今宵貴方と見る月は ~あきとかなnext 〜 《あきとかな後日談集》

穂祥 舞

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春節に誓うこと

1-2

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「暁斗さん、仕事はもちろん頑張っていきたいと思ってるんだけど」
「うんうん」
 暁斗は汁椀に口をつける。
「暁斗さんの後ろの穴を開発したい」
「……⁉」
 奏人の言葉に暁斗は味噌汁を吹いた。ああっ、と言いながら、奏人がティッシュの箱を持ってきて暁斗に渡し、テーブルを布巾で拭く。
「ごめん、食事の後にすれば良かった」
「いや、まあ……こっちこそごめん」
 暁斗は口許を拭きながら、いろいろな意味で赤面を禁じ得なかった。
 奏人にそういう希望があることは、薄々理解している。先月、かつてよく使った池袋のホテルが改装してどうなったのかを面白半分に見に行き、一泊した。その時も奏人は、暁斗にのんびりと愛撫しながら、後ろに触れてきて、暁斗の反応を楽しんでいた。
「暁斗さんが嫌ならいいし、暁斗さんがれるほうがいいならそれでもいい」
 奏人は真剣である。暁斗は食事を続けるよう彼に促した。
「僕はできれば、暁斗さんとはタチとかネコとか役割を固定したくないんだ、どっちも楽しみたい」
 暁斗はイワシの身を箸でほぐしながら、どう答えたら良いのか、迷う。
「俺は別に、どうしてもこれがいいってのは無くて……挿れなくてもいつも気持ちいいし……挿れるのを躊躇ためらうのは、奏人さんに負担になるんじゃないかと思うからであって」
 奏人は暁斗をじっと見つめてくる。
「暁斗さんが僕の負担になるようなやり方をするとは思えない、心配してないし遠慮しなくていいよ」
 こんな話を食事中に続けるのもどうかと思うが、流すのも良くないと暁斗は思う。
「奏人さんはそうしたいんだ」
 奏人はイワシの身を口に入れて、じわりと頬を染めた。
「ごめんね、何というか……もっと深く繋がりたいような気持ちがあって……暁斗さんとしたらどんな感じなんだろうって」
 やはり奏人は若いということなのだろうか? 暁斗は奏人と肌を触れ合わせるのはとても好きだ。でも更に探求する欲求はそんなに無い。
「……今まで抱かれた人に対して、自分からそんな風に考えたことなかったんだ……為されるがままで、嫌だった訳じゃないけど」
 暁斗はもう一度照れて赤面した。10も歳上で、女性とのセックスの経験さえも少ない自分が、奏人に性的に欲されているとは、一体どういうことなのか……。
「……僕のこと好き者の淫乱だと思うよね? そうかも知れない、お金に困ってる訳でもないのにあんな仕事をずっと続けてたんだから」
 おやおや、と暁斗は驚く。奏人がかつての副業をそんな風に言うなんて。
「仮に奏人さんが好き者だったとしてもちっとも構わない、別にそうじゃないと思うけど……俺が淡白なんだ、違う?」
 それはある、と奏人は苦笑した。
「あ、嫌ならほんとにいいからね」
「ちょっとどきどきするけど嫌じゃないよ」
 夜の営みの方針については、暁斗は奏人にほぼお任せである。彼と暮らし始めて5ヶ月、ちょっとこの歳になってやり過ぎではないかとは思うが、嫌だと拒絶したことは皆無、だったりする。
 何だ、本当は俺が好き者なのかな。暁斗は考えながら、細巻き寿司に箸先を伸ばした。
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