永久の独奏曲

不知火黒刃

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4.出会い

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深い水の底に落ちていく感覚だった。
だが、四方八方、水の代わりに全てが黒く塗りつぶされていて、息もできる。不思議だ。
僕が生きてきた中では少なくとも経験し得ない事なのは明白。
そう考えている最中もゆっくりとどこまでも沈んでいく。



「これが、死..?」
『違うよ!』
「....?誰かいるのか?」
周りを見渡すも誰もいない。
『ここですー!』
ん?と振り向くとそこには可愛らしい小さい女の子が。

「君は?というかここどこ?僕まだ死んでないの?」
『むむっ!いきなり質問攻めですか?リリィは混乱してしまいそうです!』
「リリィ?それが君の名前?」
『そうなのです!そして、私はナビゲートの役目と監視役を務めているのです!それとちなみに、貴方は死んではいないのです。』
「どういう事?」
『ここは、現世と冥界の狭間です。つまり貴方様は今、死の瀬戸際にいるのです!』

話が飛躍しすぎて僕にはついていけない。
冥界?あの世だよな..まさか本当にあったのか?それともこれはただの夢か?いや、確かに俺はあのビルから飛び降りて...

「俺はこれからどうなる?」
『間違いなく死にます。』
彼女の最初のほんわかした表情とは別の。とても真剣な顔でそう告げた。
『貴方様の事は以前から観察しておりました。本当に__お辛かったですね。』

何故だろうか...もう涙は枯れたと思っていたのに…..なんでこんなに泣きたくなるんだろうか。
『我慢しなくて良いのです。貴方様を咎める者など今は誰もいないのですから。』
すると、彼女は笑い僕に向けて腕を広げた。
僕は吸い込まれるように彼女の腕の中へ。
「うわぁぁぁぁぁぁぁん!」
全ての悲しみを嘆きに変えて、嗚咽と共に叫ぶ。

(罪の意識から本当の自分を殺し、強い自分を演じてきた。だけど、逢という心の支えを失い、孤独に押し潰されビルから飛び降り自殺を図る__こんな純粋な子が報われないなんて、世界は残酷すぎるわ__)


全ての始まりは、僕が小学5年生の頃だった。



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