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第十五話 キツネじゃない銀乃
しおりを挟む「それじゃ、夜ご飯作るからまっててねー」
銀乃は私と一緒にアパートに帰ると、人間の姿でご飯を作り始めた。
「あれ、え……狐に戻らないの?」
「むっふっふ~ご飯作り終わったら人間から可愛い狐ちゃんに戻るよ!」
トントントン、とニンジンとジャガイモを切りながら、銀乃は笑った。
「ていうか、いつ気が付くんだろって思ってたよ、僕」
「へ?」
「僕のあの姿、あ、ほら狐のさ、あれで炊事や料理はできないじゃない?
僕、いっつもこの姿でお料理とかしてたんだけど」
「いつも、狐の姿だったじゃない。それにほら、狐の姿で…お掃除してたような」
「確かに。お掃除はできるね、掃除機以外。
でも炊事は無理。だって流しが高いんだもん。洗濯もハンガーに手が届かないしさ」
「……全然気が付かなかった」
「僕がご飯作ったり洗濯したりしてるとき、さあやいつも寝てたもんねぇ。
朝弱いんでしょう」
確かにそれは反論できない。私は朝バイトがなければがっつり寝ていた。
「な、何か手伝おうか?」
「あ、人間になると君って僕に気を遣ってくれるんだね。
でもいいよ、座ってテレビでも見て待ってて。これは僕のお仕事」
銀乃はそういうと、手慣れた様子で料理を続けた。
私は自分の部屋のベッドに腰かけて、なんだかそわそわした。
落ち着かない。すごく…落ち着かない…。
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