転生を断ったら最強無敵の死霊になりました~八雲のゆるゆる復讐譚~

ろっぽんせん

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VS聖騎士

新しい日常

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・新しい日常
 あの誘拐事件から変わったことがいくつかある。週1回のタンポポ先生による死霊魔術教室を筆頭に我々庶民の生活にエリザベスが密接にかかわるようになった。
 タンポポの死霊魔術教室の後は俺はエリザベスとタンポポを乗せて冒険者ギルドへと飛ぶ。箒もおニューになっているのだが、竹箒の太さが以前の3割増しになっているのはタンポポの気遣いなのか、妹の気遣いなのかはわからない。冒険者ギルドに着くと俺とタンポポは残っている届け物などの仕事を行う。エリザベスは冒険者ギルドの掃除などの雑務をこなしている。強面の冒険者相手にもなんの物怖じもせずおしゃべりを出来るのだから、そこはさすが領主の娘という貫禄がある。
 さらにさらに俺の提案で7日に1度は必ず完全にオフの日を作ることを提案したところ、それが受け入れられた。俺は疲れも焦りもないので気楽なものであるが、生きているタンポポや死霊術士ギルドの面々はそうはいかない。金がある程度稼げるようになったのなら休日でゆっくり羽を伸ばすのは、仕事にとっても心身にとっても良いことだ。スムーズに事が運んだのは俺が1週間という概念を無意識で死霊術士ギルドの面々に伝えていたからだそうだ。なので俺が言わなくても7日区切りのカレンダーを書いた黒板が死霊術士ギルドのフロアに張り出されてそれぞれの予定が書きこまれることになった。
 そして、今日は日曜日なのである。人数の少ない死霊術士ギルドは足並みを簡単にそろえることができ、死霊術士ギルドそのものを休みにしてしまった。定休日の看板は作っていないのでぶら下げていないがそのうち作る予定らしい。しかし、俺は受付の席に座っている。正確には物に触れることはできないので座ったポーズでいい感じの所で浮遊しているだけなのだが、それはいい。タンポポが明日が休みだからと調子乗って論文をまとめていたので、たぶん昼か夕方ぐらいまでは起きてこない。他のメンツも買い物やらなんやらで出かけている。つまり、すごく暇なのでお留守番っぽいことをすることにしたのだ。死霊術士に緊急の依頼はないと思うが、霊が迷い込んできた場合は一応、俺でも対応ができる。
「▲▲▲! ▲▲▲!!!!」
 勢いよく扉が開かれる。扉が開かれたということは目の前にいる薄ピンクの髪の少女は少なくとも霊ではないようだ。俺はギルドの受付に座っているのもあり、どうせ見えないだろうと思ってごっこ遊びの延長の様に立ち上がりにこやかにお辞儀をしてみる。
「▲▲▲? ▲▲」
 しかし、意外なことにこの訪問者には俺の姿がばっちりと見えているらしい。しかし、着ているものは死霊魔術士のそれではない。立派な白の鎧に胸元にはゼン神教のマークが入っている。あとなんかすっごく臭い。近寄りたくないと思わせる生臭いような……ぎりぎり耐えられないことない匂いなので我慢はできるが……この世界に来てから初めて嗅覚を刺激された気がして新鮮な気分だ。しかし、言っていることは解らないので身振り手振りで意思の疎通を試みることにする。
 しゃべられない事をアピールするために身体を動かしているとそれを理解したのか、何事かを呟く少女。
「これでわかるかしら」
「うわ、びっくりした」
「あら、成功ね。まさか、聖騎士の嗜みだからということで覚えた。万能の言葉バベルランゲージを使う日が本当に来るなんて思わなかったわ」
「バベル……?」
「????? わたくし、バベルなんて言っていないわよ?」
 詳しく聞いてみると彼女が使った魔術は神聖魔術の万能の言葉と呼ばれるもので、元々は言語が統一されていなかった時代にゼン神が自分の教えを説くために授けた魔法が基になっている魔術らしく、ゼン神教の牧師や聖騎士はまず最初に絶対に教えられる魔術だそうだ。昔の魔術なので若干の齟齬があるのか、それとも俺が異世界の人だからかわからないが、言っている言葉と聞こえる言葉が違う様に聞こえるらしい。
「改めまして、わたくし、サラ・ホワイトラバーって……あぁ、今はただのサラで良いわ。聖騎士として来ているから家名は忘れてちょうだい」
「わかりました。俺の名前はヤクモと言います。死霊術士ギルドになにか御用でしょうか?」
 家名があるということは偉い立場の人間だということがわかる。態とにしてもそうでないとしては偉い立場の人間はある程度特別扱いした方が扱いやすい。誰でも知っている処世術だ。
「ヤクモ……あんたがヤクモ!? ふーん。へぇ……あんたがねぇ」
「えっと、俺が何か?」
「なんでもないわ。ただ、妹分であるエリザベスにちょっかい出すのはやめなさい。それだけよ」
 エリザベスの知り合い……いや、妹分ということは妹のようにかわいがっているということなのだろう。話をしたのか手紙か何かで俺の名前が出てきたと……
「大丈夫ですよ。エリザベスは俺を乗り物としか思ってないですし」
「乗り物……?」
「えぇ、なんかいずれは俺を乗り心地のいい椅子にしたいとかなんとか」
「……ちょっと考えをまとめさせて」
 それからサラと名乗った彼女は暫く唸りながら考えをまとめるために外に出ていってしまった。一体何だったのだろうか。
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