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4歳の僕 ♢学園編♢
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しおりを挟むレクリエーションから数日後。
今日は学園はお休み。
学園に入学してから、休日にも生徒会の仕事で登校する兄様達について行ったりしていたからか、何だかずっと忙しかった気がする。
今日は久しぶりに兄様達とゆっくり過ごそう、と話していた。
父様と母様は、朝から2人で観劇に出かけている。
今人気が出てきている若手作家の手がけるラブロマンスものらしい。
レティももう少し大きくなったら一緒に見に行こうね、と母様に鼻をつつかれた。
大きくなっても恋愛ものは興味を持てるか分からなくて、曖昧に返事を返しておいた。
前世ではBL恋愛ゲームは好きだけど、同じBLでも漫画とかドラマの恋愛ものには興味を抱かなかった。
だから母様と一緒にラブロマンスを見る日は来ないかもしれない。
朝に両親を見送り、午前中は兄様2人の剣の稽古をお願いして見学させてもらった。
2時間くらい休憩を挟みながら打ち合ってたけど、僕には剣筋も見えないし、2人とも本当に凄いな。
特にディー兄様には、将来のスチルを彷彿とさせられて、とてもうっとりと眺めてしまった。
就職編では主人公がディー兄様にピンチを救われるという、プレイヤーの心を鷲掴むスチルがあった。
まだ顔の精悍さも体格もそのスチルには及ばないけど、今でも十分カッコいい。
学園に通って思ったけど、兄様達はやっぱり周りの同年代の人達と比べても随分大人っぽくて、容貌も抜きん出ていてレベルが違う。
本当に、毎日ずっと一緒にいるのに毎日見惚れてしまう。
おまけに性格も抜群にいいんだから、神は偉大だね。
僕が退屈だったんじゃないかと心配する兄様達に、笑顔でどれだけ格好良かったかを伝えて、ルーの用意してくれていたタオルと、飲み物を渡し、僕にも大きくなったら教えて欲しいとお願いしておいた。
何故か2人には凄く渋られた上にそんな必要はないと諭されそうになったけど、僕だってモブなりに少しでも2人に魅力を感じて貰いたいもんね!
ただでさえモブな僕は存在感が薄いんだから、将来兄様達に忘れられないようにしないといけないし、三男の僕はこの家にはずっと居られないから、この家を出て独り立ちしないと行けなくなった時にも困らないように可能性は広げておかないと!!!
色んな可能性を踏まえて色んな計画を建てるのに必死だった僕には、この時兄様達がどうやって僕に剣術から興味を逸らせられるか相談している声は全く聞こえなかった。
午後はお昼ご飯をランチボックスに詰めてもらって、邸の敷地内でピクニックをすることになった。
先日のレクリエーションみたいに森の中まで歩くんじゃなくて、春の花が見頃な庭園の四阿でランチをするのだ。
木目の綺麗なアンティーク調の白で統一されたこの四阿は、花に囲まれるように配置されていて、中央のコの字型の大型ソファーにはクッションがこれでもかと敷き詰められている。
ここで仮眠を取ることもできる位にゆったり設計のソファーで、コの字の中央に金細工の仕込まれた彫り細工が美しいテーブルが品よく備え付けられている。
お昼ごはんはサンドウィッチが5種類、そら豆の冷製ポタージュ、ジャガイモと鱈のフリット、海老とフルーツトマトとアボカドのマリネ、ローストビーフ。
かなりの量だけど、兄様達にかかればこれもペロリ。
あの体の中のどこに入っているのかいつも不思議でしょうがない。
今日の僕はミー兄様のお膝の上だ。
「レティ、まずはスープからね。
あーん」
「あー…ん…美味しい!」
「良かった。はい、もう一口、あーーーん、
ふふ、ちっちゃいお口に一生懸命スプーン入れて。
可愛いね、レティ」
「レティ、スープの次はサンドウィッチだ。
ほら、レティの好きな鶏ササミとトマトのサンドだ。
ゆっくり、よく噛むんだぞ」
相変わらず絶妙なタイミングで2人から交互に給餌される。
うちの料理人達は今日も天才だね!
そら豆のポタージュは濃厚なのにあっさりしてて、僕の1番のお気に入りのサンドウィッチは、鶏ササミとトマトがハーブのソースに絡めてあるものを挟んでるんだけど、これがもう本当に相性抜群で、ついいつも食べすぎてしまう。
兄様達は、僕が何を好きで、どれ位の量食べれるのか魔法でも使ってるみたいにいつも分かってる。
この2人はどこまで完璧なんだろう?
「…?どうしたの?レティ」
「食べたいものと違ったか?」
不思議そうに2人を見ていたのか、心配そうに顔を覗きこまれた。
「ううん、兄様達は、どうして僕の好きな物とか全部分かるのかなって考えてたの。
僕も兄様達みたいになれるかな?」
こんな風に、相手のことを何でも察せれるような人間になりたいな。
兄様達みたいにかっこよく、なんでも出来るようになるのは無理だけど、相手のことをいつでも思いやれる自分でいたい。
兄様達の幸せをいつでも笑顔で応援出来るような、そんな自分。
「それはね、私達がレティの事を愛しているからだよ」
僕の言葉に少し悪戯っぽく微笑んで、ミー兄様が背後から囲い込むように頬にキスを落とす。
「レティはレティのままで十分だ。
心配だからそれ以上魅力的にならないでくれ」
ディー兄様が横から僕の顎を上向かすように掬って鼻の頭にキスを落とす。
その後唇にも。
ディー兄様の唇が離れたら、ミー兄様も唇にキスをくれた。
とっても優しくて素敵な2人の兄様。
できるだけ長く、この幸せが続きますように。
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