美しい眠り姫には、Kissの目覚ましを

神奈川雪枝

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起きて?

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「中田ー!」

大きな声で、俺を呼ぶ。


「 帰ろう!」

にっこにっこの笑顔で、
俺の腕を引っ張る、
俺の幼馴染。

「ちょっと待って、
 俺、課題出さないといけないんだ 。」

「 はぁー、何ふざけたこと言ってんの?
 課題とか、別にどうでもよくない?」

「いやいや、良くないでしょ 。
 そーいう、雪枝は課題終わったの?」

「あったりまえじゃん。
 だから、帰ろう!」

「えっ、話の流れおかしくない?」

「ん、どこが?
 だって、私は課題出したし 。
 だから、早く帰ろう!」

「うん、雪枝は課題出したのは分かったんだけど、
 俺はまだだからさ 。」

「中田なら課題出さなくても大丈夫だって!
 だって、この先生さぁ中田のこと気に入ってんじゃん。」

「 そーなの?
 でも、やっぱり課題はちゃんと提出しなきゃぁさ 。」


言い合い。
俺は、課題を解き始めた。

彼女は「早くー。」とか「帰ろう!」とかってずっと言ってる。

俺は彼女に構わずに黙々と課題を片付けていく。




「 終わった !」

ふと、周りを見回すとかなりいい感じの夕焼けで 。
ずっとうるさいなぁと想ってた彼女は、
いつのまにやら眠ってしまってたようで 。

彼女の無防備な寝顔を見て、
( 黙ってれば、すっごい女の子らしいのにな 。)
なんて想ったり 。

俺は、とりあえず職員室に行って課題を提出してきた 。


職員室から戻ると、
彼女は、いまだに眠っていた。

(おいおい、寝すぎでしょ 。)

彼女の肩を優しく揺らす 。

「…… 。」

「おーい、雪枝?
 帰ろう 。」

「…中田の……ばかぁ……。」

「 どんな夢見てんの ?」

思わず苦笑い。

「……うそっ……本当はねぇ…… 。」


「 …… 大好き だよっ ……。」

彼女の寝言に、
思わず顔が真っ赤になってしまった 。

「 俺も好きだよ 。」

呟きが聞こえたのか聞こえてないのか分からないけど、
彼女は、幸せそうに眠っている 。

「……誕生日……おめでと……。」

寝言だから、
ゆっくりな口調で、
途切れ途切れな言葉だけど、
ちゃんと伝わってくる愛しい彼女の声 。

「 ありがと 。」

俺は、彼女にキスをした 。

(愛しい眠り姫には、キスの目覚しを !)
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