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流しちまえ
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________
私が
浮気相手だった
みたい……笑
________
「 お疲れ様でしたーっ。」
深夜12時。
午後8時からの仕事が終わった。
大学生で、小遣い稼ぎの為のバイト。
( 明日は、休みなんやーっ!)
明日の授業は午後からだし、
今日はゆっくり寝れると思って、
自然と頬が緩んでしまう。
帰り道、
深夜だからなのか、
いつもよりも、
暗い気がした 。
(そー言えば、雨降るとか言ってたなぁ~。)
日頃の疲れが溜まっていた為、
俺は家に着くと、
ずぐさまベッドにダイブした 。
( もう、寝てまうか ~ 。)
ピンポーン 。
半分夢の中に入りかけていた時に、
鳴り響いた、チャイム 。
( もう、誰やねん 。)
俺は重たい体を起こして、
ドアのところに向った 。
ドアの覗き穴を覗けば、
そこに居たのは、
俺の好きな人やった……。
今にも泣きそうな彼女の顔を見て、
俺の脳はすぐに目を覚ました 。
ガチャ 。
「 どーしたん ?」
「んー、会いたくなってん 。」
「って、何でそんなに濡れてんっ?!」
「んー、何や向ってる時に雨降ってきてん 。」
彼女の服から、
髪の毛から、冷たい水がポタポタと滴っている 。
「 もう、何してんの?
俺、迎えに行くのに 。
いくら家が近くやって言っても、歩いて10分もかかるんに 。
危ないやろ?」
「 ん、 ごめんごめん。笑」
彼女は儚く笑う。
「今度は絶対、アカンからな。
俺が雪枝の家に行くから 。」
「ありがとう。」
立ち話もそこそこに、
俺は、彼女を家の中に入れた。
「なぁ、メール見た?」
「 えっ ?」
「やっぱり、見てへんかったんやんなぁ。笑
返事無いから、そーなんかなぁって思ってとった。」
「あー、本間にごめんなっ。」
「ええよ、ええよ。笑」
彼女は笑いながら黙って、
ソファーに腰を下ろした 。
「 ちょ、何してんねんっ?!」
「 えっ?!」
あまりに俺が大きな声で言ったもんやから、
彼女は驚き、立ち上がってしまった 。
「 風呂、入り?
雨で濡れたんにそのままとか、風邪引くやろ?」
「 えっ、あっそーやんね 。
もう、いきなり大きな声出すからめっちゃ驚いてもうたやん。笑」
「ごめんやでぇ。笑
って言うても、シャワーでええ?」
「うん、大丈夫。」
「ジャージ出しとくから、服、洗濯しいや?」
「うん、ほんまにいつもありがとう 。」
彼女は、
浴室へと歩いていった 。
俺は急いで、
引き出しの中を漁って、
綺麗なジャージを探して、
鞄に入れっぱなしの携帯を開いた 。
( ほんまにメール来てた 。)
「 は ?」
( 浮気相手って、何?)
俺は、
ジャージを持って、
浴室の方に行った。
浴室の近くだというのに、
シャワーの音が、
聞こえない ……。
( 雪枝、入ってんの?)
「ちょ、雪枝 ?
開けるでぇ~……?」
浴室の脱衣所の扉を開ければ、
雪枝の姿は無い 。
洗濯機も、
動いてない 。
( 何してんの?)
電気の点いている浴室。
音のしない浴室には、
確かに人影 。
「 ぅっ ぅ”っ 。」
( 泣いてるん ?)
俺は、
ジャージを置いて、
浴室への扉を開けた 。
「 ぅ”ぅっ う”うぅっ 。」
浴室には、
服を着たままの彼女が、
蹲って、
泣いていた 。
「 メール見たで ?」
俺がそう言えば、
彼女の嗚咽はさらに酷くなった 。
「 どーいう事なん?」
俺もしゃがんで、
彼女の頭を撫でながら、
そう訊いた。
「……っう”っわぎっ……っあいっでっ……やっだんっはっ……、
……っわたし……っ……っやっでんっ……。
……っだいじなっ……ぅっ……っぼんめいのごぉっ……、
……いるっんやっでっっ……。」
ゆっくりと聞き取りにくい言葉を、
彼女は確かに発した。
( 浮気相手やったのは、私?
大事な本命の子、居るとか 。)
今すぐにでも抱きしめたかったけど、
彼女が今泣いているのは、
まだ、そんな酷い男のことが好きだからと考えると、
手が彼女に触れようとはしなかった。
今なら、彼女は俺を受け止めてくれるかも知れないのに 。
( 何で自分のことを泣かせるような奴を、好きなん?)
もう、彼女が泣いているのを見るのは何回目だろう?
きっと彼女は、アイツの前では無理して笑っているのだろう 。
何度君の口から、苦しいって言葉を聴いた?
浮気してるって、何回相談に乗ってあげた?
いつだって泣いている君を慰めてきたのは俺なのに、
君は、俺の欲しい心を一切くれはしない ね 。
俺は、立ち上がってシャワーを持った。
捻ると、
昨日洗濯物の手洗いしたままの温度設定なのか、
温い水が出てきた。
勢いよく降り注ぐ緩い水は、
彼女にとったら、俺みたいな存在なのだと思った。
なら、君をこの緩い水で溶かしたいと思った 。
俺は、彼女にシャワーを掛ける。
少し乾いてきていた彼女の衣類は、
また、濡れ始める。
彼女は泣きながら、
俺を驚いた目で見上げた 。
( ほんまは水なんか掛けないで、
優しく抱きしめてキスしたりなんやろうけど、
いつまでも俺を焦らす君には、もう失望だ 。)
彼女の瞳に、
シャワーの雫が当たる 。
(君は汚い 、やから俺も汚い 。
君に惚れるなんて、ほんま救われへん 。
何で 雪枝は、アイツが運命なんて想いこむんやろ ?)
彼女の目から、
液体が流れている 。
(もういっそ、君は溶けてしまえばええんや 。)
降 り 注 い だ 水 。
_______________________
(好きやけど、君やって充分酷い 女 。)
私が
浮気相手だった
みたい……笑
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「 お疲れ様でしたーっ。」
深夜12時。
午後8時からの仕事が終わった。
大学生で、小遣い稼ぎの為のバイト。
( 明日は、休みなんやーっ!)
明日の授業は午後からだし、
今日はゆっくり寝れると思って、
自然と頬が緩んでしまう。
帰り道、
深夜だからなのか、
いつもよりも、
暗い気がした 。
(そー言えば、雨降るとか言ってたなぁ~。)
日頃の疲れが溜まっていた為、
俺は家に着くと、
ずぐさまベッドにダイブした 。
( もう、寝てまうか ~ 。)
ピンポーン 。
半分夢の中に入りかけていた時に、
鳴り響いた、チャイム 。
( もう、誰やねん 。)
俺は重たい体を起こして、
ドアのところに向った 。
ドアの覗き穴を覗けば、
そこに居たのは、
俺の好きな人やった……。
今にも泣きそうな彼女の顔を見て、
俺の脳はすぐに目を覚ました 。
ガチャ 。
「 どーしたん ?」
「んー、会いたくなってん 。」
「って、何でそんなに濡れてんっ?!」
「んー、何や向ってる時に雨降ってきてん 。」
彼女の服から、
髪の毛から、冷たい水がポタポタと滴っている 。
「 もう、何してんの?
俺、迎えに行くのに 。
いくら家が近くやって言っても、歩いて10分もかかるんに 。
危ないやろ?」
「 ん、 ごめんごめん。笑」
彼女は儚く笑う。
「今度は絶対、アカンからな。
俺が雪枝の家に行くから 。」
「ありがとう。」
立ち話もそこそこに、
俺は、彼女を家の中に入れた。
「なぁ、メール見た?」
「 えっ ?」
「やっぱり、見てへんかったんやんなぁ。笑
返事無いから、そーなんかなぁって思ってとった。」
「あー、本間にごめんなっ。」
「ええよ、ええよ。笑」
彼女は笑いながら黙って、
ソファーに腰を下ろした 。
「 ちょ、何してんねんっ?!」
「 えっ?!」
あまりに俺が大きな声で言ったもんやから、
彼女は驚き、立ち上がってしまった 。
「 風呂、入り?
雨で濡れたんにそのままとか、風邪引くやろ?」
「 えっ、あっそーやんね 。
もう、いきなり大きな声出すからめっちゃ驚いてもうたやん。笑」
「ごめんやでぇ。笑
って言うても、シャワーでええ?」
「うん、大丈夫。」
「ジャージ出しとくから、服、洗濯しいや?」
「うん、ほんまにいつもありがとう 。」
彼女は、
浴室へと歩いていった 。
俺は急いで、
引き出しの中を漁って、
綺麗なジャージを探して、
鞄に入れっぱなしの携帯を開いた 。
( ほんまにメール来てた 。)
「 は ?」
( 浮気相手って、何?)
俺は、
ジャージを持って、
浴室の方に行った。
浴室の近くだというのに、
シャワーの音が、
聞こえない ……。
( 雪枝、入ってんの?)
「ちょ、雪枝 ?
開けるでぇ~……?」
浴室の脱衣所の扉を開ければ、
雪枝の姿は無い 。
洗濯機も、
動いてない 。
( 何してんの?)
電気の点いている浴室。
音のしない浴室には、
確かに人影 。
「 ぅっ ぅ”っ 。」
( 泣いてるん ?)
俺は、
ジャージを置いて、
浴室への扉を開けた 。
「 ぅ”ぅっ う”うぅっ 。」
浴室には、
服を着たままの彼女が、
蹲って、
泣いていた 。
「 メール見たで ?」
俺がそう言えば、
彼女の嗚咽はさらに酷くなった 。
「 どーいう事なん?」
俺もしゃがんで、
彼女の頭を撫でながら、
そう訊いた。
「……っう”っわぎっ……っあいっでっ……やっだんっはっ……、
……っわたし……っ……っやっでんっ……。
……っだいじなっ……ぅっ……っぼんめいのごぉっ……、
……いるっんやっでっっ……。」
ゆっくりと聞き取りにくい言葉を、
彼女は確かに発した。
( 浮気相手やったのは、私?
大事な本命の子、居るとか 。)
今すぐにでも抱きしめたかったけど、
彼女が今泣いているのは、
まだ、そんな酷い男のことが好きだからと考えると、
手が彼女に触れようとはしなかった。
今なら、彼女は俺を受け止めてくれるかも知れないのに 。
( 何で自分のことを泣かせるような奴を、好きなん?)
もう、彼女が泣いているのを見るのは何回目だろう?
きっと彼女は、アイツの前では無理して笑っているのだろう 。
何度君の口から、苦しいって言葉を聴いた?
浮気してるって、何回相談に乗ってあげた?
いつだって泣いている君を慰めてきたのは俺なのに、
君は、俺の欲しい心を一切くれはしない ね 。
俺は、立ち上がってシャワーを持った。
捻ると、
昨日洗濯物の手洗いしたままの温度設定なのか、
温い水が出てきた。
勢いよく降り注ぐ緩い水は、
彼女にとったら、俺みたいな存在なのだと思った。
なら、君をこの緩い水で溶かしたいと思った 。
俺は、彼女にシャワーを掛ける。
少し乾いてきていた彼女の衣類は、
また、濡れ始める。
彼女は泣きながら、
俺を驚いた目で見上げた 。
( ほんまは水なんか掛けないで、
優しく抱きしめてキスしたりなんやろうけど、
いつまでも俺を焦らす君には、もう失望だ 。)
彼女の瞳に、
シャワーの雫が当たる 。
(君は汚い 、やから俺も汚い 。
君に惚れるなんて、ほんま救われへん 。
何で 雪枝は、アイツが運命なんて想いこむんやろ ?)
彼女の目から、
液体が流れている 。
(もういっそ、君は溶けてしまえばええんや 。)
降 り 注 い だ 水 。
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(好きやけど、君やって充分酷い 女 。)
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