禊ぎを終えたから自由に過ごせるようになった

かざみねこ

文字の大きさ
42 / 45
第2章

第42話 まさか、マサトさんの趣味・・・とか?

しおりを挟む
 魔力を込めすぎていたので、威力を抑えて再度灯火《ランプファイア》を出してみると、普通のサイズの火の玉が手のひらに浮かんだ。
そしてリナと同じように酸素を送り込むイメージを思い浮かべる。

 リナの灯火《ランプファイア》はガスバーナーのように空気を送り込んでいたみたいに見えた。自分もその方がイメージしやすいと思い、横から上へ押し上げるように空気を取込むようにイメージする。

───ゴォォオ!

 ちらりとソーニャの方を見て、注意深く灯火《ランプファイア》を見ている事を確認したところで、空気を送るイメージを止めてまた普通の火の玉に戻す。
そして今度は火の玉が飛び出すイメージを思い浮かべ、無属性魔法で運動エネルギーを火の玉に与える。

「あっ!」

 すると火の玉は手のひらから飛び出し少し離れたところで地面に当たり、少し焦げ目を残して消えていった。ソーニャが声を出したのは恐らく普通ではあり得ない灯火《ランプファイア》の動きにビックリしたからだろう。

「灯火《ランプファイア》が火の弾丸《ファイアバレット》のように飛んでいきました・・・」

 ソーニャが呆然と呟くようにそう言うと、僕と灯火《ランプファイア》が飛んでいった地面を交互に見る。

「あれはね、一応複合魔法だよ。火属性と無属性の」
「え?!どういうことですか?」

 僕は単なる灯火《ランプファイア》に移動するよう運動エネルギーという無属性魔法を混ぜ合わせ飛ばせたことを説明した。そして火の弾丸《ファイアバレット》自体もある意味火属性と無属性の複合魔法だと伝える。

「そもそも火が勝手に飛ぶわけ無いしね」
「・・・言われてみたらそうですね」
「なるほど」

 ソーニャも何とか理解が追いついたようだ。リナもふむふむと首を振っている。同じようにしてみてと2人に伝え、実際にやってみるように促した。

 リナは直ぐに灯火《ランプファイア》を吹っ飛ばしていたが、ソーニャの灯火《ランプファイア》は手のひらでユラユラと揺らめくだけで今のところ飛んでいく様子はなかった。

「運動エネルギーとか言われても訳が分からないかも知れないから、その灯火《ランプファイア》は飛んでいく前の火の弾丸《ファイアバレット》だと思って、飛べとイメージして魔力を込めてみて」
「は、はい!」

 僕がそうアドバイスするとソーニャはコクリと頷いた後、前を見据えて手のひらを差し出す。

「・・・んっ!」

 するとソーニャが差し出した手のひらから灯火《ランプファイア》が飛び出し、少し飛んでから地面にぶつかった。

「あっ・・・出来た。出来ましたよ!?」
「うん、見てたよ。おめでとう」
「おめでとうございます」

 よっぽど嬉しかったのかソーニャが、呟いた後こちらをみて嬉しそうに喜んでいた。

「あとは慣れるだけだけど、これで無詠唱とは行かないかもだけど詠唱破棄と複合魔法の足がかりにはなったね」
「え?あ、ああああ!本当だ!」

 そう灯火《ランプファイア》と唱えているから無詠唱ではないけれど、その後火の弾丸《ファイアバレット》として攻撃出来て、かつその火の弾丸《ファイアバレット》は火と無属性の複合魔法だ。

 無属性は魔法使いなら誰でも持っているスキルのはずなので、扱いやすいかもしれないけど、これを別の風などの属性と混ぜるとなると苦労するかもしれない。だけど、一度でも出来たという自信があれば、いずれソーニャも複合魔法を使いこなせるんじゃないかと思っている。

「さ、折角掴んだ感覚が消える前にもう少し練習をしよう」
「あ、はい!分かりました!」

 再度ソーニャは灯火《ランプファイア》を唱え、さっきと同じように飛ばそうと頑張る。最初は数分に1回飛ぶかどうかだったけれど、徐々に感覚を掴んだのか灯火《ランプファイア》飛んでいく時間が短くなってきている。

 僕とリナはこれ以上この練習をする必要はないので、ソーニャの練習を離れて眺めていた。しかし、流石に灯火《ランプファイア》と言っても、慣れないやり方で火の弾丸《ファイアバレット》を実行しているせいか、ソーニャも肩で息をするようになってきた。

「ソーニャ、そろそろ一旦休憩しよう」
「あ、ふぁーい。分かりましたー」

 ソーニャ自身もそろそろ魔力と集中力が切れてきていることに気づいていたのか、素直にこちらへ歩いてくる。

「疲れましたー。けど、だいぶコツを掴んできました」
「そうみたいだね。徐々に発動まで早くなってきていたよ」

 ソーニャが地面に直に座り、ローブで額に付いていた汗を拭う。その姿を見ていたリナがアイテムボックスから竹コップを取り出し、水属性魔法で水を生み出しソーニャに渡した。

「あ、ありがとうございます」
「どういたしまして。ご主人様もいかがですか?」
「じゃあ、折角だし貰うよ」

 僕もソーニャの対面に座り、隣に座ったリナから竹コップを受け取って水を入れて貰う。喉を潤しながら、休憩の後どうするかなと考えていると。

「休憩のあとどうされますか?」
「あぁ。まさに今どうしようかなと考えてた」

 リナと同じ事を考えていたからか、お互いに顔を向け笑い合った。その姿を見てソーニャが首を傾げていた。

「マサトさんとリナさんって主従関係というより、恋人同士に見えますね」

 見つめ合って笑ってたら、主従には見えないか。僕は頷きそれを認める言葉を言った。

「あぁ、そうだn」
「いいえ、夫婦です」

 ぶふっ!リナの発言に何も口に入れてないないのに息が詰まった。まぁ、確かにいずれ責任は取ると言ったから間違いじゃないのかもしれないけど。

「ご、ご夫婦だったんですか?!」
「ああ、申し訳ございません。未来のと付け加えるのを忘れていました。婚約者ですね」

 ソーニャはビックリした顔で確認してきたが、リナが訂正した。だけど、あんまり変わってない気がするなぁ。

「婚約者なのに、メイドなんですか?・・・まさか、マサトさんの趣味・・・とか?」

 おっと。普通は主従から恋人に、そして婚約者になったとか思わないの?何故かリナの格好は僕の趣味だと思われているんだけど。実際はメイドさんになる前から惚れて惚れられての関係だけどね。リナがバニーさんやってる頃から。・・・これ言うと更に僕の趣味を疑われるな。黙っておこう。

「いいえ、私の趣味です」
「「ぶふっ!」」

 訂正が訂正になっていない!というか、結局メイドは趣味だったのか!?僕とソーニャが噴き出した後、呆然とリナを見つめていると、一緒になって座っていたリナが立ち上がった。

「さて、冗談は置いておいて一旦村に戻って昼食でも取りませんか?」
「え、冗談だったんですか?それはどこから・・・」

 僕としても何が冗談だったのか聞きたいところだったが、これ以上爆弾を落とされても困るので、ソーニャを促し3人で村に戻ることにした。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

転生貴族の領地経営〜現代知識で領地を豊かにして成り上がる

ファンタジー
ネーデル王国の北のリーディア辺境伯家には天才的な少年レイトがいた。しかしその少年の正体は現代日本から転生してきた転生者だった。 レイトが洗礼を受けた際、圧倒的な量の魔力やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のレイトを辺境伯領の北の異種族の住むハーデミア領を治める領主とした。しかしハーデミア領は貧困に喘いだ貧乏領地だった。 これはそんなレイトが異世界の領地を経営し、領地を豊かにして成り上がる物語である。

ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった

仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。 そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?

S級冒険者の子どもが進む道

干支猫
ファンタジー
【12/26完結】 とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。 父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。 そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。 その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。 魔王とはいったい? ※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

処理中です...