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4歳の僕 ♢学園編♢
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しおりを挟む僕の気まずさ全開の自己紹介も無事に終わり、顔合わせが終わったあとは15分程の休憩を挟んで、担任の先生の各授業内容の説明なんかの後、それぞれが授業計画を立てる時間となる。
僕はその後、ディー兄様に言われたとおり、生徒会室に直行した。
ミー兄様にはぎゅうぎゅうと抱き締められ、別れを惜しまれたけど(でも、お昼は一緒に摂るんだけどね?)、自己紹介の時の気まずさでクラスメイトの視界からなるべく早く消えたくて、なかなか離してくれないミー兄様を何とか宥めてルーに連れられ教室を出た。
教室から出ても、廊下ですれ違う人達からも視線が集まってきてるのを感じて、とてもいたたまれなかった。
皆が僕の存在に慣れるまでは、ひたすら我慢だな…。
早く僕の持ち前の存在感の無さが発揮されるといいんだけど…
ルーの腕の中は兄様達とは何かが違う感じはするけど、安定感抜群で、歩く僅かな揺れが物凄く心地いい。
生徒会室までの間に、ついついウトウトし始めてしまう。
ルーはそんな僕にすぐ気がついて、僕の頭を肩に預けるように傾け促してくれた。
するとどんどん瞼が重たくなって、抵抗する間もなく夢の世界に踏み込んでしまう。
思ってたよりも疲れたみたい。
僕ばかり楽してごめんね、ルー。
僕の頬から目元に数回、温かくて優しい、柔らかな何かが触れる感触がして、それが心地よくて、微睡みながら意識が徐々に浮上する。
何だか凄く懐かしくて、でも凄く悲しいような夢を見ていた気がする。
周りが騒がしいな…
ゆっくりと瞼を上げると、ディー兄様の優しい顔が至近距離にあった。
「レティ、怖い夢でも見たのか?」
「ディー兄様」
「大丈夫か?」
ディー兄様が優しく頬を拭って、そのまま撫でてくれる。
どうやら寝ながら泣いてしまっていたみたいだ。
兄様の手、気持ちいい。安心する。
思わず擦り寄ってしまう。
「……分かりません。
覚えていなくて…何だか懐かしい夢を見ていた気もするんですが…」
まだ夢見心地で答えると、兄様はそうか、と一言呟いて、上半身を起こした。
(あれ、僕どこで寝てたんだっけ…
確か、クラスの顔合わせをして、自己紹介をして、生徒会室に行く途中でちょっと疲れて眠くなっちゃって…
ルーの肩に頭を乗せて…)
徐々に意識がハッキリしてきて、そういえば生徒会室に向かっていたんだった! と、思い出し、ガバッと起き上がったら、少し離れた所に第1王子をはじめ、数人の生徒が驚いたような顔のまま固まってこちらを遠巻きに見ていた。
(あれ?誰だろう?ルーは…)
視線で更に見渡すと、入口脇の僕の足元方面の壁に、控えるように佇んでいた。
ルー! 気配消しすぎだよ!!!
状況が理解出来なくて、再びディー兄様に視線を移す。
僕が寝ていたのは幅も奥行きもかなり広めのシングルベッドと言っても過言では無いような大きさのソファーだった。
彫り細工も、張られた布の模様も、繊細で緻密。
座面の布の触り心地も凄くいい。
絶対お高い。
「ここは生徒会室ん中だよ、ほら、あの辺とかは文化祭ん時に見ただろ?
あいつらは、生徒会メンバー。
まあ、顔だけうろっと覚えとく位でいいぞ。
んで、レティはルーがここに連れてきた時に寝てたから、そのままここに寝かせてた。
疲れたんだろ?もう大丈夫なのか?」
兄様が優しく頭を撫でながら説明してくれる。
「えっ!
あっあの! レティシオです!
いきなり寝たまま挨拶もせず、失礼な事を…
あの、す、すみませんでした……!!! 」
僕は慌てて生徒会の皆さんの方に向き直り、頭を下げる。
なんて事だ!
そりゃそんな失礼な初登場、固まったまま凝視されるよ!!
そんな失礼なやつなかなかいないよ!!!
大事なはじめましてをこんなっっっ
どうしよう、兄様達の評価にまで響いたら!
あまりの失態ぶりにもう申し訳なさ過ぎて、自分が情けなさ過ぎて、泣きそうだ。
ディー兄様にも呆れられてしまっただろうか。
このまま嫌われてしまったらどうしよう。
僕だけならまだしも、ルーにまでお咎めがいくような事があったら…
「大丈夫だよ、レティ。
そのソファーは元々、君がいつでもここで寝られるように設置した物だ。
今日は式も長かったし、ずっと起きているだけで疲れただろう?
クラスの顔合わせも知らない年上の人間ばかりだ。
私達でも疲れるんだから。君が気にする事は何も無い。
失礼な事も何もされてはいないよ?」
泣きそうになっている僕に、第1王子が優しく声を掛けてくれる。
周りにいる他の生徒会メンバーの人達も、その言葉に頷いてくれた。
ここの人達もいい人ばかりみたいだ。
僕が少しホッとすると、頭を撫で続けてくれていた兄様が、僕を持ち上げて膝の上に乗せるように移動させる。
えっ、皆立ったままで、しかも見られてるままなのに、こんな体勢になって大丈夫なの!!!?
「おい、レティの寝顔が見れて迷惑どころか役得だろうが。
何、さも自分達が優しいみたいな言い方してんだよ。」
「カディラリオ、確かに役得だったけれども。
その言い方はさすがにどうかと思うよ?
これから一緒に過ごす事になるメンバーなんだし、紹介位は…」
「必要ない」
容赦ない兄様に目を見開いてしまう。
王子の言葉に首を縦に振りまくってたメンバーの皆さんが、一斉に項垂れる。
兄様にそんな冷たい言い方されたら、そりゃ凹んじゃうよ!
「兄様、そんな事言わないで下さい。
兄様にそんな事言われたら、皆さん悲しいですよ…」
兄様は、グッと喉を詰まらせ、暫し逡巡した後、渋々メンバーの皆さんの紹介をしてくれた。
周りの皆さんにも笑顔が戻って、僕もホッとした。
良かった、最初は失敗しちゃったけど、これから信頼を取り戻せるように、頑張ろう!!
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