ハイロイン

ハイロインofficial

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第一章

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白洛因バイ・ロイン、ちょっといいか」
 自習の時間、白洛因は国語教師に呼び出された。
「君が私に対して意見があるのか、それとも私が作文を宿題にしたことに不満があるのかはわからないが、何かあれば直接言ってくれ。回りくどいやり方をする必要はない。本来君に対する印象はとても良かったのだが、こんなやり方をされて正直ちょっと失望したよ」
 白洛因は怒られる理由がまったくわからなかった。
「一体どういうことか釈明してもらおうか」
 国語教師は白洛因に向かってノートを投げた。
 中を開くと、一文字も書かれておらず、書いてあったはずの作文は破り取られていた。彼は記憶を辿った。彼は確かに先生の要求通り作文を書いた。とりわけ素晴らしい文章ではないにせよ、破かれ罵られるほどではないはずだ。
「白紙のノートを提出するとは、いったいどういうつもりだ?」
「白紙?」
 その言葉を聞いて白洛因は唖然とした。国語教師は強い怒りをあらわにする。
「とぼける必要はない。私も教師を長く続けているから、どんな悪ふざけも見てきた。ちゃんと作文を書いて、さらに反省文も提出しなさい」
「違うんです……」
 白洛因は少し焦った。
「書いたのに、誰かに破られたんです」
 国語教師はゆっくり振り返り、幽鬼のようなまなざしでじっと彼を見つめる。
「つまり、私が破ったと言いたいのか?」
「違います、そういう意味じゃないです!」
「次の国語の授業には出なくていい。しっかり外で反省しなさい」
 白洛因はその場に立ち尽くす。
 国語教師は振り返って吠えた。
「私を甘く見るな!」
 ……誰が誰を甘く見てるって? 白洛因は内心歯噛みをする。クソッ、見てろよ。俺の作文を破ったバカを必ず見つけ出し、その皮を剥いでやる。
 


 崇文門外大街の火鍋屋で、顧海グー・ハイは二人の仲間と食事をしていた。彼ら二人とは幼馴染で三人とも軍用の住宅地で育ち、腐れ縁は十数年続いている。
「オヤジさんは本当に訪ねて来てないのか?」
「来てない」
「そりゃまた今回はよく我慢できたもんだな」
 顧海は鼻で笑い、手に持った酒杯を弄りながら淡々と答えた。
「我慢なんてするもんか。そもそも俺のことなんてどうだっていいんだろ。奴はずいぶん前から俺を追い出したがっていたのに、これまで外聞が悪くて言い出せなかっただけだ」
「なんだかんだいっても実の息子なんだし、そこまで鬼畜じゃないだろう」
 李爍リー・シュオは顧海に酒を注ぎ、三人は盃を合わせて一気に飲み干す。
「奴のひどさは知ってるだろう? ガキの頃、口答えをしただけで俺を部屋の梁に吊るして鞭で打ったことを忘れたのか? 母さんが止めなきゃ今頃俺はもうこの世にいない」
 周似虎ジョウ・スーフーは何度も頷く。
「とにかく俺はガキの頃からお前のオヤジさんが怖かったよ」
「そういえば、この間誰かがお前の計画を潰して機材を持ち去ったって言ってたけど、犯人は見つかったのか?」
 そのことを思い出すと、顧海は怒りで腸が煮えくり返る。
「中古市場で機材は見つかったが、売主は偽の身分証を使っていたから犯人を調べるのは面倒だ。でもどんなに面倒でも俺は絶対あきらめない。誰が俺のものを奪ったのかその面を拝んでやる」
 李爍は笑いながら首を振った。
「そいつは気の毒だな」
 周似虎は肉を鍋に放り込みながら顧海に尋ねた。
「向こうの女にも息子がいるんだろう。会ったのか?」
「できれば会いたくない」
 李爍は顧海をからかう。
「いつかそいつにやりこめられるのが怖いのか?」
 顧海に鋭利な眼差しで一瞥され、李爍はあやうく皿に取った熱々の肉を凍らせそうになる。周似虎は李爍の肩を叩き、ゲラゲラ笑って場を丸く収めた。
「ほらほら、そんなことどうでもいいから、早く飯を食おうぜ」
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