1口だけでいいからっ!

神奈川雪枝

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下心とかないから!

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私はコンビニで働くフリーターだ。
新しく入ったバイトの男性は、
私の一個下で、
同じくフリーターで、
同じ時間帯勤務だから、
ペアになる事も多くて、

私たちは、
合間をみつけては、
雑談をした。

男性の名前は、
青木君という。

「青木君は、趣味なんかあるの?」

「趣味か、なんだろ?
料理作るの好きだけど趣味って言っていいのかな?笑」

「へー、すごいね!」

17時で退勤だった。
青木君と駅まで歩く。

いつも、乗る電車が違くて、
駅で別れるのだが、
その日は、
青木君が、
「給料日だし、夜ご飯一緒に食べない?」と
誘ってきたので、
特に予定もなかったので、
「いいよ。」と返事をした。

電車に乗るのをやめて、
私たちは駅前の居酒屋へ向かった。

二人で店まで歩く。
いつも、駅まで歩いてるのに、
これからご飯を食べるって思うと、
異性とこういう雰囲気になるのは久しぶりで、何だか緊張した。

居酒屋でお酒を飲みながら、
談笑する。

青木君とは、気が合う。
口角が上がる。

居酒屋を出て、
この後どうする?って話になって、
悩んだけど、
「帰る、かな。」って言った。

「そっか。」と、青木君はいった。

駅まで向かう。
お酒で体温があつい。

「じゃあ、また。」と、
電車の方に行こうとすると、

「待って!」
と、呼び止められた。

「ん?」

「俺の家に来てくれない?」

「え?」

「あ、下心とかじゃなくて!
昨日肉じゃが作ったんだけど、
凄く美味しくできた気がして!
俺一人暮らしだから、
誰かに感想言って欲しくて!」

「あ、あー、うん。」

「ごめん、なんかあれだよね。
でも、俺、今親しい人武田さんしかいなくて!」

「明日も同じシフトだったよね?
タッパとかにいれて……。」

「あー、うん、それもそうだよね。」

沈黙になってしまった。

一人暮らしの男性の家に
夜行くのはなんか忍びないし、
青木君の事はなくはないけど、
私そういう準備出来てなかったし。

(今日は帰りたい!)

沈黙を破ったのは、
青木君だった。

「あのさ、チュー、していい?」

「へ?」

「チューが嫌なら、ハグだけでもだめかな?」

「ここで?!」

「じゃぁ、手繋ぐだけ!」

「……ごめん、無理だよ。」

青木君は見るからに落ち込んで、
「そうだよね。」というと、
私に背を向けて帰っていった。

(え?!)

次の日、青木君は体調が悪いからと休み、
そのままバイトを辞めてしまった。

(私のせい、なのかな?!)



あの日、肉じゃがを食べに行っていたら、
どうなったんだろ?

本当に美味しくできた肉じゃがだったんだろうか?


コンビニのバイト中に、
青木君と目が合うと、
にこって笑ってくれた青木君。

なんかごめんなさい。。。
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