手を繋いで、歩く月夜

神奈川雪枝

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綺麗だね?

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「「乾杯ー」」

仕事帰りに、後輩と居酒屋。

「誕生日おめでとー 。」

「 ありがとうございますぅー。」

「円居も、25歳かぁ 。」

「 大人な男になったでしょ ?」
「なってへんわ 。」

「即答 やし 。」

「そんなんいうてもな、私の方がまだ年上やし ?」

「先輩はいつでも俺の先輩やぁ !」

「 そら、そうやなぁ。」


……。


「 飲もう!そして食べよう!
 今日は私の奢りやぁ 。」


「すんませーん !
  円居メニューとって 。」


適当に頼んでいく 。
円居は、へらへらしている 。

( 可愛い奴め 。)

食べて、飲んで……。
楽しい時間は、あっという間に過ぎていく 。

( 私と円居は、所詮先輩と後輩……。
 って、それ以外に何があるんっ?!
 やばいやばい、お酒は怖いわぁ 。 ←)


「そろそろ帰ろうかぁ ?」
「 おん 。」

二人とも少し千鳥足 。
会計を済ませて、外に出る 。

「 先輩ー。」

「何ー?」

「 ご馳走様でした 。」

彼は、ニコッと笑った。

「 うん、お礼されたぁ 。」


肩がくっつくか、くっつかないかの微妙な距離 。
手が触れそうで、でも触れない距離 。

星空の下を、二人ゆっくり歩く 。


「 先輩ー。」

「何ー?」




「 好 き や 。」


「 えっ ?」

彼を見れば、真顔で 。
( 何この気もち……。) 

「俺、もう子供ちゃうねんで 。
 先輩に会った瞬間から、恋に落ちててん 。
 一目ぼれちゅーもんやなぁ 。
 ずっとずっと好きや 。
 先輩は、俺んことどう思ってんの ?」

「 私は 。」

( 何この展開 。)


「 ん、先輩の正直な気持ち聞きたい 。」




「 私も、 好 き や っ 。」

(何か甘酸っぱくない?! ←)

「……俺も 好 き や ぁ っ !」

彼は笑顔で、
私も笑顔になった 。

気がつけば、彼の腕の中だった 。 ←

「 って、円居!?」

「何ですか ?」

「抱きつくなぁー 。」

「ええやん、恋人やし 。」

「関係あるかい !」

渋々私から離れる彼 。

「 先輩、ガード固いなぁ 。」

「当たり前やん、私先輩やもん 。」

「何それー 。」

二人笑い合った 。


彼を抱き寄せる。

「嘘。
 ほんまにお誕生日おめでとう 。」

優しく彼に口付けた 。

「 先輩……?」

「 ん ?」

「 ありがとうございます !」

「よし、帰ろう !」

手を繋いで、歩く月夜。
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