男子校で親友2人と大恋愛!?〜宇宙人の出世がかかっているらしいです〜

ろっぽんせん

文字の大きさ
57 / 84
一学期

とある日の買い物

しおりを挟む
 アパレル店員(30代)は悩んでいた。
 会社の方針としては手が空いていれば、積極的にお客様に声をかけて困りごとがないか、どんなものを探しているのかを聞いてご案内をしたり、相談に乗ったりするのが決まりである。

「この間のボーリングで服の大切さはよくわかった。だからこそ、こうして服を買いに来て勉強もしようと思っている……しかし、1つの店で30分や40分も悩むものなのか?」
「1時間ぐらい悩むやつもいるぞ? 服の値段見てみろ」
「……高くないか?」
「こんなもんだ。悪いことは言わないから自分の小遣いと親から服代として預かった分を出すのを勧める……というかな」
「なんだ」
「……何故、上下ブランドのスウェットってそれはあれか……お出かけ用ってことか?」
「な、なんだ、ダメか」
「……今自分で着てる服を順に着せてみ」
「……絶対に近寄りたくないな。うん、買ったらすぐ着替えよう」

 男子ふたりがかなり近い距離で買い物をしている。これは声をかけるべきなのだろうか? 距離感としてはもう恋人の距離である。自分も確かに同性と出かけて、お店の中を見る時はそれぐらいの距離感になることもあるが……狭いお店で同じものを見る時ぐらいである。お店の中で少しでも移動するときはお互い適切な距離を取る。
 会話の内容から上下スウェットの彼がおそらく上下セットで何かを求めていることがわかる。なんとなく真面目そうに見えるから落ち着いたもの……もしくはギャップを狙って薄い上着の下になにか派手なものを着せてみても映えるかもしれない。もしくはかわいい系の服……年を考えるとかわいい系を選びにくいかもしれないが、そちらも似合うだろう。
 店員が頭の中で似合いそうなものをあらかじめいくつかピックアップするために観察していると……付き添っている方は距離感を詰めようとしておらず、服を買おうとしている方がガンガン距離を詰めていることに気が付く。カップルになりかけの子たちがよくする動きに似ている。

「あー、もうわからん。何かこれ系が好きとかないのか?」
「ない、強いて言うならボーリングの時に着せられたのは嫌だ」
「だろうな……あれは俺も嫌だ」
「あのー失礼ですが、何かお探しでしょうか?」

 一通り店の中を回り終えたのを見計らって店員が声をかける。最初に声をかけるタイミングを見失ってからなかなか声をかけることができなかったが、1人がお手上げ状態になると店を変えられてしまうかもしれない。声をかけるなら今しかなかった。

「この可哀想な原石に似合いそうな服を探してるんっすよ」
「僕か? 僕のことだな?」
「あー……な、なるほど」
「納得? 今店員さん納得したのか?」
「い、いえ、そういうわけではないんですが……」
「この間、図書館に行った時は普通だったろ。あれだったら削りがいのある原石だったんだよ。今はただの可哀想な原石だよ! このさわやかイケメン」
「あれは母さんチョイスで……というか僕はイケメンなのか……そ、そうか。まぁ、うん。とりあえずいい」

 店員の目の前で小気味よいやり取りが始まってしまう。少し噴出してしまいそうになりながら、あらかじめオススメすると決めていた服をいくつか持って来てあてがっていく。普段は今着ているボトムやトップと合わせられるようなものを選ぶのだが、今回は完全に無視である。

「これは確かに遥にも勧められたものか……くっ。やはり預かったお金を使うしか」
「おしゃれ舐めるなって……店員さん、これぐらいの予算で下と上をそろえたいんだけど」
「そうですねぇ……となるとこちらではなく、色味が似ているこちらの無地のシャツに変えるのがいいと思います。お客様はこちらの色が良くお似合いなので」
「ほら、店員さんもこう言ってる。元々の予算だとシャツ1枚ぐらいしか買えないぞ」
「ちょ、ちょっと待ってくれ……重大なことに気が付いた。今、僕は遥と並んでいるのは……遥ひょっとして恥ずかしかったり?」
「今頃か……」
「すぐ買います! 店員さん、着ていくのでオススメのやつください」

 あっという間に話がまとまり、店員のおススメした上下セットの服を購入し試着室で着替えていくこととなった。

「は、早めに言ってくれ。なるほど、服を買いに行く服がないとはそういう事か」
「今更だろ……まぁ、俺はあんまり見てくれは気にしないからなぁ……外見より中身が大事だろ」
「……ま、まぁ、そういってくれるなら」

 この会話をすぐそばで聞いていた店員は何か色々察して、昨日、散々色々自慢してきた友達に自慢し返すのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜

春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、 癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!? トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。 彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!? 
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて―― 運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない! 恋愛感情もまだわからない! 
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。 個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!? 
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする 愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ! 月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新) 基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。  仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!  原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!  だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。 「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」  死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?  原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に! 見どころ ・転生 ・主従  ・推しである原作悪役に溺愛される ・前世の経験と知識を活かす ・政治的な駆け引きとバトル要素(少し) ・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程) ・黒猫もふもふ 番外編では。 ・もふもふ獣人化 ・切ない裏側 ・少年時代 などなど 最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。

真空ベータの最強執事は辞職したい~フェロモン無効体質でアルファの王子様たちの精神安定剤になってしまった結果、執着溺愛されています~

水凪しおん
BL
フェロモンの影響を受けない「ベータ」の執事ルシアンは、前世の記憶を持つ転生者。 アルファ至上主義の荒れた王城で、彼はその特異な「無臭」体質ゆえに、フェロモン過多で情緒不安定な三人の王子たちにとって唯一の「精神安定剤」となってしまう。 氷の第一王子、野獣の第二王子、知略の第三王子――最強のアルファ兄弟から、匂いを嗅がれ、抱きつかれ、執着される日々。 「私はただの執事です。平穏に仕事をさせてください」 辞表を出せば即却下、他国へ逃げれば奪還作戦。 これは、無自覚に王子たちを癒やしてしまった最強執事が、国ぐるみで溺愛され、外堀を埋められていくお仕事&逆ハーレムBLファンタジー!

【完結】おじさんダンジョン配信者ですが、S級探索者の騎士を助けたら妙に懐かれてしまいました

大河
BL
世界を変えた「ダンジョン」出現から30年── かつて一線で活躍した元探索者・レイジ(42)は、今や東京の片隅で地味な初心者向け配信を続ける"おじさん配信者"。安物機材、スポンサーゼロ、視聴者数も控えめ。華やかな人気配信者とは対照的だが、その真摯な解説は密かに「信頼できる初心者向け動画」として評価されていた。 そんな平穏な日常が一変する。ダンジョン中層に災厄級モンスターが突如出現、人気配信パーティが全滅の危機に!迷わず単身で救助に向かうレイジ。絶体絶命のピンチを救ったのは、国家直属のS級騎士・ソウマだった。 冷静沈着、美形かつ最強。誰もが憧れる騎士の青年は、なぜかレイジを見た瞬間に顔を赤らめて……? 若き美貌の騎士×地味なおじさん配信者のバディが織りなす、年の差、立場の差、すべてを越えて始まる予想外の恋の物語。

オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる

クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

処理中です...