亡国の姫は愛されている

佐有

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本編

2話

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セレスとハリエットは落下していく途中、木に突っ込んだ。
枝葉が勢いよく2人の身体にぶつかり、繋がれていた手は解かれた。
セレスは太い枝に身体を激しく打ちつけられ、反動で地面に落下しそうになる。
「っ!」
恐怖に駆られたセレスは咄嗟に手を伸ばし、どうにか太い枝を掴むことができた。
「セレス!大丈夫かい!?」
下方からハリエットの声が聞こえ、セレスは驚き、視線を地面の方へ向けた。
枝葉の隙間から見えるハリエットは、どうにか地面に着地したようで、こちらを見上げていた。
ハリエットの正装は砂塵や土で汚れており、本来の上品さは見る影もない。
茶色のマッシュヘヤーは乱れ、所々に枝葉が絡まっている。
その顔には焦りと心配がはっきりと浮かび、セレスを見つめる瞳が切迫感を帯びていた。
ハリエットはセレスの真下に駆け寄ると、大きく手を広げた。
「セレス!おいで!」
枝に掴まり続けることに限界を感じていたセレスはハリエットの言葉を耳にすると、掴んでいた手を躊躇いなく離した。
すると、セレスの華やかなドレスが空中で舞いながら、セレスは彼の手中に横抱きで収まった。
その衝撃でハリエットの膝は思わず折れ曲がったが、それでもセレスをしっかりと抱き止めることに成功する。
「良かった…」
ハリエットは安堵の表情を浮かべながら、セレスを優しく足から地面へ下ろした。
セレスは「ありがとう」とハリエットにお礼を伝えた後、王城の方へ振り返った。
そこには崩壊し、炎に包まれていた王城が姿があった。
燃え盛る炎に照らされたセレスの瞳には、深い悲嘆の色が浮かんでいた。
「どうして…こんなことに…」
震えた声でそう呟くセレス。
セレスの国は世界で三大王国と称される強大な国だった。
その誇り高い地位は、平和的な外交政策と国内の安定に支えられていた。
セレスが知る限り、大きな争いの種や脅威となる問題はなかったはずだ。
セレスは悲しみと怒りが入り混じる声でセレスは胸の内に湧き上がる疑念を口にした。

「一体、誰が…何のためにこんなことをしたの?」





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