slanting

神奈川雪枝

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ねぇー!

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「池田ぁ。」

「なんだよ。」

私の斜め前の席の池田。
私の好きなやつ。

「宿題、見して♡」

「やに決まってんだろ、自分でしろよ。」

口が悪いのも愛想。
野球部でガタイがいい池田。

「私、数学無理なんだもん!」

「俺もだよ。」
って言いながら、ノートを貸してくれる池田。

でも、
いまだかつて、
池田の答案で
正解を貰ったことはない。

ごめんね、ウソついて。
本当は私、数学得意なの。
池田がどこでつまずいてるのかも、
解説できちゃうくらい。

でも、言わない。

「ありがとう。大好き。」

「今度はみせねぇから。」
嘘ばっかり。
優しいから、いつもお願いしたら見せてくれてるよ?

夏の暑い日だった。
窓から入る微々たる風に、
私の髪の毛が揺れた。
汗ではりつく前髪が、
うざったい。

「池田っ。」

「なんだよ。」

「付き合って♡」

「は?どこに?」

「購買!」

「一人でいけよ。」

「いいじゃん、池田背高いから何あるか教えてくれないと困る。」

一緒にお昼食べたいだけだよ。

「池田。」

「なんだよ。」

「席替えだね。」

「せいせいするわ。」

「私、嫌だな。」

ばいばい、
幸せな3か月間。

「池田。」

「なんだよ。」

「好き。」

「知ってる。」

「池田は?」

答え聞く前にくじ引きひきにいっちゃう、池田。

席に戻っても教えてくれない池田。

席替えしたら、
池田は
私の斜め後ろだった。

「池田!」

笑顔で振り向いたら、
「いきなりみんなしっ。」って顔を赤くした池田と、
ばっちり目があった。

「私のこと、好きでしょ?」

「う、うるせーな。」

後ろから見えなかった池田の表情が見える、
幸せ。
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