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先輩の秘めた思い!(新バージョン)
紙飛行機みたいに揺れ動く恋心
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僕は下校時間になったので、家路についていた。
ふと横を見ると、淡いオレンジ色に光る夕日が、下校している生徒を優しく照らしていた。
ただ、ただ、下校中の運動部の意気がった声や女子の笑い声が、オレンジ色の空に響いていた。
*
いつも僕は田沼先輩と一緒に帰りたいと思っているのだが、田沼先輩は、「本を図書館に読みに行くから」と言って、僕の家路とは逆方向の図書館へと行ってしまう。
僕はよく、
(たまには一緒に帰ってくれないかなぁ……)
と思う。
一度だけ、「僕も図書館に付いていきます!」と言ったこともあるが、即、断られた。
「がァがァ」と濁ったような声のカラスの群れが、電信柱の電線から、バサバサ、パラパラと飛び立った。
気がつくと周りにいた運動部の生徒や女子たちのグループは居ず、ずっと先へと行ってしまったようだった。
オレンジ色の光が掛かった、わたあめみたいにふわふわしている積乱雲を見ながら、僕は田沼先輩のことをどういう存在として認識してるか考え、なぜか胸をきゅうっと締め付けたような気持ちになった。
*
家に帰った後、自分の部屋にある机の電気スタンドからのジーンとした淡い光の中で、部活中にあまり書けなかった恋愛小説の続きを書いた。
「……彼女は成績優秀、容姿端麗でいつも笑顔を絶やさない、人付き合いが上手な生徒だった。……そして、彼女は……」
……なんとか少しは書けたが、"交際経験"がない僕にとっては、ここから先、どうやって繊細な心の動きを書けばいいか分からなかった。
やはり、恋愛小説をいざ書こうとすると、"交際経験"が必要になるのだろう。
……明日、先輩に相談しよう。
僕はふわぁぁーと長い欠伸をして、暖かい布団の中へと誘われる(いざなわれる)ように入り、そのまま、「すーすー……」と石のように寝た。
*
次の日の授業中……
僕は、"自分の好きな人"について考えるために、頬杖をついていた。
(〇〇ちゃん?いや、でもあの子とは話が合わないし……△△さん?いや、この子とは趣味が合わないし……中々いないなぁ……
ふわぁ……眠くな……って……き……)
僕は、放課後まで、眠ってしまった。
*
「とんとん」
誰かが僕の肩を叩いた。
「うーん……?」僕は、ゆっくり顔を上げ、誰が叩いたか見てみた。
……先輩だった。
すると先輩は、
「中也君、かなり寝ていたらしいね!同級生の子達から聞いたよ!いやぁ……先輩、中也君の先輩として、誇らしいよ!」
と、僕を褒めてきた。
僕は、
(誇らしい……のか?)
と少し疑問に思ったが、まぁ、考えても無駄だと思ったので、それについて考えるのは止めた。
*
先輩と文芸部の部室に行く道中、僕は先輩に、"交際経験"について訊いてみた。
「先輩、交際経験無いんですけど、どうやったら恋愛小説書けますかね?」
「うーん……難しい問題だね……
恋愛至上主義なるものもあるほどの奥深さがあるのが恋愛だから、恋愛小説を書くなら、やっぱり繊細な心の動きの描写のために、交際は経験しておいた方がいいんだよね……ねぇ、中也くん?中也くんには好きな人いるの?」
先輩は、少し不躾な(ふしつけな)質問をしてきた。
(好きな人……か……)
好きな人。授業中に少しだけ考えてみたが、思いつかなかった。
僕の好きな人とは誰なんだろうか……
先輩が、"好きな人"について考えている僕に、アドバイスをくれた。
「"好きな人"って、言うのはね、先輩の持論なんだけど、一緒にいて飽きなくて、いつもその人のことを考えちゃう人のことだと思うんだ!」
「なるほど……うーん……」
("一緒にいて飽きなくて"、"いつもその人のことを考えてしまう"、そんな人……)
僕は、ふと過去を振り返った。
「先輩!その説明だと"大宮と野島のラブストーリー"になっちゃいます!」
「答えは至極簡単です。
"僕が頑張っているのに先輩だけ昼寝するのはズルい"それだけです!」
「あの……あの……先輩、なんだかすいません……思い出したくないようなこと、思い出させちゃって……」
"こういう時に先輩とLINEを交換しておけば、「風邪大丈夫ですか、先輩?」とメッセージを送り、そこからどうにかこうにか先輩に謝って、一件落着になったんだろうな、と僕は少しだけ後悔した。"
……うん。そういうことなんだろう。
僕は、多分、先輩のことが好きだ。
先輩が好きだと気づいた今、先輩には誰とも付き合って欲しくないという気持ちが、僕の心の中に溢れている。
……僕は顔を赤らめながら、先輩にこう答えた。
「それなら……その……1人だけ……いるかもです」
そうすると先輩は、一瞬寂しそうな顔をして、こう言った。
「……よし!先輩、決めた!中也くんの恋のお手伝いをしてあげる!恋愛経験豊富な先輩が、当たって砕けた記憶しかない先輩が、中也くんに告白の方法を伝授してあげるよ!……で、その"女子"の名前は?言ってみなよ!うぃうぃ! うぃうぃ!」
僕は、つい「先輩」と言いそうになったが、流石に言うと、まずいと思ったので、適当な子の名前を答えた。
「〇〇ちゃんです!……はい。」
なんだか投げやりに答えてしまったが、先輩には気づかれていないようだった。
「〇〇ちゃんかぁ……美人だしね!……よし!とりあえず今の時代、LINEさえ交換出来れば簡単に告白できる時代だから、〇〇ちゃんとLINEを、どうにか交換しよう!そうしよう!そこから始めよう!」
先輩は、目を大きく見開いて、ワンコのような顔をしながら言った。
そうして、先輩と僕の、"交際経験ゲットだぜ作戦"が始まったのだった……
ふと横を見ると、淡いオレンジ色に光る夕日が、下校している生徒を優しく照らしていた。
ただ、ただ、下校中の運動部の意気がった声や女子の笑い声が、オレンジ色の空に響いていた。
*
いつも僕は田沼先輩と一緒に帰りたいと思っているのだが、田沼先輩は、「本を図書館に読みに行くから」と言って、僕の家路とは逆方向の図書館へと行ってしまう。
僕はよく、
(たまには一緒に帰ってくれないかなぁ……)
と思う。
一度だけ、「僕も図書館に付いていきます!」と言ったこともあるが、即、断られた。
「がァがァ」と濁ったような声のカラスの群れが、電信柱の電線から、バサバサ、パラパラと飛び立った。
気がつくと周りにいた運動部の生徒や女子たちのグループは居ず、ずっと先へと行ってしまったようだった。
オレンジ色の光が掛かった、わたあめみたいにふわふわしている積乱雲を見ながら、僕は田沼先輩のことをどういう存在として認識してるか考え、なぜか胸をきゅうっと締め付けたような気持ちになった。
*
家に帰った後、自分の部屋にある机の電気スタンドからのジーンとした淡い光の中で、部活中にあまり書けなかった恋愛小説の続きを書いた。
「……彼女は成績優秀、容姿端麗でいつも笑顔を絶やさない、人付き合いが上手な生徒だった。……そして、彼女は……」
……なんとか少しは書けたが、"交際経験"がない僕にとっては、ここから先、どうやって繊細な心の動きを書けばいいか分からなかった。
やはり、恋愛小説をいざ書こうとすると、"交際経験"が必要になるのだろう。
……明日、先輩に相談しよう。
僕はふわぁぁーと長い欠伸をして、暖かい布団の中へと誘われる(いざなわれる)ように入り、そのまま、「すーすー……」と石のように寝た。
*
次の日の授業中……
僕は、"自分の好きな人"について考えるために、頬杖をついていた。
(〇〇ちゃん?いや、でもあの子とは話が合わないし……△△さん?いや、この子とは趣味が合わないし……中々いないなぁ……
ふわぁ……眠くな……って……き……)
僕は、放課後まで、眠ってしまった。
*
「とんとん」
誰かが僕の肩を叩いた。
「うーん……?」僕は、ゆっくり顔を上げ、誰が叩いたか見てみた。
……先輩だった。
すると先輩は、
「中也君、かなり寝ていたらしいね!同級生の子達から聞いたよ!いやぁ……先輩、中也君の先輩として、誇らしいよ!」
と、僕を褒めてきた。
僕は、
(誇らしい……のか?)
と少し疑問に思ったが、まぁ、考えても無駄だと思ったので、それについて考えるのは止めた。
*
先輩と文芸部の部室に行く道中、僕は先輩に、"交際経験"について訊いてみた。
「先輩、交際経験無いんですけど、どうやったら恋愛小説書けますかね?」
「うーん……難しい問題だね……
恋愛至上主義なるものもあるほどの奥深さがあるのが恋愛だから、恋愛小説を書くなら、やっぱり繊細な心の動きの描写のために、交際は経験しておいた方がいいんだよね……ねぇ、中也くん?中也くんには好きな人いるの?」
先輩は、少し不躾な(ふしつけな)質問をしてきた。
(好きな人……か……)
好きな人。授業中に少しだけ考えてみたが、思いつかなかった。
僕の好きな人とは誰なんだろうか……
先輩が、"好きな人"について考えている僕に、アドバイスをくれた。
「"好きな人"って、言うのはね、先輩の持論なんだけど、一緒にいて飽きなくて、いつもその人のことを考えちゃう人のことだと思うんだ!」
「なるほど……うーん……」
("一緒にいて飽きなくて"、"いつもその人のことを考えてしまう"、そんな人……)
僕は、ふと過去を振り返った。
「先輩!その説明だと"大宮と野島のラブストーリー"になっちゃいます!」
「答えは至極簡単です。
"僕が頑張っているのに先輩だけ昼寝するのはズルい"それだけです!」
「あの……あの……先輩、なんだかすいません……思い出したくないようなこと、思い出させちゃって……」
"こういう時に先輩とLINEを交換しておけば、「風邪大丈夫ですか、先輩?」とメッセージを送り、そこからどうにかこうにか先輩に謝って、一件落着になったんだろうな、と僕は少しだけ後悔した。"
……うん。そういうことなんだろう。
僕は、多分、先輩のことが好きだ。
先輩が好きだと気づいた今、先輩には誰とも付き合って欲しくないという気持ちが、僕の心の中に溢れている。
……僕は顔を赤らめながら、先輩にこう答えた。
「それなら……その……1人だけ……いるかもです」
そうすると先輩は、一瞬寂しそうな顔をして、こう言った。
「……よし!先輩、決めた!中也くんの恋のお手伝いをしてあげる!恋愛経験豊富な先輩が、当たって砕けた記憶しかない先輩が、中也くんに告白の方法を伝授してあげるよ!……で、その"女子"の名前は?言ってみなよ!うぃうぃ! うぃうぃ!」
僕は、つい「先輩」と言いそうになったが、流石に言うと、まずいと思ったので、適当な子の名前を答えた。
「〇〇ちゃんです!……はい。」
なんだか投げやりに答えてしまったが、先輩には気づかれていないようだった。
「〇〇ちゃんかぁ……美人だしね!……よし!とりあえず今の時代、LINEさえ交換出来れば簡単に告白できる時代だから、〇〇ちゃんとLINEを、どうにか交換しよう!そうしよう!そこから始めよう!」
先輩は、目を大きく見開いて、ワンコのような顔をしながら言った。
そうして、先輩と僕の、"交際経験ゲットだぜ作戦"が始まったのだった……
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