長谷川さんへ

神奈川雪枝

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ワラエナイ、ヨ?

年末年始は、
はじめさんと仲良く過ごした。

結婚したのがこの人でよかった、
あの時出会った人がこの人で良かったと思うのに。

(なんで私不倫してるんだろ、今も。)

はじめさんは、
また単身赴任先へと旅立ってしまった。

長谷川さんから
メールが来たけど、
何だかはじめさんに悪い気がして、
私は返信していなかった。













今日、会えへん?













2月の頭だった。

ずっと、返信をしていない私に、
直球を投げかけてきた、
長谷川さん。

あんなに昔、
恋焦がれてたワードなのに。

(なんで、今なんですか?)

もっと早く、
はじめさんと出会う前なら良かったのに。

私が、
長谷川さんしか見てない時に、
なんで、
そう、
言ってくれなかったんですか?

やめよう、
もう!
長谷川さんと会うのは、
もうやめよう!

会社も違うし、
連絡さえしなきゃ、
私たちに接点はもうないのだから。


バレンタイン前に会うことにした。

個室居酒屋で夜会うことになった。

「久しぶりやなぁ!」

「すいません、メール返信遅くて。」

「ええよ、気にせんで!
お腹すいてへん?
何食べる??」

屈託なく笑う長谷川さん。

言わなきゃ、
言おう、
もう会えないって!

「あの!私!」

「子供でも、できたん?笑」

「へ?」

「ちゃうかった?」

「違いますよ。」













「なら、俺との子供
作らへん?」













「笑えませんよ。」って言おうと思って
長谷川さんの顔を見たら、
真顔だった。
何も言い返せなかった。













「冗談、やん?」

(ウソ。)

「俺、娘と全然会えてなくて、な。」


「雪枝のせい、やねんで?」

心臓がドクドクする。
「な、なんで、わたしのせい、
なんですか?」
声が掠れる。


「なんでやと、思う?」

目を真っ直ぐに見られた。

長谷川さんの奥さん、
私の事気づいて、た、の?

会った時、
もう勘ぐってて、
私にあんな事、
聞いたの?

(怖い。)


「今更、
雪枝だけ、
結婚したから、
幸せになるなんて、
あんまりやんか。」

「俺の事、
好きでいてよ。」

丸くなった長谷川さんの両肩。

こんな弱々しいこと言う
長谷川さんを、
私は知らない。

はじめさんのことを
裏切りたくないのに、
昔の私が、
長谷川さんに
情けを捨てられない。
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