永久の独奏曲

不知火黒刃

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「さて。ここで本題へ移りましょう」
パンと手を合わせ、彼女の顔は真剣なものへと変わっていた。
「疾様がすべき事は姫神様の命を救う事、ですよね。」
「ああ。勿論だ。」
「その行いは本来、世界の理に背くということ。容易ではありません。」
「歴史の修正力だよな?」
「そうです。それでは先程の話をまとめましょう。
一度彼女を救えたとしても、世界は異変に気づき修正しようとします。彼女が死ぬという世界は確定していたのです。その逆、彼女が生存した未来は存在せず本来それを捻じ曲げる事は不可能。しかし!唯一ここだけは、私の元に招かれた特別な世界ということ。」
そう、彼女に教えられた通りだ。
なら一体、俺が今いる世界線は何万分の1の奇跡なのだろうか。
「すまん。一つだけ気になってる事があるんだが、選択によって枝分かれした世界・世界線の中のここはどれくらいの確率でこれたんだ?」
「少々お待ちください」
と言うと彼女は目を瞑りしばらく考えていた。
……
「45兆3165億8843万45分の1。ですね。」
そのあまりにも桁違いな数に俺は思わず息を飲んだ。

「奇跡なんて言葉で表していいのかその確率……」

「神様がくれた最後のチャンスなのかもしれませんね、ははっ」
と彼女は普通に笑った。
俺が今ここにいるのは本当に、宝くじで1等を当てるより奇跡だった事を知った。
「絶対に失敗できないな。これを逃したらもう一生…あ、これ逃したら俺このまま死ぬんだっけな。」

「さて、先程の続きですが、彼女の命を1度救った所で何も変わらないという事です。」

「じゃあどうすればいいんだ?」

「全てを貴方が退けて下さい。」

そんな無茶な……世界を敵に回すようなものじゃないか。と思ってしまったが、その通りなのだ。
俺は今、世界に喧嘩を売りに行くのだ。それを理解すると自然と恐怖は引いていった。
それより、
「俺なんかに出来るのか……?」
「できます。私が先の未来を少しずつ見ていき、彼女に降りかかる災難をどう回避すればいいかを私がそのまま伝えます。疾様がそれを失敗しなければの話、ですが。」
と彼女はからかうように笑いながらそう言った。

「質問ばかりで悪いな。最後に一つ、その修正力ってやつに俺はいつまで抗えばいい?」

「3週間。そうすれば、世界は否が応でも諦め、新たに姫神様がこの世界に生き続ける。という上書きを施します。それがハッピーエンドへと繋がる方法です。」

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