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4歳の僕 ♢学園編♢
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しおりを挟む入学式から2週間と数日。
正門付近では桜も半分ほど散って、柔らかな緑が見えるようになってきた。
学園内庭園も見頃の花達が、生徒の目を楽しませてくれている。
僕に集まる周りからの視線にも少しだけ慣れ…てきた気がしなくもない。
きっと気のせいだけど。
そんな中僕は、1週間後に迫った1、2年生の親交を深めるのを目的とした、合同レクリエーションの説明を教室で受けている。
僕のいつの間にかほとんどの枠が既に決まっていた学習スケジュールは、午前中に必須科目を2枠、お昼ごはんを挟んで、その後2時間のお昼寝。
お昼寝は学園からの配慮で、毎日必ずとる事になってる。本当はみんなと同じようにずっと授業を受けたいけど、この体だとどうしても無理だから。そこはきちんと体を休めて、健やかに成長して欲しい、と言われた。それ以外の時間でも、体が休息を求めている時は、我慢せず、必ず周りに伝えるように、と。
学園関係者はみんなその事を知ってるみたいで、折にふれて体調を聞いてきてくれる。
学園長さんには、僕の父様からも、くれぐれも無理はさせないようにと言われている、と半ばお願いのように言われた。
言いながら少し震えてたんだけど、風邪でもひかれてたのかな?
それから30分程のお茶休憩を挟んで、僕の学びたいと思った選択科目の授業1枠か、それがない日は学園長室で魔道具関連の特別授業、となっている。
特別授業ではあるけれど、ひたすら楽しそうな学園長さんと、魔道具の話や魔道回路の話をしている。
これは内緒なんだけど(って、学園長さんが言ってた)、たまに王宮魔道士団の偉い人や魔道具研究所の管理職(学園長さんの部下)の人も、その会話に混ざりにやってくる。
終始お茶を飲みながら、僕用のお菓子も用意してくれてて、それを食べながら、皆さんの持ってくる方程式や、魔道回路の図案、新しい魔道具のアイデアなんかの意見を聞かれたりして過ごしている。
こんな偉い人達とただお茶会してるだけ、みたいになってるけど本当にいいのかな…?
因みに午前の必修科目は全て座学。
その後、僕以外の生徒は午後の1枠目に、剣術、実地魔術、ダンス講義の順で3日でひと回りするように組まれたローテーションでいずれかの授業を受け、選択科目を2枠こなし、放課後、となる。
放課後はホームルームなんてものはなくて、各々がそれぞれの過ごし方をする為に散っていく。
そのまま帰宅したり、部活動に行ったり、友人と庭園等でおしゃべりしたり。(女子会ならぬ、男子会だね。この男しかいない世界でも、お茶会は貴族の嗜みだから。)
僕の放課後の予定はもちろん、生徒会の業務だ。
と言っても、僕を迎えに来たミー兄様と生徒会室に行って、ミー兄様のお仕事してる膝の上でお願いされた事を少しお手伝いするだけ。
後はだいたい、兄様のどちらかに構われている。
ミー兄様が1人で何でも出来てしまうのは知っているけど、毎日授業で疲れてるからって言って、ほとんど手伝わせて貰えないのはどうかと思うんだ。僕はお昼寝も毎日しているし、もっと兄様のこと手伝いたいのに…
何だか名ばかりの補佐になっていて、それが最近の僕の悩みになりつつある。
こればっかりは、少しずつ、兄様に僕が出来る子なんだって分かってもらうしかないんだけどね。
そんな訳で、学園からの連絡事項等は、朝の朝礼の時間にされる。
この時に、長くは無いけどクラスミーティングの時間も併せて取られていて、何かあればその時にクラス内で話し合うんだ。
まさに今、レクリエーションの説明から、班決めの説明をされているように。
「それでは、当日の班は明後日の朝礼までに希望があれば配った紙に書いて提出すること。
希望がない人達は当日、こちらで班を決めます。
それでは、今日も有意義な一日を過ごしてください。」
担任のオランジル先生がそう締めくくり、教室を出ていった。
途端に周りが少し浮かれた空気で会話をしだす。
普段関わりの少ない2年生との授業だもんね。
レクリエーションの内容自体も、貴族風のピクニックみたいな感じだし、リアル出会いイベントって感じだ。
これを期に皆、仲良くなりたい同級生や先輩に声をかけるんだよねー。
ゲームでも主人公が誰に声をかけるかの選択肢があった。
そしてこのレクリエーションは、主人公が隠しキャラに会えるようになる為の分岐イベントでもあるんだ!
この声掛けで、ある一定条件の条件に合っているキャラを選ぶか、主人公自身が条件をクリアしている状態で誰も選ばなかった時にのみ、隠しキャラと出会うことができる。
ここで出会わないと、隠しキャラとのエンディングは迎えられない。
その隠しキャラが、スケールデカくて…でもゲームとしては割と定番な設定なのかな?
とにかく僕は隠しキャラの正体を知った時、主人公の事が凄く羨ましくなったんだけど…
って、これは主人公じゃなきゃ出会えないから、僕は関係無いんだけどね!
「レティ、レクリエーションの班のメンバーは私と、レティと、カディラリオ兄様と、ルーだから安心してね。
当日、たくさん楽しもうね。」
ミー兄様が、にこにこと僕の紙にも口にした名前を、綺麗な字でスラスラと書いていく。
うん、僕は保護者がいないと参加も出来ないからね。
皆兄様達を誘いたいだろうな、と思うと申し訳ない気持ちが湧いてくる。
僕の分まで書き込んでくれてるミー兄様に、お礼と了承の言葉を伝えていると、そんな僕達の席の近くに、数人のクラスメイトがやって来て、ミー兄様の事を呼んだ。
そのままミー兄様とクラスメイトが、少し離れた場所で何かを話し合っている。
(何だろ?班のメンバーへのお誘いかな?)
所々漏れ聞こえる内容が「~を見守る会」、とか「入会について…」とか、「禁止事項や取り決めは…」とか、どうやらレクリエーションとは関係ない話のようだ。
(見守る会? ミー兄様、何か保護動物でも見つけたのかな?
皆で見守るような存在…
うーん、僕が思いつくのは聖獣様…とか?)
聖獣様。
正にレクリエーションで、主人公が出会う隠しキャラだ。
(兄様、聖獣様に特別関心あったかな? 最近関心が出たとか…?
国どころか、世界中の人々が敬う対象だ。
そうであっても何も不思議はないけど…??? )
その後も、クラス内外、学年も関係なく、兄様の元にその、何かを見守る会に入会したい、という人達がやってきた。
兄様、一体何を見守ってるのかな???
そのうち、僕にも話してもらえるかな?
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