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本編
71.「城を出たようですが準備は?」
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***ラフィリア城内修練エリア***
「っちゅう訳やから、ちょっとザーカスに行ってくれやん?」
「嫌だと言っても行かされるんだろ」
「当たり前や」
ダンジョンの一件からしばらく経ち、それなりに平和に暮らしていたところにリィカから告げられた他国訪問。なんでもザーカス国第一王子が成人したらしく、その祝福パーティを開くそうだ。
「サクヤはもちろん一緒に来てもらうが、朔丸はどうする?」
「まずそもそもザーカス国ってなにー」
「あー、それは……」
「ザーカスはラフィリアの隣国や。人口の7割が女で、王家にも王女なら7人もおる。王子は1人やけどな。……で、最大の特徴は獣人族の国ってとこやな」
フィルを押しのけ地図を指さしながらのリィカ説明。最後の獣人族、と言ったところで咲夜とゆあの瞳がキランと輝いた。
「獣人?」
「せや」
「もふもふ?」
「せや」
「シェルみたいな人いっぱい?」
「せや」
「「もふもふ、行くっ!!」」
犬猫を筆頭に、ふわふわしたものやもふもふの小動物をこよなく愛する、もふもふ愛好家(笑)の2人。
シェルが全くと言っていいほど触らせてくれなかった耳やしっぽに触る機会があるかもしれないのだ。ついて行くしか選択肢はないだろう。
「あの……僕も行きたいです」
「イトも?」
「はい」
ゆあと一についてラフィリア城にやって来てから今まで、ずっと場内にいたイトとキト。主に修練エリアでずっと捕まっている人気者で、それゆえにダンジョンの一件のときにいなかったのだ。
「いや、イトはあかん。ずっと隠居しとった先代魔法使い長があんたに会うために這い出て来たらしいんよなぁ」
「へ……?」
「今騎士達にすっごい人気なあんたの魔法が如何程か見たいんやって」
「そ、それは嬉しい……んですが」
「ま、諦めることやな」
「はい……」
リィカにダメ出しをくらい、しょんぼりと肩を落とすイト。ゆあがフォローのために次にどこか行く時は絶対一緒に行く、と約束を取り付けていた。
「あ、シェルは行く?」
「オレはいい。気にはなるが、行けば向こうに帰りたくなくなるだろうからな」
と、こちらも騎士達に大人気のシェルは行かないらしい。実はシェルが来た世界では獣人は獣人であるというだけで虐げられる存在だそうだ。
「それにそのザーカス?っていうとこにはアイツらがいるだろうし、スズランもしばらく何もしなくていいと言っていたからな」
「アイツら?」
「オレの一番弟子だ。ま、合えば分かるさ」
「覚えておくよ」
そうして話し合いはそこで終わり、ザーカス国にはいつもの4人メンバーで行くこととなった。今回は特に急ぎでもないので、初めての馬車に乗っての旅となるのだった。
***ウィル***
「城を出たようですが、準備は?」
「出来ていますわ。それより本当ですの?リュカ様に番が……」
「何回聞くんですか?いますよ、特別美しくもない人が」
「……そう。では、予定通りに行きますわよ」
「はい。くれぐれも、失敗しないようにお願いしますよ。ザーカス国第一王女、リザリス様」
「えぇ」
***ザーカス国***
「この城にある暗雲がさらに濃くなっています。そろそろ動き出すのでしょう」
「……そう、ありがとう。今夜シェーラが"シェーラ"で良かったわ、貴方の占いは当たるもの」
「恐縮です、第七王女様」
「いいえ、違うでしょう」
「そうですね、イルシス様」
「早く、シェーラを帰してあげたいわ」
「はい。竜王ならば、今のザーカスを救ってくれるでしょう」
「そうね。この事態がいい結末を迎えることを祈りましょう……」
「っちゅう訳やから、ちょっとザーカスに行ってくれやん?」
「嫌だと言っても行かされるんだろ」
「当たり前や」
ダンジョンの一件からしばらく経ち、それなりに平和に暮らしていたところにリィカから告げられた他国訪問。なんでもザーカス国第一王子が成人したらしく、その祝福パーティを開くそうだ。
「サクヤはもちろん一緒に来てもらうが、朔丸はどうする?」
「まずそもそもザーカス国ってなにー」
「あー、それは……」
「ザーカスはラフィリアの隣国や。人口の7割が女で、王家にも王女なら7人もおる。王子は1人やけどな。……で、最大の特徴は獣人族の国ってとこやな」
フィルを押しのけ地図を指さしながらのリィカ説明。最後の獣人族、と言ったところで咲夜とゆあの瞳がキランと輝いた。
「獣人?」
「せや」
「もふもふ?」
「せや」
「シェルみたいな人いっぱい?」
「せや」
「「もふもふ、行くっ!!」」
犬猫を筆頭に、ふわふわしたものやもふもふの小動物をこよなく愛する、もふもふ愛好家(笑)の2人。
シェルが全くと言っていいほど触らせてくれなかった耳やしっぽに触る機会があるかもしれないのだ。ついて行くしか選択肢はないだろう。
「あの……僕も行きたいです」
「イトも?」
「はい」
ゆあと一についてラフィリア城にやって来てから今まで、ずっと場内にいたイトとキト。主に修練エリアでずっと捕まっている人気者で、それゆえにダンジョンの一件のときにいなかったのだ。
「いや、イトはあかん。ずっと隠居しとった先代魔法使い長があんたに会うために這い出て来たらしいんよなぁ」
「へ……?」
「今騎士達にすっごい人気なあんたの魔法が如何程か見たいんやって」
「そ、それは嬉しい……んですが」
「ま、諦めることやな」
「はい……」
リィカにダメ出しをくらい、しょんぼりと肩を落とすイト。ゆあがフォローのために次にどこか行く時は絶対一緒に行く、と約束を取り付けていた。
「あ、シェルは行く?」
「オレはいい。気にはなるが、行けば向こうに帰りたくなくなるだろうからな」
と、こちらも騎士達に大人気のシェルは行かないらしい。実はシェルが来た世界では獣人は獣人であるというだけで虐げられる存在だそうだ。
「それにそのザーカス?っていうとこにはアイツらがいるだろうし、スズランもしばらく何もしなくていいと言っていたからな」
「アイツら?」
「オレの一番弟子だ。ま、合えば分かるさ」
「覚えておくよ」
そうして話し合いはそこで終わり、ザーカス国にはいつもの4人メンバーで行くこととなった。今回は特に急ぎでもないので、初めての馬車に乗っての旅となるのだった。
***ウィル***
「城を出たようですが、準備は?」
「出来ていますわ。それより本当ですの?リュカ様に番が……」
「何回聞くんですか?いますよ、特別美しくもない人が」
「……そう。では、予定通りに行きますわよ」
「はい。くれぐれも、失敗しないようにお願いしますよ。ザーカス国第一王女、リザリス様」
「えぇ」
***ザーカス国***
「この城にある暗雲がさらに濃くなっています。そろそろ動き出すのでしょう」
「……そう、ありがとう。今夜シェーラが"シェーラ"で良かったわ、貴方の占いは当たるもの」
「恐縮です、第七王女様」
「いいえ、違うでしょう」
「そうですね、イルシス様」
「早く、シェーラを帰してあげたいわ」
「はい。竜王ならば、今のザーカスを救ってくれるでしょう」
「そうね。この事態がいい結末を迎えることを祈りましょう……」
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