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4 おとなのはなし
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19時頃、奏大はピザの箱を3つ抱えてやって来た。出迎えた奏人は手一杯の彼を見て、手伝いたいと思ったが、あまり役に立ちそうになかった。奏大は慣れた足取りで伯母のいるダイニングに向かう。
「奏人くんが宅配ピザを食べたことがないんじゃないかって涼子さんが言うから」
キッチンでサラダを用意していた伯母が、二人を振り返り笑った。
「冷めないうちに食べようよ」
奏大はフルートの入ったケースをテーブルに置いた。その白い顔が上気しているのを見て、急いで来てくれたのかと思うと、奏人は申し訳ない反面、少しくすぐったい。
確かに奏人は宅配ピザなど口にしたことが無かったし、ファストフードもほとんど食べたことがない。素直に嬉しかった。平たい箱を奏大が開けると、濃厚な匂いが嗅覚を刺激した。
「マルゲリータ、ラタトゥイユ風、ウインナーとコーン……って感じだよ、好きに食べよう」
伯母が皿を出してきてくれたにもかかわらず、奏大はマルゲリータを一切れ箱からつまみ出して持ち上げ、そのまま糸を引いたチーズから口に入れた。行儀が悪いと思ったが、美味しそうに見えるから不思議だった。奏人は野菜の色がきれいなラタトゥイユを選ぶ。いただきますと手を合わせてから一切れ取ろうとすると、どろりとチーズが溢れて、箱に落ちた。
「おっと、涼子さん、フォークが要るよ」
「手を拭くものも要りそうね」
こぼれたチーズを、奏大がフォークで載せてくれた。奏人は思い切り口を開き、尖ったピザの先を頬張った。
「おいしい」
思わず奏人が言うと、奏大も嬉しそうな顔をした。彼がチーズのついた指を舐めているのも行儀が悪いが、昨日から何となく謎めいていた彼の存在が、近くなったような気がした。
「かなちゃんにジャンキーなものばかり食べさせたなんて言われちゃやだから、野菜も食べるのよ」
伯母が出してくれたのは、シーザーサラダだった。バタくさい、最高だ。生野菜ってほんとに美味しい。骨伝導で伝わる、レタスを噛む水気を含んだ音が、何だか心地よい。
「ふふ、可愛い」
奏大が自分を見つめていることに気づき、奏人はどきっとした。優しい目で見守ってくれる年上の男性。兄がいると、こんな感じなのだろうか。
「奏人くんが宅配ピザを食べたことがないんじゃないかって涼子さんが言うから」
キッチンでサラダを用意していた伯母が、二人を振り返り笑った。
「冷めないうちに食べようよ」
奏大はフルートの入ったケースをテーブルに置いた。その白い顔が上気しているのを見て、急いで来てくれたのかと思うと、奏人は申し訳ない反面、少しくすぐったい。
確かに奏人は宅配ピザなど口にしたことが無かったし、ファストフードもほとんど食べたことがない。素直に嬉しかった。平たい箱を奏大が開けると、濃厚な匂いが嗅覚を刺激した。
「マルゲリータ、ラタトゥイユ風、ウインナーとコーン……って感じだよ、好きに食べよう」
伯母が皿を出してきてくれたにもかかわらず、奏大はマルゲリータを一切れ箱からつまみ出して持ち上げ、そのまま糸を引いたチーズから口に入れた。行儀が悪いと思ったが、美味しそうに見えるから不思議だった。奏人は野菜の色がきれいなラタトゥイユを選ぶ。いただきますと手を合わせてから一切れ取ろうとすると、どろりとチーズが溢れて、箱に落ちた。
「おっと、涼子さん、フォークが要るよ」
「手を拭くものも要りそうね」
こぼれたチーズを、奏大がフォークで載せてくれた。奏人は思い切り口を開き、尖ったピザの先を頬張った。
「おいしい」
思わず奏人が言うと、奏大も嬉しそうな顔をした。彼がチーズのついた指を舐めているのも行儀が悪いが、昨日から何となく謎めいていた彼の存在が、近くなったような気がした。
「かなちゃんにジャンキーなものばかり食べさせたなんて言われちゃやだから、野菜も食べるのよ」
伯母が出してくれたのは、シーザーサラダだった。バタくさい、最高だ。生野菜ってほんとに美味しい。骨伝導で伝わる、レタスを噛む水気を含んだ音が、何だか心地よい。
「ふふ、可愛い」
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