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第7節
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とうとうお互いは何も話すことなく、例の路地までたどり着いた。ここを迂回するのは正義の者としてのプライドが許さなかったが、佳穂のことを考えると強行するのは得策ではない気がした。事実、後ろを振り返ってみると、彼女は鬼の形相でこちらを睨んでいた。
「わかった、わかったよ。今日は通らないから。」
そう言って、一行は迂回路に向かった。しかし、こんな日に限ってその道は補修工事をしており、通行止めとなっていた。ここからさらに迂回するとなると、かなりの遠回りをすることになる。
「ほら、こっちの道が通行止めってことは、今日は路地を通る人も多いだろうし、大丈夫だよ。」
そう佳穂を説得すると、渋々ながら彼女も納得した。
路地まで戻ると、どちらかというと佳穂の心配した通り、人気は全くといっていいほどなかった。先週はごみを片付けられなかったからか、いつも以上に薄汚く、重苦しく感じた。だが、前回のように路地の中に人はいなかった。義清は少し安堵して路地を進んだ。
その安堵も、長くは続かなかった。路地の真ん中まで歩いた辺りで、前から二人の男が歩いてきた。義清はその顔に見覚えがあった。急いで引き返そうと後ろを振り返ると、もう一人、見覚えのある顔をした男が立ち塞がった。
「通るだろうと思ったよ。お前はそういう奴だ。」
後ろの男が言った。
「なんだ、今日は女連れか? 随分と言いご身分だなあ、おい。」
「おまけ付きとは気が利くじゃねぇか。」
前の男たちも、連動するように言葉を発した。
「わかった、わかったよ。今日は通らないから。」
そう言って、一行は迂回路に向かった。しかし、こんな日に限ってその道は補修工事をしており、通行止めとなっていた。ここからさらに迂回するとなると、かなりの遠回りをすることになる。
「ほら、こっちの道が通行止めってことは、今日は路地を通る人も多いだろうし、大丈夫だよ。」
そう佳穂を説得すると、渋々ながら彼女も納得した。
路地まで戻ると、どちらかというと佳穂の心配した通り、人気は全くといっていいほどなかった。先週はごみを片付けられなかったからか、いつも以上に薄汚く、重苦しく感じた。だが、前回のように路地の中に人はいなかった。義清は少し安堵して路地を進んだ。
その安堵も、長くは続かなかった。路地の真ん中まで歩いた辺りで、前から二人の男が歩いてきた。義清はその顔に見覚えがあった。急いで引き返そうと後ろを振り返ると、もう一人、見覚えのある顔をした男が立ち塞がった。
「通るだろうと思ったよ。お前はそういう奴だ。」
後ろの男が言った。
「なんだ、今日は女連れか? 随分と言いご身分だなあ、おい。」
「おまけ付きとは気が利くじゃねぇか。」
前の男たちも、連動するように言葉を発した。
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