衛が出来なくなる。逆に商人の護衛を優先すると、もしかしたらリリーフ村に被害が出るかもしれない。

 冒険者を分けるならどちらも対処出来そうだけど人手が足らなくなる。だけど僕らがこの村に護衛として残って、アルディンさんたちがアスピラシオに着いてこちらに援軍を送ってくれるのならいけるかもしれない。

 一番確実なのは僕が村の護衛、リナが森で魔物の殲滅戦をするというのが一番被害が出ないとは思う。だけど冷たい言い方かもしれないがリナの強さを露見させてまでこの村を守る義理もない。

 殲滅戦を行ったらこの村の人たちは喜ぶだろうけど、いずれリナの強さに畏怖されたり要らない敵を作ることになるだろう。リナほどじゃなくても僕くらいの強さでもそうならないとは限らないのだ。

 だけど折角知り合った人たちを見殺しにしたいわけでもない。

「まずジュニアスさんや冒険者ギルドと相談しないと駄目ですが、僕らがリリーフ村の護衛として残って、アルディンさんたちがアスピラシオへ付いたら役所へ報告してもらうというのが確実だと思います」
「やっぱりそれしかねーか・・・」

 どうやらアルディンさんも同じ方法に至っていたみたいだ。自分の力を過信するわけじゃないけど、正直ファンガスやウォーグ程度なら何も問題はない。リナも居るなら百人力だ。

「ただ僕らの冒険者ギルドのランクでこの方法を取って良いのか分かりませんけどね」
「まぁそこは俺に任せろ。あとでイチャモン付けてきたらお前自らそいつの相手をしてやればいい」
「それってまた僕が恨まれるパターンじゃ無いですか」
「がっはっは! まぁギルドは実力主義だからな。力を見せつけなきゃ分からん馬鹿ばっかりだからそれは諦めろ」

 アルディンさんはそう言って僕の肩をバンバンと叩いた。僕が見た目通りの耐久度しか無かったら脱臼くらいはしてる気がする。

「それじゃその辺りの話をエディスと話するか。それと報酬の話もあるしジュニアスも呼んで話を通さねぇとな」

 まずジュニアスさんが借りている部屋に行き、アルディンさんが事情を説明した。

「なるほど。マサトさんたちが護衛を抜ける心配をするよりも、リリーフ村を優先した方が良さそうですね」
「そりゃ商人としての立場からかい?」
「それは勿論そうですよ。このまま彼らを連れて行って、もし何かあれば恨まれますからね」

 アルディンさんがジュニアスさんをからかうように言ったが、ジュニアスさんはアッサリと認めた。

「それにもしも魔物がリリーフ村へ群れをなしてやって来て、村に大損害を与えたら行商を行う自分たちにとっても損失ですからね」
「まぁそりゃそうか」

 商人は理より利を選ぶと言うけど、自分の生活があるんだから自分を優先するのは当然だと思う。

「それでよ、マサトたちを護衛として置いていくとして、こいつらの報酬とかをどうするか決めないといけねぇんだわ」
「あぁ、そちらの問題もありましたね。そうですね。本来は街まで護衛の依頼でしたが、ここまでの護衛の代金を渡すということでどうでしょう?」
「僕としては願っても無いです。ありがとうございます」

 ちょっと待っていて下さいとジュニアスさんがそういうとナップザックから財布を取り出し僕とリナに銀貨25枚ずつ渡してくれた。

「あれ? 相場より高くありませんか?」

 普通の護衛任務なら1日銀貨5枚程度だ。僕たちが護衛したのは今日を入れても3日だから15枚ずつも出れば十分なはずだった。

「何を言っているんですが。初日に我々の救援をして頂いたのを忘れたのですか?」
「いえ、あの時は契約前ですし色々と武器とか融通してくれたのでそれで帳消しだと思っていました」
「むしろ契約もしていないのに救援して下さったお礼ですよ。本来はもう少し高く見積もっているのですが、マサトさんとの約束通り天引きしましたのでその額になります」
「え? これ天引き後なんですか?」

 天引きで宿泊費や携帯食料とか道具とか色々してもらったんだけど、良いのかな。

「良いから気にすんなって。貰える物は黙って貰っておけって」
「アルディン、それをあなたが言うのですか。まぁ、私も同じ気持ちですから受け取って下さい」

 二人とも笑顔でそう言ってくれたのでありがたく受け取ることにした。

「ありがとうございます」
「ありがとうございます」

 僕がお辞儀してお礼を言うと、リナも同じようにお礼を言った。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生貴族の領地経営〜現代知識で領地を豊かにして成り上がる

ファンタジー
ネーデル王国の北のリーディア辺境伯家には天才的な少年レイトがいた。しかしその少年の正体は現代日本から転生してきた転生者だった。 レイトが洗礼を受けた際、圧倒的な量の魔力やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のレイトを辺境伯領の北の異種族の住むハーデミア領を治める領主とした。しかしハーデミア領は貧困に喘いだ貧乏領地だった。 これはそんなレイトが異世界の領地を経営し、領地を豊かにして成り上がる物語である。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

転移特典としてゲットしたチートな箱庭で現代技術アリのスローライフをしていたら訳アリの女性たちが迷い込んできました。

山椒
ファンタジー
そのコンビニにいた人たち全員が異世界転移された。 異世界転移する前に神に世界を救うために呼んだと言われ特典のようなものを決めるように言われた。 その中の一人であるフリーターの優斗は異世界に行くのは納得しても世界を救う気などなくまったりと過ごすつもりだった。 攻撃、防御、速度、魔法、特殊の五項目に割り振るためのポイントは一億ポイントあったが、特殊に八割割り振り、魔法に二割割り振ったことでチートな箱庭をゲットする。 そのチートな箱庭は優斗が思った通りにできるチートな箱庭だった。 前の世界でやっている番組が見れるテレビが出せたり、両親に電話できるスマホを出せたりなど異世界にいることを嘲笑っているようであった。 そんなチートな箱庭でまったりと過ごしていれば迷い込んでくる女性たちがいた。 偽物の聖女が現れたせいで追放された本物の聖女やら国を乗っ取られて追放されたサキュバスの王女など。 チートな箱庭で作った現代技術たちを前に、女性たちは現代技術にどっぷりとはまっていく。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった

仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。 そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?

処理中です...