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本編
72.「はじめまして、リザリス様」
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「おーいサクヤ、起きろ?朝だぞ」
「……んぅ?」
フィルに肩を揺さぶられ、ゆっくりと身を起こした咲夜。まだ少しぼーっとしている咲夜の頬に手を伸ばしたフィルが、そのまま口付けた。
「フィル、それやめてって、ふぁっ、言ってるじゃない」
少し身動ぎをしてフィルから逃げ、あくびを一つ。そこでやっと目が覚めたらしく、自分が今寝ていた場所を把握して、さらに目の前でゆあと一がニヤニヤしているのを見て固まった。
「朝からお熱いねぇ」
「……あ、あ、私……寝ぼ、けて!」
「これもう日課になってるんだよなぁ」
「フィルーっ!?」
夕方に城を出て一晩馬車に揺られ、もうすぐザーカスに着くという所。真っ赤になった咲夜が大声を出して、御者の人に心配された。
「……っと、着いたみたいだな」
咲夜が騒いでいるのを全く気にせず、窓の外を見ていたフィル。その言葉通り、馬車がカタンと一揺れして止まった。
「ほらサクヤ、気をつけろよ」
「……うん」
少し高くなっている馬車の入口から咲夜が危なげなく降りれるよう、エスコートするフィル。2人共いつもと違ってドレスアップしているため、華やかさが段違いだ。
「リュカ様!来てくださいましたの!」
「第一王女リザリス様。この度はお招き頂き、ありがとうございます」
「えぇ、まずはお部屋に案内させますわ」
そう言ったリザリスは使用人を先頭に立たせ、自分はフィルに近づいていく。咲夜はゆあと共に城に見入っており、全く気づいていない。
「ところでリュカ様、番が見つかったのでしょう?どの方か教えてくださいませ」
「あの赤のドレスを来て、髪を下ろしている女性ですよ」
「……お美しい方ですのね」
そう言いつつ、フィルの腕に自分の腕を絡めてぎゅっと引っ付くリザリス。そうすればフィルが困り、それでも自分に強く出れないのを彼女は知っているのだ。
「リザリス様、おやめ下さい」
「わたくしが、嫌いですの……?」
「そういうわけでは、ありませんが」
フィルが身を引くとリザリスもついてくる。彼女は、フィルが少し身震いしたのを自分に感じたからだと大きな勘違いをするくらには、頭の中がお花畑であった。
「ちょっと咲夜、あれ。ほっといて大丈夫なの?」
「……んーん、ダメ。ごめんゆあ、ちょっと行ってくる」
「行ってらっしゃーい」
やっと現状に気がついたゆあが咲夜をちょっとつつく。そうすれば、いつか見た綺麗な笑顔を浮かべた咲夜が優雅かつお淑やかな動作でフィルに近づいていく。
「フィル?」
「サクヤ」
「はじめまして、リザリス様」
「こんにちは」
「すみませんが、フィルから離れてくれますか?……あぁ、これは私のわがままではなくフィルの為なので」
礼をしつつ挨拶をすれば、返ってきたのが冷たい視線と上辺だけの挨拶。そこで咲夜は相手がそう出るならば、と敬語ではなく限りなくタメに近い口調でで話しかける。
「リュカ様の為……?わたくし、リュカ様に何もしていませんわ」
「いえいえ、フィルは私以外の女性が触れるのをとても嫌がるのです。貴方の手前、何も言いませんが」
敬称をすっ飛ばし、挑戦的に言い放った咲夜。それにリザリスはぐっと顔を一瞬歪ませ、渋々フィルから離れた。
……第一戦は文句なしで咲夜の勝利であった。
「……んぅ?」
フィルに肩を揺さぶられ、ゆっくりと身を起こした咲夜。まだ少しぼーっとしている咲夜の頬に手を伸ばしたフィルが、そのまま口付けた。
「フィル、それやめてって、ふぁっ、言ってるじゃない」
少し身動ぎをしてフィルから逃げ、あくびを一つ。そこでやっと目が覚めたらしく、自分が今寝ていた場所を把握して、さらに目の前でゆあと一がニヤニヤしているのを見て固まった。
「朝からお熱いねぇ」
「……あ、あ、私……寝ぼ、けて!」
「これもう日課になってるんだよなぁ」
「フィルーっ!?」
夕方に城を出て一晩馬車に揺られ、もうすぐザーカスに着くという所。真っ赤になった咲夜が大声を出して、御者の人に心配された。
「……っと、着いたみたいだな」
咲夜が騒いでいるのを全く気にせず、窓の外を見ていたフィル。その言葉通り、馬車がカタンと一揺れして止まった。
「ほらサクヤ、気をつけろよ」
「……うん」
少し高くなっている馬車の入口から咲夜が危なげなく降りれるよう、エスコートするフィル。2人共いつもと違ってドレスアップしているため、華やかさが段違いだ。
「リュカ様!来てくださいましたの!」
「第一王女リザリス様。この度はお招き頂き、ありがとうございます」
「えぇ、まずはお部屋に案内させますわ」
そう言ったリザリスは使用人を先頭に立たせ、自分はフィルに近づいていく。咲夜はゆあと共に城に見入っており、全く気づいていない。
「ところでリュカ様、番が見つかったのでしょう?どの方か教えてくださいませ」
「あの赤のドレスを来て、髪を下ろしている女性ですよ」
「……お美しい方ですのね」
そう言いつつ、フィルの腕に自分の腕を絡めてぎゅっと引っ付くリザリス。そうすればフィルが困り、それでも自分に強く出れないのを彼女は知っているのだ。
「リザリス様、おやめ下さい」
「わたくしが、嫌いですの……?」
「そういうわけでは、ありませんが」
フィルが身を引くとリザリスもついてくる。彼女は、フィルが少し身震いしたのを自分に感じたからだと大きな勘違いをするくらには、頭の中がお花畑であった。
「ちょっと咲夜、あれ。ほっといて大丈夫なの?」
「……んーん、ダメ。ごめんゆあ、ちょっと行ってくる」
「行ってらっしゃーい」
やっと現状に気がついたゆあが咲夜をちょっとつつく。そうすれば、いつか見た綺麗な笑顔を浮かべた咲夜が優雅かつお淑やかな動作でフィルに近づいていく。
「フィル?」
「サクヤ」
「はじめまして、リザリス様」
「こんにちは」
「すみませんが、フィルから離れてくれますか?……あぁ、これは私のわがままではなくフィルの為なので」
礼をしつつ挨拶をすれば、返ってきたのが冷たい視線と上辺だけの挨拶。そこで咲夜は相手がそう出るならば、と敬語ではなく限りなくタメに近い口調でで話しかける。
「リュカ様の為……?わたくし、リュカ様に何もしていませんわ」
「いえいえ、フィルは私以外の女性が触れるのをとても嫌がるのです。貴方の手前、何も言いませんが」
敬称をすっ飛ばし、挑戦的に言い放った咲夜。それにリザリスはぐっと顔を一瞬歪ませ、渋々フィルから離れた。
……第一戦は文句なしで咲夜の勝利であった。
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