転生を断ったら最強無敵の死霊になりました~八雲のゆるゆる復讐譚~

ろっぽんせん

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キャラダイスでの大事件

ノットバトルジャンキーヤクモ

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・ノットバトルジャンキーヤクモ
 俺が思いついた作戦は空から霊の入った石を落として攻撃する作戦だ。森は幸い、地面が柔らかい所が多いので高い所から落としても石が壊れることも少ないだろう。霊も必死になれば空中でブレーキをかけることも不可能ではない。石そのものを壊される心配もあったが、キルトが使う魔法は水なので先に血が洗い流されるので霊そのものに大きなダメージは入らないはずである。やっていることは神風アタックだが中にいる霊の安全性はかなり担保されている。
「なるほど……石は近場に河原があったのでそこからとってきましょう」
「あぁ、それと……タンポポが触媒に血を使うのは自身の体液だからだったよな」
「え、はい、そうですけど?」
「なら、安全のため、服を脱いでおいてくれ」
「はい!?」
 俺だってこんなことは言いたくないが、思いついた作戦では必要不可欠なのだ。タンポポを落ち着けるようになだめながらしっかりと説明をしていく。
「たぶん、タンポポがいつも着ている服なら俺がはいる条件は整っていると思うんだがどうだろう」
「そ、それはまぁ……は、はい」
「タンポポのふりをして俺は出来るだけ上空を飛ぶ。キルトの視線は上を向くからタンポポは隠れやすくなるはずだ」
「で、でもえっと……その、色々と問題が……」
「タンポポ、わかる。でもな、こう考えてみてほしい……誰かに見つかったらアウトという状況はかわらないんだ」
 下着姿で森を歩き回ることも、お尋ね者が森を歩くことも人に見つかったら大変なことになるという事実は変わらないのだ。これで納得してくれるとは思わないが、こう説明するほかない。冒険者ランクがどういったものかしっかりと把握は出来ないが、生身の人間が眼で捉えるのが難しいほどの素早さで動いたり、魔法を使ったとはいえ人間が花火と同じぐらいの高度にたどり着いてしまうようなやつに対して人間と同じ想定をしていては足元をすくわれてしまうだろう。そういう生物だと思ってできる限りの備えはしておきたい。
「わ、わかりました……ろ、ローブもありますしなんとか」
「タンポポ……ローブは秘密兵器を乗せたいから置いて行ってくれ」
「下着だけですか!?」
「もちろん、無理にとは言わない……ただ、あいつを足止めするのであれば倒すぐらいの勢いがないと無理だと思う」
「わ、わかりました……が、頑張ります」
 タンポポが赤くなりながら服を脱いでまずは俺を服の中へと入れてくれる。この状態であれば俺も石に触れるのでさくっと河原まで飛んで石を大量にとってくる。ついでに秘密兵器たりえるだろう岩もだ。その間にタンポポには森中にいる霊に声をかけてもらい交渉に入ってもらう。
「こ、こんな岩どうするんですか? この大きさの入れる霊はヤクモさんぐらいしかいなさそうですし……血もどれだけ塗ればいいか」
「あぁ、これには霊はいらないから安心してくれ……」
 草むらから顔を出すタンポポは俺がとって来た石に血を付着させながら、俺が持ってきた大きな岩に困っていた。それを俺はすぐさま否定する。これは相手が空中に上がって来た時に隙を作るための秘密兵器なのだ。近くで離す予定だから霊はいらない。これをローブで包んだらあらかた準備が終わる。
「よし、タンポポは出来れば町へ行ってギルド長へ方向に行ってほしい」
「わ、わかりました」
 それだけ言い残して空を飛ぶ。

 そんなことがあったわずか10分後、俺はキルトの身体に巻き付いて空を飛んでいた。キルトの戦闘は時間にして10分にも満たない短いとも長いとも言えない時間の戦闘時間だった。準備している時間の方が長かったので体感的には短く感じる程度だった。
「▲▲▲▲」
 してやられたというのにキルト自身は楽しそうに上機嫌にしゃべりかけてくるが、あいにくと俺には何を言っているかわからないのでとりあえず好きにしゃべらせておくことにした。口をふさいでやっても良かったのだが、今の俺はタンポポのワンピースになっているので俺が口をふさごうとするとたぶん、タンポポが怒る。
 キルトの声をBGMにタンポポと別れた所へ行ってみたが、タンポポはいない。おそらく冒険者ギルドか死霊術士ギルドの方へ向かったのだろう。とりあえず、キルトのこともあるし、冒険者ギルドへと向かって飛んでいく。ついでに上から見てタンポポがいれば声をかけようと思っていたが、タンポポはうまく行動できたのか、少なくとも道中では発見することができなかった。
 キルトにまとわりついた状態で冒険者ギルドへ入ると視線が一気に集まってくる。
「▲▲▲▲! ▲▲▲!」
 キルトが口を開くと周りの冒険者がどよめく。何を言ったかはわからないが、周りの目がかなり怪しいものを見る目つきや信じられないものを見る目に変わったのでどうやら馬鹿正直に負けたことを話したのだろう。
「ヤクモ様いらっしゃいますか!!! タンポポから聞いてきました!!!!! あ、本当にいらっしゃいました! こっちにいるということは勝ったということですよね。さすがリッチー様です!」
 丁度いいところに死霊術士ギルドの長であるマドラーがやって来てくれた。
「タンポポが聞いたってことは無事か、よかった」
 緊張の糸が切れたのか力が抜ける。キルトの身体がから離れると同時にキルトがまた何事か声をかける。
「またやろうぜ……とのことです。私も見てみたいので是非っ!」
「もう、絶対にごめんだ」
 ぐったりとしながらも長い一日がようやく終わりそうでほっと息をついた。
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