memory

神奈川雪枝

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静かにしないとムードでぇへんぞ?笑

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20歳になった。

友達の紹介で
年上の営業マンと知り合った。

ランチいかへん?

関西人だった。

初めて男の人と2人きりのお出かけで、
スカートはけなかった。

オシャレなイタリアンでランチで
普段全然外食しないのもあって、
めちゃくちゃ緊張して、
つっけんどんになっちゃった。

彼はそうやんなぁって引き気味だった。

帰り、送る。
そう言ってくれた優しい人だったけど、
車内は沈黙だった。




はやく、

はやく。


家に帰りたい。


家に着いたらすぐにベッドに横になった。
枕に顔を埋めた。

自分がこんなに恋愛慣れしてない事にショックだった。

彼は何度も話しかけてくれたのに、
愛想よく返答できない自分に嫌気が差した。

涙は出なかったけど、
心はすり減った。


もう会うことはないだろうなって思ってたら、

彼から連絡がきて、

今日ひま?
夜飯いこーや!

今度こそって思って、
スカート履いていった!

金曜日で、
仕事終わりの彼は、
スーツ姿だった。


働く男にキュンってきた。


深雪ちゃん、こんばんは。

どうも!

今日は、元気やな?笑

金曜日なんでっ!


駅前の居酒屋に入った。
居酒屋も来たことなくて、
勝手が分からなかった。

好きなのたべてええよ!
奢ったる!

何食べたいとかもはっきりいえなくて、

お酒の種類も全然わからなくて、

愛想笑いでごまかした。

彼が適当に選んでくれて、
それをちょびちょび食べた。


関西来たことある?

ないです!

やろな!
おもろいで!

たこ焼きたべたいな!

おいしくて目玉とびでるで!笑


楽しくて、
泣きそうになった。

居酒屋をでた。



どうする?
帰る?




ドキドキした。



帰らない、です。

小声だった。


カラオケいくか?

沈黙が恥ずかしくて、
私は彼に沢山他愛のない話をした。



しぃー。

え?


そんなに喋ったら、
ムード、できんやろ?


じっと見つめられて、
顔が赤くなった。


カラオケは恥ずかしくて歌えなくて、
なんで歌えへんねん?!って言われて、

歌声聞きたくて、
また誘いたくなるでしょ?って
大人ぶったら、

アホやな自分って頭撫でられた。



彼とは、その2回きりだった。

仕事急がくなったって言われて、
そのまま、疎遠になった。

私も若くて、
連絡取らないアカウントは、
ブロックして削除していた。


ふと、思い出す。

カラオケで、
これ、知らん?
俺、好きやねん、この歌!
って歌ってくれた、
初めて聞いた歌。

彼との思い出を忘れたくなくて、
すぐにダウンロードして、
連絡来ないかなって、
沢山聞いて待った。

連絡は来なかったけど、
この歌を聞く度に思い出す。



私はあれから、
違う人と出会って、
結婚した。

夫と飲みに出て、
カラオケに来た。

久しぶりだった。

このカラオケ店は、
彼と来た店だった。

何となく懐かしくて、
思い出の曲を歌った。

久しぶりだから、
サビ以外あやふやで、
思わず笑った。

歌いながら、
彼のことを思い出していた。


今、何してますか?

結婚しましたか?

今、どこにいますか?




もう一度、
お話したいです。

大人になった私とお話して欲しいです。


歌い終わって夫を見ると、
酔っ払って寝ていた。


妻が他の男の事思い出してるのに、
あまりに呑気な寝顔で、
笑みが零れた。

鈍感な人だから、
結婚できたんだよねって、
思った。


私の初デートの通過儀礼が、
彼で良かったと、
改めて思った、
久しぶりに。
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