長谷川さんへ

神奈川雪枝

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ウソツキに要注意!

「あの!私っ!」

「なぁに?」

優しい瞳で見つめないで下さい、
決心が鈍ります……。

(言わなきゃ!)

(言え!私!)

「長谷川さん!」

「雪枝、泣かんでよ?」

苦笑いした長谷川さんが、
私の頬に触れる。

「泣いてませんっ!」って言いたいのに、
声が震えて、涙が垂れる。

「俺、困らせたい訳やないねんで?」

「じゃあ、どういうつもり?」って、
聞けなくて泣いてると、
「旦那さんに、やっぱ、
悪いよな、俺と会ってるとさ。」って、
長谷川さんは、弱々しく笑った。

「そうですよ!
長谷川さんのせいで、
私まではじめさんと別れちゃうかも
しれないじゃないですか!」って、
昔の威勢のいい私の声が、
頭に聞こえる。

「雪枝と会えなくなって、
ほんま、辛かってん。」

「だから、再会できたときは、
夢ちゃうかって。」













ウソツキに要注意!













「俺、雪枝がいなくなって、
雪枝が俺にとって、
どんだけ大事な存在かって、
やっとわかってん。」













「やっと、また会えたのに。
もう、手放したないよ。」













私にこんな事いうなんて、
本当に長谷川さん?

長谷川さんは、
ただ、私と遊んでただけじゃなかったんですか?

ホテルにしかいってなかったけど、
冗談言い合ってた昔の日々を思い出す。

楽しかった、
楽しかった、
楽しかった。

確かに、
あの日々は、
長谷川さんの奥さんには申し訳なかったけど、私は確かに長谷川さんに恋していて、
楽しい日々でした。

どうして、
その時に、
今の言葉をいってくれなかったですか?
長谷川さん。

今、奥さんと別居してなかったら?
娘さんと3人で楽しく暮らしてたら?

長谷川さんは、私の事、
思い出してましたか?

何も言えなくて、
沈黙が続く。

私の携帯がなる。
この着信音は、
はじめさんからだ。

(長谷川さんが、私にはもう分からないよ。)
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